建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2020年2月号〉

【年頭所感】

農水産業や観光を担う「生産空間」維持し十勝の発展支える
インフラ整備や人流・物流ネットワークを強化する

 国土交通省 北海道開発局
 帯広開発建設部 部長
竹内 正信

 明けましておめでとうございます。令和となってから初の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。皆様には帯広開発建設部が推進する北海道開発行政に格別のご支援を賜り、厚くお礼申し上げます。
 昨年を振り返ると台風15号と19号、21号に伴う記録的な大雨により、東日本を中心に多大な被害がもたらされました。当部においても台風19号で被災した東北地方へTEC−FORCE等を派遣し、応急対策を支援しました。近年、頻発する大規模な自然災害を通じて、防災・減災、緊急時の的確な対応の重要性が改めて認識されたところであり、今後も管内だけではなく広域的な支援についても積極的に対応してまいります。
 農水産業や観光を担う「生産空間」を維持し、さらなる十勝の発展を支えるためには、インフラの強靱化は必要不可欠なものです。気候変動の影響による気象の極端化、豪雨の多発化が懸念されている中、洪水時の川の水位を下げること等を目的とした河道の掘削や河道内樹木伐採を引き続き実施していくほか、山地の崩壊や河岸侵食によって発生する土砂や流木を抑えるため、戸蔦別川で砂防堰堤の整備を推進し、水害に対する安全・安心の確保に努めてまいります。また、近年の雨の降り方の変化による湛水被害、干ばつによる生育不足などの諸課題に対応し、安心して営農することができるように、農地の水はけを良くするための排水路の整備や農業用水を供給するパイプラインの整備を推進します。さらに橋梁の長寿命化を目的とした補修や、耐震補強を行うほか、斜面等からの落石防止や大雨時の冠水対策を行い安定した交通を確保します。高速交通ネットワークの強化は広域分散型の地理的特性を持つ十勝には特に重要なインフラであり、人流・物流の強化や広域観光の促進、救急搬送の時間短縮のほか、災害時における代替交通網の確保といった役割を担うため、引き続き北海道横断自動車道の陸別町陸別〜陸別小利別間及び帯広・広尾自動車道の忠類大樹〜豊似間の早期供用を目指し事業を進めてまいります。
 地域の資源をみんなで活かすため、自治体や地元住民の方々と連携した「かわまちづくり」を進め、「かわ」と「まち」をつなぐ賑わいのある魅力的な水辺空間の形成を目指すほか、道の駅を利活用した地域振興に加え、「十勝シーニックバイウェイ」や「サイクルツーリズム」の取組により、美しい景観づくり、魅力ある観光空間づくり、活力ある地域づくりを図ります。
 今後の社会資本整備にあたっては、地域の意向や実情を十分に踏まえながら、限られた予算で効率的かつ効果的に各事業の推進を図り、災害に強い安全・安心な暮らしの確保と地域の健全な発展を支えていけるよう一層の努力をしていきたいと考えています。
 結びとなりますが、本年が希望に満ちた年でありますよう、皆様の御健勝と御多幸を心よりお祈り申し上げまして、年頭の御挨拶といたします。

竹内 正信 たけうち・まさのぶ
平成元年3月 北海道大学農学部卒業
平成元年4月 北海道開発庁採用、旭川開発建設部 旭川河川事務所
平成11年4月 建設省河川局河川計画課長補佐(JICA専門家 インドネシア共和国派遣)
平成14年4月 室蘭開発建設部治水課長
平成17年4月 国土交通本省北海道局参事官付開発専門官
平成19年7月 北海道開発局建設部河川計画課長補佐
平成21年4月 北海道開発局建設部河川計画課河川企画官
平成23年7月 北陸地方整備局黒部河川事務所長
平成25年4月 帯広開発建設部次長
平成26年4月 札幌開発建設部次長
平成27年7月 北海道開発局事業振興部都市住宅課長
平成29年4月 北海道開発局開発監理部開発調整課長
平成31年4月 北海道開発局帯広開発建設部長

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