建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年10月号〉

【寄稿】

中越の暮らしを支えるみちづくり

 国土交通省 北陸地方整備局
 長岡国道事務所 所長
松永 和彦

十日町道路 終点側から起点側を望む

一.はじめに

 長岡国道事務所は、新潟県中越地方を管内とし、国道八号、一七号、一一六号の三路線、約二一五kmの改築及び維持管理を管轄しているほか、国道二五三号、二八九号の一部区間の整備を権限代行で行っています。管内は、日本海側と首都圏を結ぶ交通の結節点であり、交流 ・ 連携を強化していく上で重要な地域です。また、古くは北国街道と三国街道が通り、全国有数の豪雪地帯であるとともに恵まれた自然環境を有していることから、スキー場や温泉、風情ある町並み、魚沼産コシヒカリや数多くの銘酒など、自然・歴史・文化・産業に恵まれた地域です。

二.改築事業

◆国道八号「柏崎バイパス」

 柏崎市街地における慢性的な交通混雑の緩和と沿道環境の改善を目的とした、延長約一一kmのバイパス事業です。既に、延長約三・一kmは暫定二車線で開通しており、今年度は、開通済み区間に隣接する(仮称)柏崎トンネル等の改良工事を進めています。柏崎市には、全国最大規模の柏崎刈羽原子力発電所が立地しており、原子力災害時における避難路としても本バイパスの重要性が高まっています。

◆国道一七号「三俣防災」

 南魚沼郡湯沢町三俣から神立における事前通行規制区間(連続雨量一八〇mm)の解消及び急勾配区間における登坂不能車両の発生やトンネルの幅員狭小による事故危険区間の解消を目的とした延長約二・六kmの事業です。今年度は、調査設計を進めています。

◆国道一七号「六日町バイパス」

 南魚沼市街地における交通混雑の緩和、交通事故の減少、沿道環境の改善を目的とした、延長約五・一kmのバイパス事業です。昨年度までに延長約一・七kmが開通しており、今年度は用地取得、改良工事を進めています。

◆国道一七号「浦佐バイパス」

 南魚沼市から魚沼市間における冬期交通障害区間の解消を目的とした、延長約六・六kmのバイパス事業です。既に、延長約四・〇kmは開通しており、今年度は開通済み区間に隣接する区間の改良・トンネル・橋梁工事を進めています。

◆国道一七号「和南津改良」

 長岡市川口和南津における、中越地震の被災・復旧で幅員減少となった和南津トンネルの国際標準コンテナ車の通行支障区間の解消、並びに第一次緊急輸送道路の機能確保を目的とした、延長約一・〇kmの事業です。今年度は改良工事を進めています。

浦佐バイパス トンネル工事 和南津改良 改良工事

◆国道二五三号「八箇峠道路」

 地域高規格道路「上越魚沼地域振興快速道路」の延長約六〇kmのうち、終点側の十日町市八箇から南魚沼市余川間の延長約八・五kmの道路であり、十日町市から南魚沼市における事前通行規制区間の解消、並びに関越自動車道六日町ICへのアクセス強化を目的とした権限代行事業です。十日町市八箇から南魚沼市野田間約六・六kmが平成二九年度開通し、今年度は、残区間の用地取得、改良工事を進めています。

◆国道二五三号「十日町道路」

 地域高規格道路「上越魚沼地域振興快速道路」の延長約六〇kmのうち、十日町市北鐙坂から八箇間の延長約一〇・八kmの道路であり、「八箇峠道路」と接続し、国道二五三号の安全性・信頼性を確保するとともに、関越自動車道との連携により広域的な交流を促進し、地域活性化を目的とした権限代行事業で、今年度から新たに事業に着手しました。

◆国道二八九号「八十里越」

 新潟・福島県境の通行不能区間の解消を目的とした、トンネル・橋梁などの構造物延長が全体の約九割を占める延長約一一・八kmの権限代行事業です。福島県南会津地方と新潟県を結ぶ新たな交流ルートとなることから、地元の期待も熱いものがあり、急峻な地形や積雪により約半年間は工事現場の閉鎖を余儀なくされるという厳しい条件に対応しつつ、今年度は、改良・トンネル・橋梁工事を進めています。

八十里越 橋梁工事 道路維持管理 除雪作業

三.交通安全・維持管理事業

◆交通安全事業

 安全安心な道路環境を実現するため、事故データや地域の声に基づき選定された事故危険区間や通学路点検の結果等を踏まえ、交通事故対策・交通安全対策を行っています。今年度は、国道八号猪子場新田南地区(三条市)や国道一七号五十嵐入口交差点(南魚沼市)での事故対策事業のほか、歩道整備や交差点改良、交通安全施設の設置など必要な対策を進めています。

◆道路維持管理

 管内約二一五kmの安全で円滑な交通確保を図るため、四つの出張所により、維持・修繕、橋梁・トンネル等の構造物の補修、防災・防雪対策などを着実に進めています。特に、道路施設については、点検・診断・措置・記録のメンテナンスサイクルを通じて長寿命化に努めています。また、管内は全国有数の豪雪地帯であることから、一〇箇所の除雪基地を配置して二四時間体制で道路除雪を行っています。

四.おわりに

 管内は、少子高齢化・人口減少社会への対応が重要な課題となっており、各地区で特色を活かした地域おこしやまちづくりなど、交流の拡大に向けた様々な取り組みが行われています。また、地域医療の再編等に伴い、バイパス沿線に医療機関が移転するなどしており、地域の暮らしを支える基盤として道路に対する期待は大きいものがあります。長岡国道事務所としましては、今後とも、質の高い社会資本の整備に取り組んでまいります。


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