建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2020年2月号〉

【年頭所感】

交通網整備で地域・拠点間連携を進め
人流・物流の拡大や防災・減災事業の強化を図る

 国土交通省 北海道開発局
 函館開発建設部 部長
樺澤 孝人

 明けましておめでとうございます。謹んで新年のお慶びを申し上げます。日頃から函館開発建設部の施策推進に特段のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
 昨年を振り返りますと、管内では4月16日に函館港若松地区クルーズ船岸壁に「アザマラ・クエスト」が初寄港し、供用開始を契機に函館港へのクルーズ船入港数は対前年比1.74倍の47隻となり、函館財務事務所の推計によると増加分の経済波及効果は5億円となっています。大型クルーズ船受入れに向けては、昨年配分された北海道特定特別総合開発事業推進費により、前倒しで整備を進めています。
 10月11日には整備を進めていた上ノ国町大留交差点で、北海道初のラウンドアバウト(環状交差点)への交通切替が完了し、安全性や利便性の向上のみならず、災害等による停電時でも通行が可能であることなどに注目が集まりました。
 全国的には台風第15号や19号など、広域で甚大な被害を受け、強靱な国土づくりの緊急性が日本全体で高まっています。国土交通省では被災自治体へのプッシュ型支援を推進しており、当部も千葉県、宮城県及び福島県の被災地へTEC-FORCE 派遣はもちろん、企業のご協力を得て、迅速に給水装置付きの散水車、排水ポンプ車などを出動させることができました。
 さて、5年目の第8期北海道総合開発計画の推進に向けては、治水関係では後志利別川における河道掘削や堤防強化等、水災害のない安全・安心で活力ある魅力的な地域づくりを目指すとともに、水害タイムラインの支援等、ハード・ソフト一体的に洪水対策を進めます。
 道路関係では、道内外の人流や物流の拡大、地域・拠点間連携の確保、観光地や主要な空港・港湾等へのアクセス強化を図るため、北海道縦貫自動車道七飯〜大沼、函館・江差自動車道茂辺地木古内道路、函館新外環状道路空港道路等の整備を推進します。このうち空港道路の赤川IC 〜函館空港IC 間は、来年度中の開通を予定しています。その他に代替性確保のための道路整備、道路斜面等の防災対策、橋梁・トンネル等の老朽化対策、中央分離帯整備等の交通安全対策、道路防災性の向上や安全快適な通行空間の確保等に向けた無電柱化を推進します。
 港湾・空港関係では、函館港若松地区クルーズ船岸壁の延伸と泊地の増深を進め、管内6港においては物流機能を強化するとともに、函館空港の老朽化した着陸帯の改良、滑走路端安全区域(RESA)の整備を進め、ゲートウェイ機能の強化を継続します。
 農業関係では、国営緊急農地再編整備事業「今金南地区」及び「今金北地区」において、ほ場の大区画化や暗渠排水による排水改良等の整備を行い、競争力向上や農業振興を基幹とした活性化を推進します。
 水産関係では、管内3・4種の7漁港において国産水産物の更なる品質や付加価値の向上を目指した衛生管理や安定供給のための基盤強化対策等を進めます。
 北海道総合開発計画を推進していく上で、建設業の働き方改革、生産性の向上の着実な実施も重要になってまいります。これらと併せて担い手対策についても、関係者の皆様と連携しながら取り組んでいきたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。
 函館は陸路、航路、空路の結節点となっており、管内は北海道総合開発計画の戦略的産業である「食」と「観光」が集積しています。これらの更なる振興のため、各種事業を継続してまいります。
 最後に、皆様にとりまして素晴らしい一年となりますことをご祈念申し上げ、年頭の挨拶といたします。

樺澤 孝人 かばさわ・たかと
昭和39年9月6日生
昭和62年3月 北海道大学工学部土木工学科卒業
平成元年3月 北海道大学大学院工学研究科土木工学専攻修了
平成元年4月 北海道開発庁(旭川開発建設部)採用
平成20年4月 国土交通省北海道開発局石狩川開発建設部 千歳川河川事務所長
平成22年7月 同 北海道開発局函館開発建設部次長
平成25年7月 同 北海道局水政課企画官
平成26年4月 同 北海道局企画調整官
平成27年7月 同 北海道開発局開発監理部開発調整課長
平成29年4月 同 北海道開発局旭川開発建設部長
平成31年4月 同 北海道開発局函館開発建設部長

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