建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年2月号〉

【年頭所感】

主力産業の漁業・酪農・観光振興に資する整備事業や
「災害に強い地域づくり」を推進

 国土交通省 北海道開発局
 稚内開発建設部 部長
熊谷 政行


 明けましておめでとうございます。皆様には、日頃から稚内開発建設部が実施する事業の推進に特段のご支援とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
 昨年を振り返りますと、北海道では9月に発生した北海道胆振東部地震が、被災地域に甚大な被害をもたらすと共に、道内ほぼ全域が電源を喪失するブラックアウトにより、宗谷地域にも生活や産業に大きな影響を及ぼしました。また、全国に目を向けても、大阪北部地震や西日本豪雨、度重なる大型台風上陸と、自然災害が、各地に大きな爪痕を残した1年でした。
 日本列島の特性上、自然災害のリスクは避けられませんが、こうした災害リスクを想定外とせず、最悪の事態を回避するための防災・減災体制の強化の重要性を改めて認識したところです。
 さて、稚内開発建設部が管轄する宗谷地域は、漁業と酪農を主力に、離島や宗谷丘陵をはじめとする豊かな自然と独特の風景など観光資源にも恵まれた地域です。
 一方で、厳しい気象条件や、大消費地との距離などのハンデを抱える地域でもあり、急激な人口減少と高齢化の進行と相まって、住み続けられる環境づくりが課題となっています。
 「生産空間を支え、世界の北海道を目指す」とする第8期北海道総合開発計画は、閣議決定から4年目を迎えますが、この中で宗谷地域は、「生産空間」及び「国境周辺地域」として、重要な地域に位置づけられています。
 そのため、稚内開発建設部といたしましては、宗谷地域の資源や特性と北海道総合開発計画の趣旨を踏まえ、効果的かつ効率的な社会資本整備と新たな価値を創造し地域の活力を高める取組を実施してまいります。
 併せて、関係機関と連携を図りながら「災害に強い地域づくり」を進め、大規模土砂災害時の緊急調査隊(TEC-FORCE)派遣などの体制面でも地域を支えてまいります。
 当部の主な事業をご紹介いたしますと、道路事業では、安全・安心な交通確保のため、防災対策、道路構造物の長寿命化対策、事故ゼロプランに基づく交通安全対策、電線共同溝事業による無電柱化を実施します。
 港湾整備事業では、防波堤や岸壁の老朽化対策などに取り組み、安全・安心な船舶の航行や効率的な荷役に資するとともに、枝幸港で屋根付き岸壁の整備を推進し、農水産品の輸出拡大を図ります。
 稚内空港では、滑走路舗装の劣化対策を行うとともに、滑走路端安全区域の拡張整備を進め、航空機離発着時の安全性を高めます。
 農業農村整備事業では、機能低下した生産基盤を回復させる国営総合農地防災事業及び区画整理により効率的な生産体制を確立する国営農地再編整備事業の実施並びに国営土地改良事業に係る各種調査を進めます。
 水産基盤整備事業では、水産物の流通機能の強化、漁船係留の安全性向上と漁業活動の効率化や就労環境の改善を図る施設の整備に取り組みます。
 管内市町村や地元建設業への技術的支援では、地域の技術力向上に向けて講習会等の開催、担い手確保や働き方改革については建設協会等との意見交換を通じて地域の実情に応じた取り組みとなるよう努めます。
 結びに、本年が皆様にとって健やかで明るい年となりますよう御祈念申し上げ、年頭の挨拶といたします。

熊谷 政行 くまがい・まさゆき
出身地 岩手県
昭和60年3月 岩手大学 工学部 土木工学科 卒業
昭和60年4月 北海道開発庁(旭川開発建設部) 採用
平成21年7月 独立行政法人土木研究所 寒地土木研究所 寒地道路研究グループ 上席研究員(寒地道路保全)
平成24年4月 独立行政法人土木研究所 寒地土木研究所 寒地保全技術研究グループ 上席研究員(寒地道路保全)
平成26年4月 札幌開発建設部 札幌道路事務所長
平成27年4月 建設部 道路建設課長
平成28年4月 国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所 寒地保全技術研究グループ長
平成30年7月 稚内開発建設部長

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