建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年7月号〉

【寄稿】

市民と利用者から喜ばれ親しまれる“みなとづくり”を目指して

 国土交通省 近畿地方整備局
 大阪港湾・空港整備事務所 所長
箱田 厚

大阪港全景

1.はじめに

 近畿地方整備局大阪港湾・空港整備事務所は、大阪府下の港湾・空港の整備を管轄し、市民とユーザーから喜ばれ親しまれる“みなとづくり”を目指しています。
 現在、国際戦略港湾「大阪港」、国際拠点港湾「堺泉北港」及び「八尾空港」において整備事業を進めており、ここではその概要をご紹介いたします。

@大阪港の概要

 大阪港は、大阪都市圏をはじめとする広域的な背後圏を抱え、高速道路・幹線道路網とのアクセスにも優れた港で、国際コンテナ戦略港湾「阪神港」の一役を担い、わが国の経済、文化、社会の発展に対し、常に先導的な役割を果たしています。また、市民生活の基盤、地域産業の発展を支え、時代に応じた新しい産業の育成の場として、重要な役割を果たしています。
 これまでは、南港地区がコンテナ物流の拠点として発展してきましたが、貨物量の増加や船舶の大型化に対応するために夢洲地区にコンテナターミナルを展開し、平成29年2月には西日本最長となる岸壁総延長1,350mでの運用が図られています。

A堺泉北港の概要

堺泉北港全景

 堺泉北港は背後に大規模な堺泉北臨海工業地帯をかかえる国際拠点港湾で、原油・LNGの輸入、石油製品・化学薬品の出荷等の物流を支えているほか、西日本有数の中古自動車の輸出拠点でもあります。
 また、石油精製・石油化学・都市ガス製造工場等がコンビナートを形成し、大型液晶パネル工場も立地しています。さらには、大規模災害が発生した際においては広域防災拠点の機能を担うなど、工業港としての性格を超えた発展をしています。

B八尾空港の概要

 現在、八尾空港は小型機による産業航空活動や官公署等の航空基地として、また、最近のレジャー産業の発展に伴う個人の自家用機利用が増加しています。また、八尾空港の近傍には、阪神淡路大震災の後、大阪府が中部広域防災拠点として備蓄倉庫・物資集配センター等を整備し、平成15年度より供用しています。
 平成30年度より大阪港湾・空港整備事務所において、老朽化した滑走路や誘導路等の改良工事を実施しています。

2.各港の整備状況

@大阪港の整備状況

 平成16年7月、大阪港は神戸港と連携した「阪神港」として、複数バース一体運営等により、港湾コストの削減、リードタイムの短縮を図る「スーパー中枢港湾」に指定されました。 更に、平成22年8月には、ハブ機能を強化するためのインフラ整備と貨物集約等の総合的な対策を推進し、更なる国際競争力の強化を目指す「国際コンテナ戦略港湾」に選定されました。
 このうち、大阪港の中心が北港南地区国際海上コンテナターミナル(夢洲コンテナターミナル)です。
 夢洲コンテナターミナルでは、既に供用されていた2バース(C-10、C-11)に加え、水深-16mの耐震構造の岸壁(C-12)を平成21年10月に供用を開始し、以降、3バース(C-10、C-11、C-12)の一体的な運営が行われています。さらに、船舶の大型化の傾向や集荷への取り組みによる利用需要に対応するため平成25年度よりC-12の延伸工事を進め、平成29年2月に岸壁部分の供用を開始しました。
 現在は、岸壁背後のヤードの整備を進めているところであります。

C-12延伸部ヤード整備工事


 夢洲コンテナターミナルへの進入路となる大阪港の主航路は、現在水深-15mで暫定的に供用しているところでありますが、今後、国際海上コンテナターミナル整備の一環として、主航路に接続する航路・泊地および泊地と一体で拡幅、-16mへの増進を進める予定です。
 これらの整備に伴って発生する浚渫土砂を計画的、安定的、経済的に処分するため、新島地区に土砂処分場の整備を進めています。

A堺泉北港の整備状況

 大阪湾のコンテナ貨物及び中古自動車、中古建設機械等の外貿貨物需要の増加に対応するため、また阪神淡路大震災の教訓から大規模地震災害発災時に対応するため、助松地区において耐震性を強化した、コンテナを取り扱える国際物流ターミナルとして整備を進めています。
 平成18年4月から水深-14mの耐震構造の岸壁(延長300m:1バース)が暫定供用を開始しており、現在、岸壁の整備に引き続き、水深-14mの航路の整備を進めています。

3.おわりに

 夢洲地区において2025年の万博の開催が決定するなど、今後の近畿経済の発展が期待されているところです。 このように大阪の港湾ならびに空港を取り巻く状況が大きく変化していく中で、近畿地方整備局大阪港湾空港・整備事務所としましても、関係機関とも協力を得ながら、港湾・空港行政に取り組んでまいりたいと思います。

航路(-14m)浚渫工事


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