建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年3月号〉

【寄稿】

函館新外環状道路函館市見晴トンネル工事

 伊藤・宮坂特定建設工事共同企業体
 見晴トンネル工事作業所 所長
齊藤 寛治


 函館新外環状道路は、函館ICから函館空港ICへ至る延長10kmの自動車専用道路です。このうち空港道路は、高速ネットワークの拡充による近隣都市間の連絡機能の強化を図り、地域間の活性化及び重要港湾函館港・拠点空港函館空港への物流効率化等を支援するとともに、函館市内の交通混雑の緩和、交通事故の低減等を目的とした事業です。
 北海道開発局函館開発建設部より発注された見晴トンネル工事は、空港道路のうち函館市滝沢町から高丘町の市街地に近接した箇所において、延長799mの山岳トンネルを建設するものです。平成29年2月から、トンネル掘削に着手しました。
 本トンネルの特徴は、脆弱な泥岩が主体の地質を、最大でも26.5mしかない低土被り型のトンネルで施工することです。また、トンネルの地表面は、起点側がゴルフ場や函館市道として利用されており、終点側には函館市の配水管φ800や携帯基地局の鉄塔も設置されております。これらインフラ設備への影響を避けるため、トンネル掘削時の地表面の沈下を抑制することが、本工事の重要な課題となりました。
見晴トンネル起点側坑口(掘削時)

3Dレーザースキャナーによる出来形計測
 


 このため、トンネル掘削前に二次元FEM解析により沈下量を予測したうえで、支保パターンの選定や、長尺鋼管先受けAGF工、インバート吹付けによる早期閉合などの対策工を、受発注者間で協議しながら掘削作業を進めてきました。また、地表面にはGPS自動計測システムや地中変位計などを設置して、監視体制の強化も図りました。この結果、周辺インフラ設備へ影響を与えることなく、平成30年8月末にトンネルは無事貫通しました。
 また、本工事では生産性向上を図るため、3Dレーザースキャナーによる覆工の出来形計測、スマートセンサ型枠システムの活用、3DモデルCIMによる施工計画の作成、及びドローンによる残土堆積量の計測など、各種ICT技術の活用にも取り組んでおります。
 本稿は平成31年2月に執筆しており、3月の竣工に向けて坑門工と非常駐車帯のアーチコンクリートを施工しております。これまで実施してきた安全の見える化を継続し、そして高品質なトンネルを納めて地域に貢献できるように、竣工まで作業所の仲間と一体感を持って努力していく所存です。


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