建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年2月号〉

【年頭所感】

社会基盤整備で「食」「観光」の“メッカ”オホーツク圏の
強みを活かした地域づくりを支援

 国土交通省 北海道開発局
 網走開発建設部 部長
渡邊 政義

 新年明けましておめでとうございます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。平素より網走開発建設部の事業実施に関しまして、ご理解とご協力を賜り、お礼を申し上げます。
 改めて、昨年の北海道胆振東部地震に関して、亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げるとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 当部管内では、幸いにも社会基盤への被害は発生しませんでしたが、全道一斉のブラックアウトによる社会経済への大きな影響があり、当部としては、自治体等の支援要請に基づき、発電機等の災害対策機器の貸出を行うなど、出来る限りの応援を行ったところです。なお、その対応は、網走建設業協会など建設業関連団体の協力を得て、実行出来たものであります。一方で、厚真町など実際の被災地に対しては、当部の技術職員を中心とする緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)や農業農村緊急災害派遣隊(水土里(みどり)災害派遣隊)を出動させ、技術的な支援を行ってきました。このうち、農業農村緊急災害派遣隊に関しては、本年も継続して、導水路など復旧事業の支援にあたる予定です。
 さて、北海道開発局では、第8期北海道総合開発計画において、「食」と「観光」を戦略的産業と位置づけて『世界の北海道』の実現を目指すとし、そのために、農林水産業、観光産業等を担う『生産空間』を支えていく取組を推進するとしています。そして、8期計画における「人が輝く地域社会」、「世界に目を向けた産業」、「強靱で持続可能な国土」という3つの目標に対して、当部では、所管する河川、道路、港湾・漁港、農業の社会基盤整備を通じて、食と観光の“メッカ"であるオホーツク圏の強みを活かした地域づくりを支援してまいります。
 具体的には、「人が輝く地域社会」に関しては、『生産空間』の担い手である地域住民が安心して暮らせるよう、通院や通学などを支える国道の整備や除雪、交通安全対策等を促進いたします。また、「世界に目を向けた産業」に関しては、食料供給基地としての持続的発展を目指して、物流の効率化・輸出競争力強化のための高規格幹線道路や港湾等の整備を促進します。あわせて、四季折々の魅力にあふれるオホーツク観光を、国内外からのお客様に安心して楽しんでいただけるよう、適切な道路案内情報の提供などに努めていきます。さらに、「強靱で持続可能な国土」に関しては、近年頻発する洪水被害の防止軽減など災害に強い地域づくりに向けて、ハード及びソフト対策に取り組むとともに、かわまちづくりなど環境にやさしい事業を進めていきます。
 次に、当部の今年の事業概要につきまして、改めてご紹介します。
 治水事業では、平成28年の常呂川の洪水被害を踏まえて、「北海道緊急治水対策プロジェクト」として災害復旧・再度災害防止のための対策を集中的に実施してまいります。
 港湾・漁港整備事業では、品質・衛生管理体制の確保により商品価値の向上を図るべく、全国で初めて認定された農水産物輸出促進計画に基づき、紋別港などで屋根付き岸壁等の整備を進めるなど、オホーツクブランドの水産物輸出促進に努めてまいります。
 農業基盤整備事業では、食料供給力向上を目指して実施する国営かんがい排水事業において、「兵村地区」(湧別町)(本年3月末完了)や「美女地区」(美幌町、大空町)(平成31年度末完了)を整備促進するとともに、新たに「網走川中央地区」(美幌町、大空町)などの事業を展開していきます。
 道路事業では、旭川・紋別自動車道「遠軽瀬戸瀬IC〜遠軽IC」間の平成31年度開通に向け整備を促進するとともに、地域の関係各方面から整備促進要望を長年頂いております北海道横断自動車道(網走線)「端野〜高野」間に関しては、計画段階評価を含め出来るだけ早期の新規事業化に向けた各種手続きを鋭意進めてまいります。なお、安全で円滑な冬期道路交通の確保に関しては、除雪作業を鋭意進めるとともに、近年は暴風雪が各地で頻発していることを踏まえて、自治体など関係機関との情報共有・連携を深めながら適切な道路管理に努めてまいります。さらに、当部とイコールパートナーである地元建設業界に対しては、今日的課題である「働き方改革」などに対応すべく、週休2日制の導入を一層進めるとともに、熟練労働者不足への対応の一環として、除雪機械のオペレータを省力化するための実証実験を、今冬に知床峠において実施いたします。
 このように、網走開発建設部では、今年も皆様方のご理解・ご支援の下、様々な取組を進めてまいります。今年一年を通じて、オホーツク経済の益々の発展ならびに皆様方のご健勝とご多幸を祈念しまして、新年のご挨拶といたします。

渡邊 政義 わたなべ・まさよし
平成元年3月 北海道大学大学院工学研究科修了
平成元年4月 北海道開発庁採用
平成6年4月 建設省 東北地方建設局 郡山国道工事事務所 調査課長
平成10年9月 北海道開発庁 企画室 開発専門官
平成14年4月 北海道開発局 旭川開発建設部 道路第1課長
平成16年4月 外務省在フィンランド日本国大使館一等書記官
平成20年5月 北海道開発局 建設部 道路計画課 道路調査官
平成24年11月 北海道開発局 札幌開発建設部次長
平成27年4月 東北地方整備局 秋田河川国道事務所長
平成29年4月 北海道開発局 事業振興部 都市住宅課長
平成30年7月 北海道開発局 網走開発建設部長

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