建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年2月号〉

【年頭所感】

防災・減災、国土強靱化対策の推進 災害時の積極的な市町村支援

 国土交通省 北海道開発局
 旭川開発建設部 部長
樺澤 孝人


 明けましておめでとうございます。新しい年を迎え、謹んで皆様の御健勝を心からお慶び申し上げます。
 皆様には平素から実施しております開発事業につきまして、特段のご理解とご協力を賜り厚くお礼を申し上げます。
 昨年を振り返りますと、上川管内では、3月の暴風雪、7月の豪雨災害、9月の北海道胆振東部地震に起因する大規模停電などが発生し、全国的にも自然災害が頻発するなど改めて防災・減災対策の重要性について再認識したところであり、今般の重要インフラの緊急点検も踏まえ、防災・減災・国土強靱化の対策についてしっかり対応していきたいと思います。また、災害支援としましても、内水排水、給水、発電機などの自治体支援をさせて頂きました。管外においても、北海道胆振東部地震や西日本豪雨災害の被災地にTEC-FORCE及び水土里(みどり)災害派遣隊などを派遣しています。今後とも災害時の市町村支援等に積極的対応してまいります。
 また、昨年11月24日には整備を進めてきました旭川十勝道路「富良野道路」(北の峰IC〜布部IC)が開通し、富良野地域の観光活性化など多くの効果が期待されています。
 建設業界との関わりでは、昨年6月に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)が成立し、長期時間労働の是正、賃金格差の是正、多様な働き方の実現に向けた見直し取組が喫緊の課題となっているところであり、北海道開発局においても、工事・業務の円滑な執行のもと品質確保・生産性向上、働き方改革の実現を図るため「平成30年度北海道開発局建設業等の働き方改革実施方針」を定め、工事書類の簡素化、適正な工期設定や適正な賃金水準の確保、週休2日確保推進、工期の平準化など、労働環境の改善及び技術者技能労働者の確保・担い手育成等、関係業界の皆様方と連携しながら、今後とも積極的に取り組んでまいります。
 さて、策定から4年目となります北海道総合開発計画については、北海道の強みである「食」と「観光」を戦略的産業として位置付け「世界の北海道」を目指し、上川地方の恵まれた「生産空間」を維持するための具体的な施策について「名寄周辺モデル地域圏域検討会」で議論された意見を踏まえ開発事業を展開してまいります。
 各事業につきましては、治水事業では、石狩川上流において旭川市街部の河床低下対策のほか、堤防整備や支川ウッペツ川の合流点処理である水門整備等、天塩川上流においては、美深地区の河道掘削、堤防整備等を実施し、引き続き治水安全度の向上を図ります。
 砂防事業では、十勝岳が前回噴火から約30年が経過し、噴火の逼迫性が高まっていることから、堰堤掘削や除石による流路拡幅等により、融雪型火山泥流災害に備えるほか、層雲峡地区では、遊砂地整備による土砂災害防止の取組を推進します。
 環境整備事業では、石狩川水系美瑛川及び天塩川水系名寄川において「かわまちづくり」計画と連携した水辺整備や、天塩川水系において魚類が持続的に再生可能な河川環境の保全を推進します。
 また、天塩川の洪水調節や水道用水の供給、水力発電等を目的として下川町において建設を進めているサンルダムでは、現在試験湛水実施をしております。
 道路事業では、北海度縦貫自動車道士別剣淵〜名寄間、音威子府バイパス、旭川十勝道路など、広域ネットワークの構築を推進します。その他、冬期交通の信頼性向上、交通安全対策も進めます。
 農業農村整備事業では、管内13地区で事業を進めます。生産コストを削減するための農地の大区画化・農地集積などを行うため、国営緊急農地再編事業旭東地区に着手するとともに、富良野盆地地区や上士別地区等において事業を継続します。また農業用水の安定供給のための農業用水施設の改修、長寿命化等を着実に進めます。
 最後に、本年が皆様にとりまして素晴らしい一年となりますようご祈念申し上げ、年頭のご挨拶といたします。

樺澤 孝人 かばさわ・たかと
平成元年3月 北海道大学 大学院工学研究科土木工学専攻修了
平成元年4月 北海道開発庁採用
平成20年4月 国土交通省 北海道開発局 石狩川開発建設部 千歳川河川事務所長
平成22年7月 同 北海道開発局 函館開発建設部 次長
平成25年7月 同 北海道局 水政課企画官
平成26年4月 同 北海道局 企画調整官
平成27年1月 同 北海道開発局 開発監理部付
平成27年7月 同 北海道開発局 開発監理部 開発調整課長
平成29年4月 同 北海道開発局 旭川開発建設部長

HOME