建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年8月号〉

 副局長インタビュー 空知総合振興局・石狩振興局

防災・減災・国土強靭化のための3か年緊急対策推進や「食」「観光」資源を活かし地域振興を図る

 空知総合振興局(建設管理部担当) 兼 石狩振興局 副局長
田中 浩之
 たなか・ひろゆき
 北海道出身
 北海学園大学卒
 令和1年6月1日 空知総合振興局副局長(建設管理部担当)兼 石狩振興局副局長
 平成29年4月1日 東京事務所副所長
 平成27年6月1日 建設部建設政策局建設政策課長
 平成26年4月1日 建設部建設政策局建設管理課技術管理担当課長

── 副局長就任にあたりまして抱負をお聞かせください
田中 札幌建設管理部は、道央圏の空知総合振興局及び石狩振興局を所管区域とし、東西に約110km、南北に約150kmの広がりを持ち、面積は9332m2と全道の11%を占めています。管内人口は約268万人と全道の約50%を占め、北海道の政治・経済の中心的な地域となっており、新千歳空港や石狩湾新港という交通拠点など有しています。さらには、米どころの空知の農業、ワイン、炭鉱の記憶など多彩な地域資源に恵まれています。
 こうした地域のポテンシャルを十二分に引き出し、活力ある北海道を牽引するため、これまでの整備してきた施設をしっかりメンテナンスしていくとともに、安心安全な暮らしや経済・産業活動を支える道路・河川などの基盤整備がまだまだ必要と考えています。
── 安全で安心な地域づくりと防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
3・3・304南大通 街路事業
田中 近年、自然災害による被害が頻発化・激甚化しており、昨年7月の豪雨、9月の胆振東部地震などにより、地域住民等の安全・安心や経済社会活動が大きく損なわれました。
 札幌建設管理部としても「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」に基づく対策を始めとした、防災・減災等に向けた重要インフラの機能強化などハード並びにソフトの両面から対策を進めていきます。
 具体的には、河川事業では、岩見沢市内を流れる利根別川において、市街地の浸水被害を防止するための改修事業を進めておりますが、そのうち平成24年9月の大雨で大きな被害を受けた支川南利根別川工区については今年度中の完成を目指しており、他の工区についても早期完成を目指し事業を進めて参ります。
 また、平成26年9月の大雨で浸水被害のあった札幌市内を流れる月寒川では、今年度より堤防の新設や河道の掘削など、浸水被害の防止を図るための改修事業に着手します。さらには、管内の琴似発寒川などにおいて、危機管理型水位計の設置を進め、減災防災の体制強化に努めます。
 道路事業では、道道恵庭岳公園線において、落石崩落などの危険箇所を解消し、支笏洞爺国立公園内の観光ルートの安全な通行の確保を目指して整備を進めます
 砂防事業では、月形町内の札比内川・中小屋川において、土石流等による下流市街地や避難路である国道275号などの被害を防ぐため、砂防堰堤工や遊砂地工の整備に着手しており、早期完成を目指し整備を進めていきます。
 また、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等に係る基礎調査については、今年度の完了を目指し、約330箇所の基礎調査を行うとともに、土砂災害警戒区域等の指定を推進していきます。
── 平成31年度(令和元年度)予算執行にあたり北海道基幹産業の農業・水産業の向上や観光・環境振興など整備事業の取組をお伺いします
主要道道 美唄富良野線
田中 石狩・空知地域は、北海道の開拓・開発の歴史を見ても、早くから開けた地域であり、「食」や「観光」といった面で、高いポテンシャルを有しています。農作物や加工品、多様な自然など、豊富な資源に恵まれており、これらの資源を地域振興に役立てるため、地域の特色・ブランド力を活かした地域づくりや物流・人流を支えるための事業の推進に努める考えです。
 例えば、道路事業では、道道美唄富良野線の整備を進めます。南空知地域と上川南部地域の短絡ルートを形成する路線で、物流の効率化や観光アクセス向上のため、未開通区間の道路改築、現道の拡幅などを進めています。
 今年度は、東美唄トンネルの覆工・坑門工、擁壁工、路盤舗装工、地すべり対策工等を実施する予定です。
 街路事業では、江別市の南大通大橋の架設を進めています。この事業により江別市中心部と東部を連絡する新たな路線が整備され、国道12号などの交通渋滞の緩和が期待されます。また、江別市の東部地域は水害を受けやすい地域でもあり、洪水時の大麻・野幌方面への避難ルートの確保が望まれています。市街地の分断を解消し、交通の混雑緩和や洪水時の避難ルートを確保するため早期の完成を目指し事業を進めています。
月寒川

── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時の復旧対策などを担う建設業界への要望・期待などお聞かせ下さい
田中 昨年7月の豪雨や9月の胆振東部地震による災害に際し、応急対策などに迅速に対応していただきました。
 また、日頃から道路や河川といった社会資本の整備や維持管理を通して、地域の安全安心の確保にご尽力いただいている建設業の皆様には、大変感謝しております。地域の経済・雇用を支える建設産業が、継続的かつ安定的に経営が続けていくためにも、今後も担い手づくりの取組などをすすめていただきたいと思っております。
 札幌建設管理部としても、皆さんのご意見によく耳を傾けながら、業界全体にとってプラスになる取組や仕組みづくりを官民一体となって進めたいと考えております。
中小屋川

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