建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年1月号〉

東京五輪マラソン・競歩競技の札幌開催の成功に向けて貢献していきたい

―― 北海道・新時代の創造に向け、全力で取り組む

ほっかいどう応援セミナー(9/26 東京開催)の様子

── 新年を迎え、知事のこれまでの取り組みの成果を教えてください
鈴木 多くの道民の皆様からご支援をいただき知事に就任し、この間、全力で道政に取り組んできました。北海道の強みは、地域にあるとの考えのもと、積極的に市町村を訪問し、農林水産業をはじめ、まちづくり、文化・教育など、幅広い分野において、多くの方々とお話しさせていただきました。道民の皆様と直接お話しすることで、それぞれのふるさと、そして北海道を愛しておられることと、そうした方々が取り組んでいる活動を知り、改めて、北海道の可能性を実感しています。そうした思いを北海道・新時代の創造に結びつけていくため、「北海道を愛してくださる多くの方々の知恵と力を結集し、共に北海道の活性化を実現したい」という私の呼びかけに対し、200を超える企業や団体等の皆様にご参加いただき、「ほっかいどう応援団会議」を発足させました。
 また、交通ネットワークの形成に向けては、新千歳空港の発着枠拡大を国に働きかけ、2020年の春に実現することになったほか、道内7空港の一括民間委託の取組を進め、更なるインバウンドの拡大を図るとともに、本道にとって重要な社会基盤である鉄道網の確保に向けて、沿線市町村などと連携し、鉄道の利用促進に取り組んできました。
「北の森づくり専門学院」ロゴマーク
 さらに、本道を取り巻く国際情勢が大きく変化する中、本道の基幹産業である農林水産業が、いかなる環境下にあっても持続的に発展していけるよう、生産基盤の整備や輸出の拡大などに取り組むとともに、林業人材の育成に向けた北の森づくり専門学院の開校準備をはじめ多様な担い手の育成・確保などを進めてきたところです。
 胆振東部地震災害の対応については、就任後すぐに、被災地域の皆様のお話を伺った上で、地元町や関係機関と連携のもと、復旧・復興を進めてきました。そして、台風による豪雨災害への対応など安全・安心の確保が全国的な課題となる中、治水対策や高規格幹線道路の整備促進など、本道の強靱化に向けた取組を進めてきました。他にも取り組んできたことはたくさんありますが、日々、道民の皆様の期待に応えるため、北海道の将来にとって何が大切かという視点に立って、力を尽くしてきました。
民族共生象徴空間(ウポポイ)完成予想図(提供:文化庁 ※本画像はイメージ図です。)と「ウポポイ」ロゴマーク

東京五輪マラソン・競歩競技の札幌開催について

 11月1日のIOC調整委員会の四者協議の結果、マラソン・競歩競技の札幌開催が決定し、11月7日には組織委員会の森会長が来道され、協力の要請がありました。
 開催まで9か月を切った中での開催地変更という、前例のない決定であり、大変驚きましたし、また、私も以前、東京都職員として、招致活動の時から東京都の方々が熱心に取り組んで来られたのを見てきたので、とても重く受け止めています。非常に短い準備期間の中で、様々な課題に取り組んでいく必要があり、主には、住民生活や経済活動への影響を極力小さくすることや、宿泊施設やボランティアの確保などが考えられます。北海道・札幌市としましては、組織委員会、競技団体、東京都など日本全体がワンチームとなり、東京2020大会の成功に向け、オールジャパンで取り組むことが重要と考えていますので、皆様との連携を密にしながら取り組み、結果として、素晴らしい大会になった、北海道・札幌でやって良かったと言っていただけるようにしたいと思っています。また、東京オリンピック・パラリンピックの開催により、国内外から多くの来道者が見込まれますので、全庁一丸となり、札幌市、関係機関と連携し、道内市町村の皆様などのご協力もいただきながら、食や観光など、北海道ブランドの向上や地域文化、資源を活用した多様な魅力などを全世界へ発信し、皆様をおもてなしすることで大会を盛り上げ、成功に向けて貢献していきたいと思います。
── 知事の考える今後の北海道の将来像や地域づくりの方向性を教えて下さい
鈴木 北海道には、2018年度に、300万人を超える外国人観光客が訪れるなど、世界に誇れる食・観光の魅力があります。そして、道民の皆様が大切に築き上げてきた、多様な産業や暮らしは、将来の世代に、より豊かなものとして大切に引き継いでいかなければならないと考えています。今後の北海道の姿を考えると、人口減少が進む中、本道をより豊かで活力に満ちたものとしていくため、現在策定を進めている、第二期の北海道創生総合戦略に基づき、北海道創生に向けたプロジェクトを推進するとともに、地域づくりの拠点である振興局を中心に市町村による地域創生の取組を支援していく考えです。
北海道創生協議会で人口減少問題について議論(8月)
 道内の179市町村それぞれが異なる魅力を発揮し、世界の中でここにしかない多彩な価値を有する北海道として将来にわたって発展していく。そうした姿を思い描いています。

産業の担い手不足への対応について

 本道においては、人口減少や少子高齢化が進行する中、女性や高齢者を中心に就業率が上昇し、就業者数は増加をしているものの、それを上回る求人ニーズにより、企業等の人材確保が困難な状況となっています。深刻化する人手不足に対応していくため、女性や高齢者といった多様な働き手の就業の促進や、企業等における省力化・効率化など生産性向上を図るとともに、若者の道内定着など地域からの人材流出を防止し、外国人材を含め、道外から人材を呼び込むなど、多面的な対策を講じていきます。
北海道防災総合訓練の様子

大規模自然災害への対応について

 2019年の台風による災害は、関東や東北地方をはじめとして、甚大な被害をもたらすこととなり、改めて水害という自然災害の恐ろしさを痛感し、水害対策の重要性を認識したところです。
 台風などの自然災害への対応としては、河川改修等を着実に推進するとともに、洪水ハザードマップの周知や防災訓練、学校の授業を活用した防災教育の充実、さらには道の広報紙において日頃から防災の重要さを知っていただく特集を組むなど、ハード・ソフト両面から備えを進めています。
 本道においては、2016年の上川・十勝を中心にした台風災害や2018年の胆振東部地震による災害などがあったほか、地震・津波、火山など様々なリスクを抱えています。まずは、1人1人の生命を守ることが大切であり、こうした災害の検証を教訓として積み重ね、災害への備えを強化し、実効性を高めるための訓練を実施するとともに、子どもの頃からの防災教育を進めています。
 今後も引き続き、市町村や防災関係機関との連携をより一層強化し、道民の安全・安心のため、本道の防災力のさらなる充実に向け取組を進めていきます。
東京五輪マラソン・競歩のコースとなる大通公園
── 最後に、新年に当たって道民の皆さまへのメッセージをお願いします
鈴木 2020年の本道は、7空港の一括民間委託がスタートし、路線の充実や周遊観光の推進など、国内外との交流の一層の拡大が期待されます。また、白老町のポロト湖畔にウポポイ(民族共生象徴空間)がオープンします。本道初の国立博物館となるアイヌ民族博物館などの施設において、多くの方々に、我が国の先住民族であるアイヌの方々の文化の価値と、多彩な魅力を体験していただきたいと考えています。
 そして、東京オリンピックのマラソン・競歩・サッカー競技が札幌で開催されます。マラソン・競歩競技の東京開催に向け、準備されてこられた多くの方々や直接観戦することを楽しみにされていた皆様、そして東京での活躍をイメージしていた選手の方々には、様々な思いがあると考えています。これまでの多くの方々の努力を大切にし、札幌市や道内関係者の皆様はもとより、組織委員会、東京都、国などと連携・協力して、選手の皆様そして世界からすばらしい大会であったと言われるよう、成功に向けて準備に取り組んでいきます。
 知事としての2年目は、本道の発展につながる大きなチャンスを迎えています。本道の可能性と潜在力を発揮させ、北海道・新時代の創造に向け、全力で取り組んで行きますので、道民の皆様には、ご理解とご協力をいただきますよう、よろしくお願いします。

 北海道知事
鈴木 直道

 すずき・なおみち
 
 昭和56年3月14日 埼玉県出身
 平成11年4月 東京都庁入庁
 平成20年 夕張市へ派遣
 平成22年4月 内閣府地域主権戦略室へ出向、夕張市行政参与
 平成22年11月 東京都庁退職
 平成23年4月 夕張市長
 平成27年4月 夕張市長(2期目)
 平成31年2月 夕張市長辞職
 平成31年4月23日 北海道知事就任


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