建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年3月号〉

【topics】

2019年度北海道開発予算(案)は総額6358億円で7年連続増額に 北海道開発事業費は前年比14.7%増の6250億円を計上

―― 胆振東部地震からの災害復旧・復興“最優先”通常予算に防災・減災国土強靭化対策で「臨時・特別措置」704億が上積み

2019年度北海道開発予算案

はじめに

 2019年度政府予算案は、一般会計総額は昨年比3.8%増の101兆4564億円で、7年連続で過去最大を更新した。政府予算案は1月28日召集の通常国会において年度内成立を見据え審議に入った。また、2018年度の第2次補正予算(政府案)は、相次ぐ災害から防災・減災対策に向け社会資本整備「国土強靭化」やTPP発効(環太平洋連携協定)による農業水産業支援関連などを重点に編成され、今国会で成立した。北海道関連ではTPP対策・整備事業費を重点に、胆振東部地震を受けたことから災害対策費等が組み込まれている。
 一方で2019年度北海道開発予算は通常予算5654億9600万円と臨時・特別措置として703億8,500万円が合算され総額6358億8100万円(前年比14.6%増)となった。その内、北海道開発事業費は通常予算5546億100万円(前年比1.8%増)で臨時・特別合算では6249億8600万円(前年比14.7%増)で7年連続の増額となった。

2019年度北海道開発予算案

 2018年度北海道開発事業費の主な内訳(本予算)では、治山治水事業で995億円(前年比5.9%増)、道路整備で1988億円(同比1.2%増)、港湾空港鉄道等で360億円(同比9.3%増)、農林水産基盤整備1173億円(同比1.0%増)の計上となっている。さらに、防災対策推進を重点に置いた、臨時・特別予算措置として、治山治水に218億円、道路整備に163億円、港湾空港鉄道等12億円、農林水産基盤整備180億円など合計704億円が計上された予算(案)編成となった。

主な事業

 北海道開発予算は、2016年4月にスタートした第8期北海道総合開発計画(2016年度〜概ね2025年度)で「人が輝く地域社会の形成」「世界に目を向けた産業振興」「強靭で持続可能な国土形成」を重点目標に据え、北海道の強みである「食」「観光」関係分野等における成長・活性化の流れを伸ばすとの計画で「世界の北海道」をキャッチフレーズとしている。
 4年目の今年も「食と観光」の戦略的産業振興を基軸とした事業計画を推進することになるが、今年度は北海道胆振東部地震による甚大な被害を受けたことから復旧・復興事業を最重点に、今後予想される自然災害に備え防災・減災対策を重視し“強靭な国土化”を推進する予算措置となった。
 事業別では、道路関連(道路整備・道路環境整備)で高規格幹線道路整備として旭川紋別自動車道遠軽瀬戸瀬-遠軽、深川留萌自動車留萌大和田−留萌間、や道横断自動道恩根沼−根室間を推進する。また、後志自動車道倶知安余市道路整備を推進するなど観光地へのアクセス道路、物流ネットワークの整備を推進する。
 治水事業では、ペーパン川の緊急治水対策や多様化する豪雨災害等対策で石狩川、十勝川、天塩川など改修・砂防工事や常呂川などの河川掘削対策を進めるほか千歳川遊水地整備は年度内完成を目指す。一方、ダム事業では幾春別川総合開発三笠ぽんべつダム本体工事、新桂沢ダム本体工や平取ダム本体工事などに大幅な予算増となり、雨竜川ダム再生事業にも予算付がされた。
 港湾空港事業では、世界水準の観光地の形成として観光客の受け入れ機能強化で新千歳空港の誘導路新設など機能強化や函館空港機能整備、稚内空港の滑走路整備を推進する。また、大型クルーズ船受け入れ環境整備で函館港、小樽港で岸壁改良環境整備事業を推進する。釧路港、石狩湾新港では国際物流機能強化で外郭施設や水域施設整備を行う、苫小牧港では国内物流機能の強化を図る。
 農業水産基盤整備として、農地大区画化、暗渠、かんがい排水等の農地整備推進で、農業生産効率や付加価値の向上と災害に強い農業を目指す。
 水産基盤整備では、漁港の高度衛生管理対策、藻場造成や港湾施設の整備で水産物輸出促進を目指す。一方、漁港の耐震・津波・高潮対策の強化進めるほか胆振海岸などの海岸保全施設整備事業も推進する。

■2019年度北海道開発予算額 (単位:百万円)

※四捨五入の関係で合計と内訳が一致しない場合がある。


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