建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年7月号〉

【ズームアップ】

施設の耐震化・設備の改修工事で利用者の安心安全を確保

―― コンサート・演劇などの大規模催しや市民の文化芸術活動の拠点に

函館市 函館市民会館耐震等改修事業

外観完成イメージ

■改修の経緯

 函館市が改修を進めている函館市民会館は、昭和45年の開館以来、道南最大のホールを有する文化拠点施設として、平成29年まで47年間にわたり多くの市民に親しまれてきた。
 この間必要に応じ部分的な改修を繰り返しながら、施設の機能を維持してきたが、平成25年度の耐震改修促進法の改正により、当該施設に耐震診断の実施が義務付けられたことから、平成26年度に耐震診断を実施した。
 診断はIs値が基準値を下回る結果となったが、補強により耐震性能の向上が望める状態であったことから、利用者の安心安全を確保するため、耐震改修工事を実施することになった。
 平成27年度に補強方法の検討に併せて建築・電気・機械設備類の劣化調査も行ったうえ、平成28年度から29年度に実施設計を行い、平成29年度より平成31年(令和元年)に耐震等改修工事を進めている。

■改修内容

耐震改修
 ホール棟においては、外周面を鉄筋コンクリート造の骨組み(アウトフレーム)で取り囲むように補強したほか、舞台およびホール屋根面鉄骨部材の補強などを行った。
 また、中央棟については、鉄筋コンクリート造の柱や壁の増設による補強、アルミブレース(筋交い)による補強を、管理棟については、アルミブレースおよびコンクリート壁増設による補強、小ホール・大会議室の屋根面鉄骨部材補強などを行った。
設備改修
 市民会館は築後47年経過で、電気・空調・給排水等の附帯設備やホールの舞台吊物装置・舞台照明・音響等の各種設備の経年劣化が進んでいることから、併せて改修を行った。
 また、利用者団体等の要望も取り入れ、ロビーと楽屋間の通路設置、大ホール扉の二重化など遮音性の向上、待合スペースの設置、トイレ増設など機能面の向上のほか、車椅子の通行に支障のあったレンガ床の改善、楽屋入り口へのスロープ設置、大ホール側2階席へのエレベーター設置や多機能トイレ設置など施設のバリアフリー化を図った。

■今後の計画

 平成29年度から開始した耐震等改修工事は本年(令和元年)12月に完成し、耐震基準を満たした安心・安全な施設となり、併せて実施した設備改修工事により、老朽化した施設を更新し、施設全体の延命化を図り、利用しやすい環境を確保する。
 函館市民会館は1,370席を有する大ホールのほか、小ホールや会議室等を完備した施設として、コンサートや演劇など大規模な催しを実施するだけでなく、市民の文化芸術活動の場として、これまでにも年間約20万人に利用されてきた。今後も関係団体や指定管理者と連携し、函館市の文化芸術の拠点としての役割を担っていく。


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