建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年10月号〉

【ズームアップ】

肢体不自由児総合療育センターの充実と療育環境の整備を図る

―― 新施設は5部門構成とし入院児童の養護学校登校は渡り廊下で結ぶ

北海道立旭川肢体不自由児総合療育センター改築事業

外観完成イメージ(鳥瞰)

建設の経緯

 北海道建設部が建設を進める「北海道立旭川肢体不自由児総合療育センター」は、児童福祉法に基づく医療型障害児入所施設として、入院やショートステイ事業、通院療育(外来)のほか地域支援などを行っている道北・道東地方の肢体不自由児療育の拠点となっている。
 現在の施設は、昭和55年の全面改築から築38年が経過し、施設・設備の老朽化が著しいことや療育している肢体不自由児は、障がいの重複化や重度化されている児童が多く、日常生活において全介護が必要な車椅子利用の児童が多いことなどもあり改築を行うことになった。

施設建設基本方針

1) 患者、家族、医療スタッフをはじめ、全ての人の療育環境の改善を図る施設づくり。
2) 多様な療育ニーズに対応した施設づくり。
3) 施設の特性を考慮した効率的な運営が図れる施設づくり。
以上を基本方針として、
1) 患者である子供たちの多くが、車いすを利用していることから、患者も付き添うスタッフも移動ストレスが少ない施設構成とする。
2) 子供たちに安心感を与えるスケール、材料、色彩で計画し、家庭的な雰囲気の療養環境を実現する。
3) 吹き抜けやトップライト、ハイサイドライトを利用した自然採光や自然換気が可能な設計とし、コンパクトな施設構成でイニシャル・ランニングコストの低減を図る。内装は積極的に道産材の利用などを進め、自然エネルギーを活用しトータルコストの削減を図る。

建築計画

 療育センターは大きく以下の5部門構成となっている。
@診療部門:外来診療を行う部門で、放射線や生理検査などの検査機能と薬局も含まれることから、外来患者が利用しやすい1階に計画する。
Aサービス部門:機械室や給食、職員更衣・休憩などが含まれることから、職員と物品、エネルギーが外部と行き来しやすい1階に計画する。患者動線と交錯しない位置に計画する。
B病棟部門:一般病棟と親子病棟が含まれる。一般病棟入院児童の養護学校への登校、養護学校小学児童の昼食時の病棟食堂の利用を考慮して養護学校との連絡がスムーズな動線計画とする。
Cリハビリテーション・地域支援部門:リハビリ部門の利用率は外来が高いことから、診療部門とリハビリ部門が行き来しやすい計画とする。
D管理部門:院長室などの小部屋や医局、会議室など職員が利用する諸室で構成されるので、1階に計画する必然性もなく、患者動線と交錯しない位置に計画する。

外観完成イメージ(西側)
外観完成イメージ(南側)

周辺環境への配慮

 敷地周辺は住宅地で、養護学校が2階建ての低層で水平に広がる建物であることから、新しい療育センターも水平に伸びるデザインで景観的な調和を図る。  また、周辺への圧迫感の軽減を図り、採光や通風、眺望を確保し、日影の影響を縮減する。


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