建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2019年1月号〉

北海道の魅力を、世界に発信

―― 道民の皆様とともに北海道を世界の国や地域とつなげていきたい

── 新年を迎え、知事のこれまでの取り組みの成果を教えてください。
高橋 私のこの4期目については、人口減少・危機突破を最重要課題に掲げ、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて、子育て支援や移住定住、働き方改革の推進、総合教育大綱の策定・推進や未来チャレンジ基金による多様な人づくり、メディカルウィングの就航をはじめ医療福祉の充実、また地域の稼ぐ力を磨くために、インバウンドや食の輸出の拡大、一次産業やものづくり産業の振興など、暮らしと経済の両面から、総合的な対策に取り組んでいるところです。
 そうした中で、やはり、2016(平成28)年3月の北海道新幹線の開業。本道の歴史に新たな1ページを刻むこの日のことは、本当にうれしくて、今でも鮮明に覚えています。
 また、地震の影響は心配されますが、2017(平成29)年度の来道外国人観光客数がおよそ280万人となり、食の輸出の更なる拡大に向けては、今年もどさんこプラザ・バンコク店のオープンや、北海道産ワインのGI指定など明るい動きがありました。
 これまで積み重ねてきたこうした取組が徐々に形になり、北海道ブランドが世界に着実に浸透しているという実感もあります。
 さらに2018(平成30)年は、北海道命名150年。天皇皇后両陛下をお迎えして記念式典を開催するとともに、道民の皆様と一体になって、北海道の歴史を見つめ直し、未来を展望する、まさに節目の年となりました。
 そして、9月6日に発生した、最大震度7という、かつて経験したことのない規模の北海道胆振東部地震により、多くの道民の方々の尊い命が失われました。
 また、北海道全域が停電するブラックアウトに陥るなど、道民の皆様の暮らしや産業基盤に大きな影響が生じました。
 被災地の一日も早い復興、そして北海道経済の再生と更なる発展、このことがまさに喫緊の課題であり、いま総力を挙げて取り組んでいます。
民族共生象徴空間イメージ図

── 知事の考える今後の北海道の将来像や地域づくりの方向性を教えてください。
函館山からの夜景(函館市)
高橋 これからの北海道のあるべき姿として、大切な視点は2つあると思っています。
 一つは「多様性」です。自然と共に生きてきた、先住民族であるアイヌの人々の精神性に学び、その文化を後世へと伝えていくことは、魅力的な北海道を創造する大きな力になります。
 加えて、今、北海道は、多くの外国人観光客にお越しいただいています。国や民族を超えて世界の人々とつながることで、本道の持続的な発展が可能になります。
 2018(平成30)年4月から、障がいのある方々の意思疎通支援や手話言語に関する条例をスタートさせており、障がいのある方も、ない方も、誰もが安心に暮らせる共生の社会をつくっていくことが重要です。
 そして、この広い北海道には、179の市町村があります。地域それぞれの個性と魅力の多様性こそが北海道ブランドの源であり、これを守っていくことが大切です。
 もう一つの視点は「世界の中の北海道」です。国際航空路線の拡大やICTの進展により、本道と世界との距離はますます近くなっています。
 世界に浸透しつつある本道の魅力を、より世界に発信し、世界中の皆さんに、もっともっと北海道を好きになっていただき、道民の皆様とともに、ローカルな北海道をグローバルに世界の国や地域とつなげていきたいと考えています。
── 北海道胆振東部地震が発生しました、道民の命を守る「危機管理」と北海道強靱化の取り組みについて
高橋 今回の地震のみならず、2016(平成28)年には連続して上陸・接近した4つの台風による大雨など、本道では、近年、自然災害が相次いで発生しています。
 自然災害は、いつどこで発生するか予測が難しく予断を許さないものであり、平時から“まさか”へ備えることが、非常に重要となります。
 本道は、過去にも南西沖地震や有珠山噴火、暴風雪など、様々な自然災害を経験してきました。また、積雪・寒冷地であることや、四方が海で囲まれていること、さらには、9つの常時観測火山があるなど、多様な自然災害リスクを抱えています。
 こうした自然災害リスクから道民の皆さんの生命、財産を守るとともに、本道の地理的特性を活かし国全体の強靱化にも貢献するため、道では「北海道強靱化計画」に基づいてハード・ソフト一体となった取組を進めているところです。
 また、平成30年北海道胆振東部地震災害検証委員会を2018(平成30)年11月に設置し、今回の地震災害の対応などについて、検証を行っています。
 今後その結果を防災対策に反映することで、本道の更なる災害対策の充実強化に努めるとともに、“まさか”への備えと強靱なまちづくりを進め、皆さんが安心して暮らせる北海道づくりに取り組んでまいります。
冬ナイトクルーズ青の運河(小樽市)

── 最後に、新年にあって道民の皆様へのメッセージをお願いします。
高橋 地震をはじめ、大雪や豪雨といった自然の猛威が相次いで本道を襲い、道民の皆様の日々の暮らしや経済活動に大きな影響が生じており、2019(平成31)年は、北海道を本来の活力ある姿に戻し、更なる発展へとつなげていく大切な年となります。
 そのため、何よりもまず被災された方々が一日も早く元の暮らしを取り戻すことができるよう、また、これまでにも増して活力ある北海道を築いていけるよう、残りの任期を全力で取り組んでまいります。
 そして、人口減少による様々な課題への対応はもちろん、道産品の輸出拡大や国内外からの誘客の促進といった食や観光をはじめとする産業の活性化、国際貿易交渉の進展を見据えた農林水産業の競争力強化、子育てや医療・福祉の充実、地域交通の維持・確保、アイヌ文化の振興や縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた取り組みといった歴史・文化の継承などを進める必要があると考えています。
 さらに、G20観光大臣会合やラグビーワールドカップの開催など、 本道の魅力を世界に一層発信できる、大きなチャンスを迎えます。道としては、こうした機会を活かし、本道が持つ魅力や強みをより発揮しながら、このたびの地震を乗り越え、未来においても世界の中で輝き続ける安全・安心で豊かな北海道づくり、そして、持続可能な地域づくりに取り組んでいかなければなりません。
 ふるさと北海道を50年、100年先の世代にしっかりと引き継いでいけるよう、道民の皆様には、今後ともお力添えをお願い申し上げます。
タウシュベツ川橋梁(上士幌町)

 北海道知事
 高橋 はるみ
 たかはし・はるみ
 昭和 29年 1月6日生まれ 富山県出身
 昭和 51年 3月 一橋大学経済学部 卒業
 昭和 51年 4月 通商産業省入省
 昭和 60年 大西洋国際問題研究所(在パリ)研究員
 平成 元年 6月 通商産業研究所総括主任研究官
 平成 2 年 7月 中小企業庁長官官房調査課長
 平成 3 年 6月 工業技術院総務部次世代産業技術企画官
 平成 4 年 6月 通商産業省関東通商産業局商工部長
 平成 6 年 7月 通商産業省大臣官房調査統計部統計解析課長
 平成 9 年 1月 通商産業省貿易局輸入課長
 平成 10年 6月 中小企業庁指導部指導課長
 平成 12年 5月 中小企業庁経営支援部経営支援課長
 平成 13年 1月 経済産業省北海道経済産業局長
 平成 14年12月 経済産業省経済産業研修所長
 平成 15年 2月 経済産業省退官
 平成 15年 4月 北海道知事


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