建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年7月号〉

【寄稿】

過密都市・東京の過密緩和に挑む

―― 「渋谷駅周辺整備」と「日本橋地区都市再生事業」

 国土交通省 関東地方整備局
 東京国道事務所 所長
井上 圭介



 我が国の首都・東京の中枢部における国土基盤・都市基盤の整備、管理を担う私たち東京国道事務所では、都市再生の促進として、各地でまちづくりと一体となった交通結節点事業の整備を推進しています。
 特に、東京国道事務所で整備している交通結節点事業は、人や車の往来が激しい大都市の過密地帯で、多数の交通手段が集まる交通結節点における大規模な事業となっています。 その中で、現在施工が進む「渋谷駅周辺整備」と「日本橋地区都市再生事業」の二つの事業を、ご紹介します。
 渋谷駅周辺は、デパートやオフィスなどの商業・業務施設が集中している日本を代表する地域ですが、人や車で常に混雑し、鉄道の乗り換えが不便であることなど、様々な交通課題を抱えています。また一方では、駅周辺の再開発が顕著に進められ、渋谷のまちが生まれ変わろうとしています。
 そのため「渋谷駅周辺整備」では、駅周辺の開発事業と連携を図りながらデッキや地下歩道を整備しており、駅周辺の回遊性を促す歩行者ネットワークを形成することで、様々な交通課題を解消し、地域の活力をさらに高めていきます。
 平成31年3月26日には東口歩道橋の架替工事が完了し、これから西口歩道橋の架替工事が本格化していきます。


 また、日本橋地区は江戸時代より商業の中心として栄え、現代にまでその伝統を引き継いだ老舗や歴史ある建造物が多数立地する地域です。現在は、更新時期を迎えた建物の建て替えとともに、新たな街づくりに向けて多くの再開発計画が進められています。
 こうした日本橋地区の都市再生を支援するため、一般国道4 号の地下道路空間を有効に活用し、民間の沿道施設と一体となった地下歩道整備により、歩行者空間ネットワークを創出していく「日本橋地区都市再生事業」を進めています。
 整備にあたっては、民間と協働で空間の整備・活用方法の検討を行い、道路空間と民間の沿道施設と一体的に整備することにより、出入り口部の段差解消及び民間側へ地上エレベータや地下歩道設備が設置され、快適な歩行空間の確保・公共歩行空間を官民境界まで最大限確保したバリアフリー化・デザインの調和並びに工事コストの縮減・工期の短縮を図っています。
 この事業によって、歴史的な街並や地元特有の文化を活かし、歩行者環境や景観等に配慮した快適な歩行者空間ネットワークを創出します。


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