建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年8月号〉

 副局長インタビュー 胆振総合振興局 副局長(建設管理部担当) 兼 日高振興局

胆振東部地震による被災地復旧・復興への迅速な取組と多種多彩な地域産業を支える基盤整備を図る

 胆振総合振興局 副局長(建設管理部担当) 兼 日高振興局 副局長
縄田 健志
 なわた・けんじ
 1963年3月22日生、旭川市出身
 室蘭工業大学大学院修了
 2015年6月 小樽建設管理部事業室長
 2016年4月 建設部建設政策課政策調整担当課長
 2018年4月 建設部都市計画課長
 2019年6月 現職

── 副局長就任にあたり抱負をお聞かせください
縄田 まずは、昨年の胆振東部地震で被災した道路、河川等の復旧を迅速に進めることに全力を尽くします。また、甚大な被害を受けた厚真町、安平町、むかわ町の支援にも力を入れて取り組みたい。そして、被災地の一日も早い復旧・復興を目指してまいりたい。
 もう一点は、市町や関係団体など地域の方々との対話を重ね、安全安心の確保や観光振興など地域のニーズをしっかりと把握し、防災・減災対策やこれからの社会資本整備に活かしてまいりたい。
 そして、職員一人ひとりが活躍できる環境づくり、風通しのよい職場づくりを進め、組織一丸となり課題に取り組み、道民に信頼される組織づくりを進めてまいりたい。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組みについてお聞かせください
気門別川改修工事(伊達市)
縄田 胆振日高には、有珠山等の活火山や二千箇所以上の土砂災害危険箇所があり、海岸線も東西に長く、火山噴火や大雨、波浪による災害が非常に多い地域です。特に、昨年は胆振東部地震により甚大な被害を受け、多くの尊い人命が失われました。まずは、地震で被災した道路、河川等164箇所の復旧を迅速に進めるほか、厚真町吉野、富里地区等12箇所で災害関連緊急砂防事業・急傾斜事業を鋭意進めます。
 道路事業では、津波災害時の避難道路確保に資する上向別浦河停車場線(まきば通)や、有珠山噴火に備えた滝之町伊達線(有珠山外環状線)のバイパス整備を推進します。また、急カーブ等の危険箇所対策として高見西舎線などの整備を行うほか、通学路の安全対策として南黄金長和線では歩道の整備を行います。橋梁補修では長寿命化計画に基づき平取門別線の平取橋や滝之町伊達線の壮瞥橋等15橋で事業を進めます。
 河川事業では、安平川で集中的な対策を行うほか、気門別川、真沼津川等の整備を継続して進めます。
 砂防事業では、トマチャナイ川等の事業を推進するほか、牛舎川等で新規事業に着手し、急傾斜事業では室蘭母恋南町4丁目や浦河昌平町等の整備を推進します。また、地すべり対策については様似地区で整備を推進します。
 海岸事業では、黄金海岸や虎杖浜海岸の離岸堤整備を引き続き行い、富岸海岸、駒場海岸で新規事業に着手します。
 その他、沙流川や白老海岸、登別海岸で災害復旧助成事業を継続するほか、鵡川漁港や登別海岸で災害復旧事業を推進します。
── 令和元度予算執行にあたり北海道の基幹産業、農業・水産業の向上や観光振興、環境整備事業などの取組をお伺いします
メナの沢川災害関連緊急砂防工事(厚真町)
縄田 胆振及び日高管内は、室蘭市や苫小牧市を中心とした工業、洞爺湖や登別温泉を中心とした観光業、地域ごとに特色ある農業や水産業、日高の軽種馬生産など、多種多様な産業が展開されているところです。
 これらの地域産業を支える基盤整備として、観光や物流に欠かせない交通ネットワークの整備や水産物供給基地としての漁港整備を引き続き進めていきます。
 道路事業としては、救急医療や物流交通の利便性向上を目的とした苫小牧中央インター線(仮称)の事業推進等により交通ネットワークの強化を図ります。街路事業では停車場通(伊達市)、東通(登別市)で事業を推進します。
 また、民族共生象徴空間「ウポポイ」の来年4月開業に向け、白老大滝線(公園通)や白老駅前広場の整備を概成させます。
 漁港事業では礼文漁港等において、機能保全事業により漁港施設の長寿命化や浚渫による水域安全利用の確保を図るほか、静内漁港では漂砂対策として防砂堤整備を継続して進めるとともに、富浜漁港拡張整備及び春立漁港越波対策の事業を推進し、さらにイタンキ漁港の外防波堤改良のための調査設計に着手します。
高見西舎線改築工事(浦河町)

── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時における復旧対策を担う建設業界へ要望・期待などお聞かせください
縄田 建設産業は、社会資本整備はもとより、地域の経済や雇用を支えるとともに、災害時の緊急を要する対応から日常的な維持管理の対応まで、広い範囲で地域の安全・安心を担っており、地域の守り手として重要な役割を果たしています。
 昨年の地震災害でも発災直後から昼夜を問わずご尽力いただき、大変感謝しております。担い手不足など難しい課題もありますが、これからも地域の中心となって、社会に貢献されることを期待しています。
苫小牧中央インター線(仮称)
 道路改良工事(苫小牧市)

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