建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年9月号〉

【寄稿】

三遠南信青崩峠道路建設工事連絡協議会の活動

 工事連絡協議会会長、三井住友建設 中部支店
 池島トンネル作業所 所長(監理技術者)
中斉 剛



安全パトロール

はじめに

 三遠南信青崩峠道路建設工事連絡協議会は、長野県飯田市から静岡県浜松市に至る延長約100kmの三遠南信自動車道(高規格幹線道路)のうち、長野・静岡県境に位置する青崩峠道路(延長約5.9km)の建設に携わっている企業で構成されており、7月末現在での会員は7社です。
 青崩峠道路は、大断層帯である中央構造線近傍に位置することから三遠南信自動車道で最難関工事と言われ、現在、この中央構造線に近傍する県境トンネルの調査坑工事(トンネル延長5,014m)を施工しています。トンネルは長野県側から鹿島建設が小嵐トンネル調査坑工事として、静岡県側から三井住友建設が池島トンネル調査坑工事として、それぞれ掘削作業を行っておりましたが、長野県側は3月末に設計延長分の掘削を完了しております。一方、静岡県側は、断層破砕帯による脆弱な地山のため、補助工法を併用しつつ、現在も慎重な掘削作業が続いています。
 また、長野県側では、小嵐工事用道路建設工事の吉川建設と小嵐道路建設工事の小池建設が、静岡県側では、水窪整備工事の正光建設、H29水窪地区整備工事の中村建設、H30水窪地区整備工事の正光建設が工事を行っています。さらに今後は、トンネル本坑工事や明かり部改良工事の受注企業が加わる予定です。

安全活動

 協議会としての主な活動は、毎週木曜日の工程調整会議と毎月1回の安全パトロールです。工事場所が長野県側と静岡県側で峠を挟んで離れていることから、安全パトロールは隔月で長野県側と静岡県側のそれぞれで全会員の参加で行います。パトロール後の講評では注意箇所の指摘や推奨事項をそれぞれ発表しますが、その情報を会員間で水平展開することで災害防止に役立てています。また、年1回ですが、飯田国道事務所が担当する飯喬道路の施工業者と合同で安全パトロールを実施しています。
 この地区は、山間部のため病院までの時間がかかります。そこで、3月には阿南消防署と合同でトンネル坑内からの避難訓練を行いました。緊急連絡体制を構築し、不測の事態を想定し、ドクターヘリを要請する場合の応答体制等の確認やヘリポートまでの救急搬送の訓練を行いました。また、普通救命講習会を開催し、救急技能の習得も行いました。

合同訓練

地域への配慮

 工事関係車両の運行にも地域や観光客など一般車両を優先するなどの配慮を行っています。トンネル工事で発生する残土は、原則として盛土に使用することになっており、長野県側は場内運搬のみで公道へ出ることがありませんが、静岡県側は兵越峠を通り長野県側の盛土場所へ運搬しています。このため、看板、案内設置等により通行車両、地元に配慮しています。
 また、地域の方々とのコミュニケーションも重要であり、地域の方々との懇親会や地域のお祭りなどのイベントにも積極的に協賛や参加をすることで、工事への理解を深めて頂いております。


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