建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年8月号〉

 副局長インタビュー オホーツク総合振興局

広域分散型の地域をつなぐ高規格幹線道路整備で地域活性化と救急医療搬送や災害時の物資輸送ネットの強化

 北海道 オホーツク総合振興局 副局長(建設管理部担当)
宮下 忠昭
 みやした・ただあき
 昭和38年佐呂間町生まれ
 昭和60年3月 北海学園大学工学部卒業
 昭和60年4月 北海道庁入庁(旭川土木現業所)
 平成4年4月 釧路土木現業所
 平成6年4月 道庁土木部道路課
 平成8年4月 道庁土木部道路計画課
 平成10年7月 稚内土木現業所事業部道路課道路第二係長
 平成13年4月 室蘭土木現業所事業部道路建設課舗装係長
 平成16年4月 道庁建設部道路計画課主査
 平成20年4月 斜里町派遣(斜里町市街地整備推進室長)
 平成22年4月 十勝総合振興局帯広建設管理部事業室道路課長
 平成23年6月 道庁建設部土木局道路課主幹
 平成25年4月 空知総合振興局札幌建設管理部事業室地域調整課長
 平成26年4月 空知総合振興局札幌建設管理部事業室長
 平成27年6月 道庁建設部土木局道路課高速道・市町村道担当課長
 平成28年4月 道庁建設部土木局道路課長
 平成30年4月 現職

──本年度の事業推進にあたりまして抱負をお聞かせください
宮下 オホーツク管内は知床世界自然遺産を代表とする多くの観光資源に恵まれた地域であり、また農林水産業の第一次産業が盛んで多くの可能性を秘めた地域であります。一方で、管内は、岐阜県の面積に匹敵する広い地域に約30万人が暮らす道内でもひときわ広域分散型社会の色合いが強い地域でありながら、高規格幹線道路などの交通ネットワークの形成は他地域よりも遅れており、観光や産業など地域の活性化を考えるうえではハンデがあると感じます。
 交通ネットワークの整備は、救急医療搬送や災害時の物資輸送などの面からも非常に重要であり、道道の整備も含め国と連携して取り組んでまいります。また、管内の大きな課題である人口減少問題や地方創生を考えていくうえでは、地域住民が安全・安心に暮らせ、地域の産業や観光を支える道路、河川、漁港などの基盤が整ってのことであり、地域の声をしっかり聞いて色々な分野の方々と連携しながら良質な社会資本の整備を推進してまいります。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組についてお聞かせください
遠軽雄武線 (交)改築工事(橋梁床版工)
宮下 オホーツク管内は、かつては年間降水量も少なく災害の少ない地域でしたが、平成28年に管内でも大きな被害をもたらしました台風をはじめ、各地で交通が寸断される暴風雪などによる、自然災害が社会経済活動に大きな影響を及ぼしていることから、このような自然災害に対して、住民の安全安心を確保するため、河川整備や土砂災害対策などのハード対策を推進するとともに水害から命を守る「水防災意識社会」の再構築に向け関係機関相互の情報共有や災害対応の連携などの取組を推進してまいります。
 また、道路利用者の安全確保のため、タイムラインによる通行規制などに取り組む他、道路パトロールの強化にも取り組んでまいります。
── 平成31年度(令和元年)予算執行にあたり北海道の基幹産業、農業・水産業の向上や観光振興、環境整備事業などの取組をお伺いします
興部地区(沙留漁港)水産流通基盤整備工事
宮下 道路事業では、管内や管外との交流促進や物流の効率化、観光振興などに資する道路ネットワークの拡充整備に努めるとともに、「橋梁などの老朽化対策」、「危険箇所の解消」、「地域医療を支援する道路整備」などの整備を引き続き進めてまいります。
 治水関係事業では、安心できる国土の形成(安全)、自然環境と調和した生きている川づくり(うるおい)、個性あふれる地域づくりと連携強化の支援(活力)、人と水のかかわりの再構築(ふれあい)の4本柱に基づき進めてまいります。
 漁港関係事業では、漁港漁場整備長期計画第4次(H29〜H33)に基づき物流効率化やHACCPなどの品質・衛生管理にも対応する漁港施設の整備を進めてまいります。
 また、海岸整備では、侵食を防止して国土保全に努めるとともに、人命・家屋・財産を高潮、波浪などから守るため事業を進めてまいります。
平成31年度(令和元年)の主な事業計画
・道路事業
 北見置戸線(訓子府町)では、バス停車帯設置を含めた道路拡幅を継続してまいります。
 遠軽雄武線(西興部村)では、今年度の完成を目指し、布袋橋の架替工事及び取付道路の工事を進めてまいります。
 工事が本格化している北見端野美幌線(美幌町)では、道路拡幅を引き続き進めてまいります。
 津別陸別線(津別町)では、道路拡幅を引き続き進めてまいります。

 また、構造物の長寿命化を目的として橋梁15箇所、トンネル2箇所、シェルター1箇所で補修等の工事を進めてまいります。
・街路事業
 3・5・51川東通(北見市)では、常呂川に架かる長大橋の整備をするため上部工工事を引き続き行い、前後道路の用地補償も進めてまいります。
 また、3・3・5とん田通(北見市)では本工事を継続して4車線化の整備を進めてまいります。
・都市公園事業
 開園から23年が経過したオホーツク公園(網走市)において、長寿命化計画に基づき、時代のニーズに対応した公園としての長寿命化やバリアフリー化、再整備工事を継続して進めてまいります。
・空港事業
 女満別空港(大空町)において、滑走路端安全区域の調査・設計を進めてまいります。
・治水事業
 河川事業では近年の大雨による多大な洪水被害に対処するため、平成28年度の大雨出水で被害の大きかった無加川(北見市)や斜里川(斜里町)の改修整備を進めています。
 また、佐呂間別川(佐呂間町)、芭露川(湧別町)、オコツナイ川・ポンオコツナイ川(雄武町)、日吉川(北見市)などの河川について、水辺や周辺の環境に配慮しながら改修整備を進め、洪水被害の解消に努めます。
 砂防関係事業では土石流などの土砂災害を防止するために、右の沢川(網走市)、支湧別川(遠軽町)などで自然環境や景観に配慮しながら施設整備を進めるとともに、土砂災害警戒区域の指定を行い、「危険の周知、警戒避難体制整備への支援」などのソフト対策を進めてまいります。
・漁港・海岸事業
 漁港事業では水産流通基盤整備事業として、常呂漁港(北見市)、沙留漁港(興部町)、沢木漁港(雄武町)について、衛生管理型への対応を行いながら静穏対策等の漁港施設整備を進めてまいります。
 さらに、海岸事業では、越波の著しい元稲府漁港海岸(雄武町)で整備を進めてまいります。
日吉川総合流域防災河川改修工事

── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時における復旧対策などを担う建設業界へ要望・期待などをお聞かせください
宮下 公共施設の整備や維持管理はもとより、災害時の対応などに関して、この地域に精通した建設業界の方々の高い技術力や施工能力は大変重要であり、建設業は我々の目的を達成するには、なくてはならない重要なパートナーであると認識しております。
 今後も、蓄積された技術・知識・人材等の持てる力を遺憾なく発揮していただき、このオホーツク地域をさらに魅力のある地域にしていただきたいと願っています。

HOME