土木の日に寄せて

―― 北海道の安全・安心な国土づくり

国土交通省北海道開発局
局長
後藤貞二

北海道胆振東部地震Ｅ63日高自動車道の復旧

令和元年10月の台風第19号は各地に甚大な被害をもたらしました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、全ての被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
北海道では、昨年9月6日に発生した北海道胆振東部地震により厚真町、安平町、むかわ町をはじめ道内各地で甚大な被害が発生しました。北海道開発局は、昨年10月に「北海道開発局復興・強靱化推進本部」を設置し、北海道や被災自治体などと連携し、被災した河川、道路、農業水利施設や港湾施設等の早期の復旧・復興及び全道における国土強靱化を最優先課題として取り組んでおります。
また、4つの台風が上陸・接近した平成28年夏の大雨災害をはじめ、北海道においても集中豪雨や暴風雪など、気候変動による災害の更なる頻発・激甚化が懸念されております。併せて、北海道は、千島海溝周辺に位置し、今後30年以内に震度6弱以上の地震が発生する確率が70％を超えている地域があるなど大規模な地震・津波が発生する可能性が高く、さらに全国の活火山の約2割が存在しているなど、自然災害の発生リスクが高い地域であります。

北海道胆振東部地震　厚真町幌内地区日高幌内川の被害と対応
　

北海道胆振東部地震　厚真町勇払東部地区　主要な農業被害と対応

北海道開発局では、ハード・ソフトの様々な対策を組み合わせて、今後起こり得る自然災害に備える防災対策を進めています。具体的には、根幹的な治水対策に取り組むとともに、津波対策や各種施設の耐震化、広域交通ネットワークの代替性・多重性確保、防雪対策、土砂災害防止対策、危機管理体制の強化など災害に強い社会の実現に向けて引き続き取組を進めていきます。災害発生時には、被災自治体へTEC-FORCE（緊急災害対策支援隊）を派遣し、支援ニーズの把握、被災状況等の情報収集・提供をするほか、災害対策用機械を派遣して早期の復旧に向けた支援活動を行ってまいります。
国土強靱化については、平成25年12月に制定された「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」（国土強靱化基本法）に基づき、国において平成26年6月に国土強靱化に関する施策の推進に関する基本的な計画（国土強靱化基本計画）が策定されました。その後、平成28年熊本地震等の災害から得られた知見や社会情勢の変化等を踏まえた脆弱性の評価結果に基づく施策の推進方針を定める等、国土強靱化基本計画の見直しが行われました（平成30年12月）。また、平成30年の重要インフラの緊急点検結果を踏まえ、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を推進しています。

北海道胆振東部地震　苫小牧港の主要な施設被害と対応

地方公共団体においては、地域の国土強靱化に関する施策の推進に関する計画として国土強靱化地域計画の策定が進められています。北海道においては平成27年3月に「北海道強靱化計画」が策定されました。北海道内の国土強靱化地域計画の策定状況は、令和元年9月1日現在、17団体（北海道を含む。）で国土強靱化地域計画の策定が終了し、68団体で策定中又は策定が予定されております。
また、平成28年3月に閣議決定された「北海道総合開発計画」（第8期）では、「強靱で持続可能な国土」を目標の一つに位置づけており、北海道開発局では、本計画に基づき治水・海岸事業や高規格幹線道路等の交通ネットワークの整備等による北海道の更なる強靱化を進めていくため、北海道と緊密に連携し、安全・安心な社会基盤整備を推進します。さらに、国民の暮らしや産業・経済活動の被害をできるだけ軽減する「減災」の考え方に基づく対策を進めていくことが重要です。各種災害対応訓練の実施や地域防災力の強化を図る取組として、市町村長との意見交換会やシンポジウムの開催など、自治体との連携強化と地域住民の防災意識を高める取組を積極的に推進します。
今後も北海道開発局として、関係機関や団体等と連携して様々な取組により北海道の安全・安心な国土づくりを進めてまいります。

北海道胆振東部地震から１年　復興応援パネル展

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