建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年8月号〉

【寄稿】

地域自治体の地域計画にも規定された中部縦貫自動車道大野油坂道路

 国土交通省 近畿地方整備局
 福井河川国道事務所
 所長 嶋田 博文


九頭竜川橋付近

下山IC部
荒島第1トンネル

 私たち福井河川国道事務所は、中部縦貫自動車道の整備を進めており、現在はその一部となる大野油坂道路を建設しています。中部縦貫自動車道は、長野県松本市を起点とし、岐阜県高山市・福井県大野市を経て、福井県福井市に至る延長約160kmの高規格幹線道路で、中央自動車道長野線・東海北陸自動車道・北陸自動車道を相互に連絡し、交通の円滑化を図るなど、重要な役割を担っています。
 大野油坂道路は、中部縦貫自動車道の一部を構成し、安全・安心の交通の確保、医療施設へのアクセス性向上を目的とした延長35.0kmの自動車専用道路です。事業目的は、安全・安心の交通の確保、医療施設へのアクセス性の向上が目標です。
 大野油坂道路沿線の福井県大野市は、近年、人口は減少傾向、世帯数、自動車保有台数は横ばい傾向にあります。
 本事業区間と並行する国道158号は、過去15年間で大雨、積雪、落石・土砂崩れ等による通行止めが34回も発生しました。また同区間内には、平面線形が厳しい箇所が10箇所あり、安全・安心な通行の確保が課題となっています。
 したがって、大野油坂道路の整備により、これらを解消し、安全・安心の交通の確保が期待されます。
 また、大野油坂道路(和泉・油坂区間)の開通により、大野市東部の旧和泉村周辺から最寄りの第二次医療施設である鷲見病院までの所要時間が、36分から27分に9分短縮されるほか、第三次医療施設の中濃厚生病院へのアクセス性も向上するなど、医療サービスの選択肢が拡大します。
勝原IC
和泉IC部

 このため、沿線消防本部からは「事故の発生場所や傷病者の状態により、岐阜県側に搬送することがあります。その際に通る、国道158号はカーブ区間が多く、車両の横揺れや 振動が多く傷病者の負担になります。開通によって、カーブ区間の減少と高速走行が可能になることによる傷病者への負担減や、路面状況の改善で安定した救急処置が可能になることに期待しています」との感想も寄せられています。
 地域では、この路線に対する期待も大きく、福井県民の将来ビジョン「平成23年度〜平成32年度」(平成22年12月)、福井ふるさと元気宣言「平成27年度〜平成30年度」(平成27年3月)、第五次大野市総合計画後期基本計画「平成23年度〜平成32年度」(平成28年3月)に位置づけられています。
 事業進捗上の課題はありますが、引き続き用地取得を推進し、早期の開通を目指します。


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