建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年12月号〉

【寄稿】

有明海沿岸の広域交通ネットワークを形成する有明海沿岸道路

―― 三池港及び九州佐賀国際空港へのアクセス性向上

 国土交通省 九州地方整備局
 有明海沿岸国道事務所長
福崎 昌博



 有明海沿岸国道事務所は、これまで福岡国道事務所、佐賀国道事務所、熊本河川国道事務所の3事務所で所管していた有明海沿岸道路を一体的かつ効率的な整備・管理を行うため、2019年4月に新設されました。
 有明海沿岸道路は、福岡県大牟田市から佐賀県鹿島市に至る延長約55kmの地域高規格道路で、重要港湾三池港、九州佐賀国際空港などの交通拠点等を結ぶ広域交通ネットワークを形成するとともに、並行する国道208号の交通混雑の緩和や交通安全の確保を目的とした地域高規格道路です。
 平成29年度に福岡県内の有明海沿岸4市の大牟田市、みやま市、柳川市、大川市が自動車専用道路で直結し、全体(福岡県内)の約8割にあたる23.8kmが暫定2車線で開通し、現在、佐賀県区間も含めると30.3km(福岡県23.8km、佐賀県6.5km)が開通しています。
 当事務所では、開通年度を公表している、大川東IC〜大野島IC間の延長3.7kmを令和2年度、大野島IC〜諸富IC(仮称)間の延長1.7kmを令和4年度の開通に向けて、工事を全面展開しています。
 事業の進捗状況は、大川東IC〜大野島IC間において、大川地区の改良工事、(仮称)大川高架橋の床版工事及び(仮称)筑後川橋の上部工工事を推進しています。

(仮称)大川高架橋の施工状況


 大野島IC〜諸富IC(仮称)間では、諸富地区の改良工事、(仮称)早津江川橋の上部工工事及び(仮称)諸富高架橋の上部工工事を推進しています。
 有明海沿岸道路の整備によるストック効果として、九州佐賀国際空港と大牟田市間の所要時間は、有明海沿岸道路開通前(国道208号等を利用)において約90分でしたが、令和2年度に大川東IC〜大野島ICが開通することにより所要時間は約半分(約90分から約40分)に短縮されます。
 所要時間短縮などにより、九州佐賀国際空港の利用者数が6年連続で過去最高を更新しており、今後の整備により更なる利用者数の増加が期待されます。
 また、並行する一般道の交通が有明海沿岸道路に転換することにより、渋滞が緩和するとともに死傷事故件数も減少しています。並行する幹線道路や生活道路がより安全で快適になることが期待されます。
 さらに有明海沿岸道路の沿線地城では、九州縦貰自動車道、九州新幹線等へのアクセス性が向上したため、企業、商業施設、大学等計72社が新たに進出・増設しています。
 このほか、福岡県南部の重要港湾「三池港」との広域物流ネットワークが強化されることで、物流の効率化が図られています。
 その結果、三池港の国際コンテナの取扱貨物量は、約10年間で約23倍までに増えています。

(仮称)筑後川橋の施工状況


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