建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年12月号〉

【寄稿】

「冷水拡幅・有田海南道路」事業の整備効果

 国土交通省 近畿地方整備局
 和歌山河川国道事務所 所長
小澤 盛生

冷水拡幅・有田海南道路 全体図

はじめに

 国土交通省近畿地方整備局和歌山河川国道事務所では、一級河川紀の川及び支川・貴志川の改修、管理、紀の川大堰の運用を行っている他、和歌山県内の一般国道24号(京奈和自動車道含む)、26号及び日高郡日高町から和歌山市に至る42号の3路線の延長約157kmについて改築、修繕、維持管理等を行っています。
 今回は一般国道42号で事業を進めている「冷水拡幅・有田海南道路」についてご紹介します。

整備目的

@冷水拡幅

 冷水拡幅は、有田海南道路と接続する海南市冷水〜海南市藤白までの延長1.1kmの現道拡幅事業です。
 本事業区間は、国道42号が阪和自動車道海南ICとの合流区間より4車線から2車線へ車線数が減少しているため、朝夕のピーク時や休日に大規模な渋滞が発生しており、これらの課題を解決するため、現道拡幅事業を行っています。
 現在、用地買収は100%完了しており、現道の藤白トンネル撤去に着手するなど、工事を全面的に実施しています。

A有田海南道路

 有田海南道路は、有田市野〜海南市冷水までの延長9.4kmのバイパス事業です。現道の国道42号は、朝夕のピーク時や休日に大規模な渋滞が発生しています。また沿線には小学校や中学校が立地し、通学路としての利用もある中で、事故危険区間が4区間も存在しています。
 さらには、近い将来発生も予想されている東南海・南海地震が発生した場合、津波により浸水し、道路が寸断されると予測されており、これらの課題を解決するため、バイパス事業を行っています。
 現在、5本計画しているトンネルの中で延長が最も長いトンネルである5号トンネル工事に着手したところです。

整備効果

@渋滞の解消及び所要時間の短縮

 冷水拡幅、有田海南道路を整備することで、国道42号の交通処理能力が増加するため、渋滞の解消及び所要時間の短縮が期待されます。
 さらに、渋滞が解消することでピーク時とオフピーク時の所要時間のばらつきの幅が小さくなり、到着時間などが見込みやすくなることが期待されます。

A災害時の交通機能の確保

 有田海南道路は、国道42号が津波で浸水した場合の代替路となり緊急輸送を円滑に行うとともに、災害からの早期復旧を支援します。

B交通事故の減少

 国道42号の交通量が有田海南道路へ転換することで、現道の交通量が減少するとともに、線形の良い有田海南道路では安全で快適な走行が可能となるため、交通事故減小が期待されています。

C通行車両制限区間の解除

 国道42号は、高さ3.8mを超える車両の通行が困難なトンネルが5箇所あり、トンネルと積荷が接触する事故も発生しています。
 有田海南道路の整備により、高さ3.8mを超えるコンテナ車や大型貨物等の特殊車両が通行可能となり、物流支援に対する効果も期待されます。

おわりに

 和歌山河川国道事務所は、地域住民の皆さまから寄せられる声に耳を傾けながら、また、安全対策に十分配慮しながら、早期開通を目指して工事を進めて参ります。


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