建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年12月号〉

【寄稿】

鳥取県まるごと観光を支える「山陰道」

―― インバウンド観光を強力にバックアップ

 国土交通省 中国地方整備局
 倉吉河川国道事務所長
高木 繁

鳥取県内の山陰道の整備状況

【地域の概要】

歴史感じる白壁土蔵群(倉吉市)

 中国地方整備局倉吉河川国道事務所は、鳥取県の中部倉吉市にあり、鳥取県中部から島根県境までの国道9号の現道、及び並行する山陰道の改築、維持・管理、そして県中部を流れる天神川の改修・維持・環境整備、大山山系砂防として天神川流域、小鴨川流域での砂防事業を行っています。本稿では、私たちが取り組んでいる道路整備事業について紹介します。
 鳥取県の中西部地域は、霊峰大山や日本遺産の三徳山・白壁土蔵群など豊かな自然・文化や数多くの温泉が点在するなど観光資源にも恵まれた地域です。
円形劇場くらよしフィギュアミュージアム(倉吉市)

 また当地域にある米子鬼太郎空港や境港は、韓国や香港、ロシアとも結ばれるなど北東アジアのゲートウェイとして、近年はインバウンド観光客も増加しており、水木しげるロード(境港市)や「名探偵コナン」で知られる青山剛昌ふるさと館(北栄町)、円形劇場くらよしフィギュアミュージアム(倉吉市)等で多くの訪日外国人の姿が見られ、こうしたインバウンド観光需要に対応した整備が求められているところです。
 山陰道は、鳥取県鳥取市を起点とし鳥取・島根・山口3県の主要都市を結び山口県下関市を終点とする、延長約380kmの道路で、都市間、空港・港湾へのアクセスの強化を図ることにより、山陰地方の産業・経済の発展や観光振興、災害への備え・防災活動支援などを目的として整備を進めているものです。
 当事務所管内の山陰道計画延長68.7kmのうち、約8割にあたる55・2kmについては供用済みとなっています。その山陰道において現在施工を進めているのが主に「北条道路」と「米子道路」です。

【山陰道北条道路】

 北条道路は山陰道の一部をなす鳥取県東伯郡湯梨浜町はわい長瀬から北栄町を経て東伯郡琴浦町にいたる約13.5kmの道路で、この区間は鳥取県内で唯一の山陰道未整備区間となっています。平成29年度から事業化され、現在は、道路設計、橋梁等設計、用地買収、改良工事、橋梁工事等を推進しています。北条道路は日本海に隣接する海浜部に計画されているとともに、冬季は積雪の影響を大きく受ける地域であることを踏まえて、耐久性や維持管理の面も配慮した設計・施工を進め、早期開通を目指して推進しています。

橋梁工事が進む北条道路

北条道路
大雪による立ち往生の状況(平成29年2月)

【山陰道米子道路】

 山陰道米子道路は、鳥取県西伯郡大山町安原から米子市陰田町にいたる約13.6kmの道路で、この区間は暫定2車線での整備をおこなっていますが、交通渋滞やインターチェンジ合流部での走行速度低下に起因する追突などの交通事故が多発していることから付加車線の整備を行っており、現在は一級河川日野川にかかる米子大橋の橋梁下部工事や改良工事を進めています。

【冬期雪寒対応】

 また道路管理においては冬季の積雪の影響を強く受ける地域であり、過去には国道9号(現道)や山陰道でスタック車両に起因する長時間の滞留、通行止めが発生しています。こうしたことなどから、除雪・凍結防止対策を確実に行うとともに、除雪優先区間を設定し長時間交通障害状況を回避するための予防的通行規制・集中除雪の実施に、立ち往生車両への迅速な対処、冬用タイヤの装着指導や広報およびHPによる道路情報の提供により、冬季における幹線道路の交通確保に努めています。
 こうした山陰道の整備や冬期の交通障害対策により、鳥取県を来訪される方々の広域的な観光周遊に寄与し、また、安全・安心で地域の期待に確実に応えられるよう道路整備・管理を行ってまいりますので皆様のご支援をよろしくお願いいたします。


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