建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年8月号〉

 副局長インタビュー 上川総合振興局

北海道の交通の要衝として交通ネットワーク強化で
観光振興・物流の効率化や水害・土砂災害防止に取り組む

 北海道 上川総合振興局 副局長(建設管理部担当)
谷山 剛
 たにやま・つよし
 昭和35年12月19日生、厚沢部町出身
 室蘭工業大学大学院修了
 昭和61年 採用
 平成23年6月 空知総合振興局札幌建設管理部地域調整課長
 平成25年4月 後志総合振興局小樽建設管理部事業室長
 平成27年6月 建設部建設管理課建設業担当課長
 平成29年4月 建設部都市環境課長
 平成30年4月 現職

──本年度の事業推進にあたり抱負をお聞かせ下さい
谷山 昨年は、7月豪雨により、河川の氾濫や道路の崩壊など甚大な被害が発生しましたが、建設会社や建設コンサルタントの皆様や関係機関の連携により、今年度から本格的な復旧を進めることができました。まずは、被災地の復旧・復興に全力で取り組んでまいります。
 さて、上川管内は、豊かな自然環境や景観に優れた観光資源に恵まれるとともに、道内有数の食料供給地域であります。また、北海道の中央に位置し、道央圏や道北圏、道東圏を接続する交通の要衝であることから、観光振興や物流の効率化などを図るため、交通ネットワークの強化が求められているほか、水害や土砂災害などの自然災害に対する早期の備えが課題となっております。
 このような課題に対し、地域の皆様に真摯に向き合い、私ども職員一体となって、取り組んでまいります。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組みについてお聞かせください
旭川東神楽道路(下部工)
谷山 上川管内では、平成28年には、空知川(南富良野町)において大規模な洪水氾濫が発生したほか、天人峡美瑛線(東川町)の道路決壊やペーパン川(旭川市)の浸水被害など繰り返し被害を受けております。さらに、十勝岳の火山噴火の懸念もあることから、安全・安心な地域づくりが益々重要となっています。
 ソフト対策としては、土砂災害防止法に係る基礎調査の令和元年度完了を目指すほか、切迫性のあるわかりやすい河川情報を提供するための簡易型水位計や河川監視カメラの設置を進め、早めの避難行動への支援を図ります。
 ハード対策としては、ペーパン川・倉沼川(旭川市・東川町)などで、樹木伐採や河道掘削、豊栄川(名寄市)において遊水地、ヌッカクシ富良野川(中富良野町)においては分水路の整備を進め、浸水被害の防止・最小化を図るほか、比布川(比布町)では、越水による堤防決壊までの時間を延ばすための堤防天端舗装を整備します。
 土砂災害対策では、十勝岳噴火に伴う泥流被害など土砂災害の防止・軽減のため、富良野川(上富良野町)において砂防堰堤等の整備を進めるほか、旭川旭神3条1丁目(旭川市)において急傾斜地崩壊対策事業を推進します。
 そのほか、安全・安心な交通の確保のため、美深中川線の永代橋において掛け替えを進めるほか、夕張新得線(占冠村)などにおいて雪崩対策、東川東神楽旭川線(東神楽町)や士別滝の上線(下川町)などにおいて交通安全対策を推進します。
── 平成31年度(令和元年)予算執行にあたり北海道の基幹産業の農業・水産業の向上や観光振興、環境整備事業などの取組をお伺いします
富良野川火山砂防事業(5号堰堤)
谷山 管内の食と観光に関連する基幹産業を支え、上川管内の特性を活かした地域発展のためには、交通ネットワークの強化が重要な課題となっております。
 道路事業では、沿線に旭川空港や工業団地、旭山動物園があり物流・観光面で大きな役割を担うことが期待されている地域高規格道路「旭川十勝道路」の一部となる旭川東神楽道路(旭川市・東神楽町)において、早期の暫定2車線の供用開始に向け、橋梁の新設などを進めます。
 また、地域の医療や生活、農作物等の物流を支える交通ネットワークの連携強化のため、旭川幌加内線(旭川市・幌加内町)や金山幾寅停車場線(南富良野町)において交通上の隘路となっている区間などで道路改良を進めていきます。
 このほか、河川環境に配慮し魚類等の移動の連続性を確保するため、辺別川(美瑛町)において既設砂防堰堤の改良(スリット化)を実施します。
旭川幌加内線(1工区)

── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時における復旧対策などを担う建設業界への要望・期待などをお聞かせください
富良野川改修工事(ヌッカクシ富良野川分水路地区)
谷山 昨年7月の道路の崩壊や河川の氾濫などの復旧作業等に、大きな力を発揮したように、建設産業は地域の安全・安心に重要な役割を担うとともに、日々の維持管理や冬期の除雪など、日常生活や経済活動になくてはならない存在であります。また、地域の経済や雇用を支えるなど、大きな役割を果たしているところです。
 一方で、人口減少・少子高齢化で、若年者の入職が減少しており、将来への担い手の確保・育成が課題となっています。このため、当部としても、関係機関などと連携を図り「北のけんせつ担い手」育成会議を3月に立ち上げ、現場見学会など通じ、建設産業の魅力を再認識してもらうなど、持続的発展に向けた取組を進めてまいります。
 今後とも、地域の社会資本整備を通じ地域経済の発展に貢献されることを期待しています。

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