建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年7月号〉

 副局長インタビュー 釧路総合振興局・根室振興局

自然災害から人命・財産を守る防災・減災対策の推進や
農水産物輸送と観光アクセス確保の交通ネットワーク整備

 北海道 釧路総合振興局 副局長(建設管理部担当) 兼 根室振興局 副局長
別所 博幸
 べっしょ・ひろゆき
 札幌市出身
 室蘭工業大学卒業
 昭和59年 北海道職員採用
 平成22年 建設部物流港湾課主幹
 平成24年 後志総合振興局小樽建設管理部地域調整課長
 平成25年 胆振総合振興局室蘭建設管理部事業室長
 平成26年 総合政策部物流港湾室参事
 平成28年 北海道開発局室蘭開発建設部苫小牧港湾事務所長

── 副局長就任にあたりまして抱負をお聞かせ下さい
別所 釧路・根室管内は、釧路湿原や阿寒摩周、知床といった国立公園を始め、豊かな自然と、そこに根差した農林水産業がもたらす新鮮な食材が豊富な地域です。また、一昨年には道東自動車道が阿寒インターまで開通するなど、高規格幹線道路の延伸も相まって観光客も年々増加を続けており、まさに北海道の強みを活かした「食」と「観光」を育む地域となっております。
 釧路建設管理部では、幹線交通網の整備や良好な河川環境の保全、水産業を支える漁港整備など必要な対策に取り組み、地域の皆さまが安全・安心な暮らしを続けられるよう、防災・減災対策や物流機能の向上を図るなど、今後とも社会資本の着実な整備や維持管理に努めてまいります。
── 安全で安心な地域づくりと防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
道路事業 別海厚岸線 厚岸大橋橋梁補修工事
別所 当管内では、平成5年の釧路沖地震や平成26年の根室高潮災害、一昨年には台風による豪雨被害が発生するなど、幾多の自然災害に見舞われてきた地域であります。また、昨今、北海道東部沖の巨大地震の可能性が言われており、自然災害から人命や財産を守るため、災害に強い道路や河川などの社会資本整備を着実に進めていくことは、極めて重要なことであると認識しています。災害時にも強靱な道路整備を進めるほか、洪水や土砂災害、津波、高潮などに備えたハード・ソフト両面からなる総合的な対策を通じ、地域の皆さま方が安全で安心して暮らしていける地域社会の実現に向け、国や市町村との連携を深めながら、社会資本整備や防災・減災対策を推進してまいりたいと考えております。
 道路事業では、一昨年8月から9月にかけて被災した屈斜路津別線や知床公園羅臼線において、本格的な観光シーズンを前に災害復旧の事業を完了することができました。また、防災・減災のための事業としては、冬期の視程障害や吹き溜まりを抑制する防雪対策を実施しており、特に過去大きな雪害を経験している根室管内中標津地区では重点的な整備に努めているところです。
 河川事業では、釧路川において、浸水対策のための築堤工や護岸工を引き続き整備するほか、平成25年度に二度の浸水被害を受けた釧路町別保市街地の治水対策として、別保川および標津川では掘削工等、春採川では護岸工の整備を進めてまいります。また、釧路湿原への土砂流入の軽減を図るため、久著呂川では、土砂調整地の整備を進めてまいります。
 砂防事業では、平成24年の集中豪雨により山腹崩壊、渓岸侵食した刺牛1号川で整備を行っているほか、常時観測火山の一つである雌阿寒岳において、監視情報伝達に必要な施設設置などを引き続き実施するとともに、アトサヌプリでの火山噴火緊急減災対策砂防計画策定に向けた取組みを進めているところです。
 急傾斜地崩壊防止事業では、急傾斜地の崩壊から住民を守るため、釧路町老者舞地区や釧路材木町2地区を含む8箇所で事業を継続しています。
 さらに、土砂災害防止法に基づく必要な手続きが進められるよう、平成31年度までに基礎調査の完了を目指しているところです。
 建設海岸事業では、高潮や波浪による海岸侵食や決壊などから国土を保全するために、野付崎海岸では侵食対策としての消波堤の整備を引き続き実施し、これまで度重なる津波被害を受けてきた霧多布海岸では、昨年度から堤防の整備に着手しているところです。また、越波被害の防止のため、羅臼(岬町中央、岬町南外)海岸では、護岸の整備を引き続き実施します。
 漁港海岸事業では、標津漁港海岸で侵食対策として人工リーフを引き続き実施します。
── 平成30年度予算執行にあたり北海道基幹産業の農業・水産業の向上や観光・環境振興など
  整備事業の取組をお伺いします
道路事業 薫別川北線 乳薫橋架替工事
別所 地域の基幹産業である水産業の核として漁港整備を進めております。尾岱沼漁港では、屋根付岸壁施設や浚渫などの衛生管理型漁港の整備を引き続き実施します。また、琵琶瀬漁港では、老朽化が進み機能の低下している箇所の保全工事を行うほか、散布(火散布)漁港では、大型化した漁船に対応する漁港施設の整備を引き続き実施してまいります。
 道路事業では、農水産物の輸送、観光アクセスや緊急輸送ルートの確保のため幹線交通ネットワーク整備を重点的に実施しています。継続事業では、別海厚岸線の厚岸大橋橋梁補修工事のほか、薫別川北線については乳薫橋架替工事の完了に伴い、今年度は旧橋撤去ならびに橋梁接続部の改良にも着手してまいります。
 街路事業では、安全で円滑な交通と歩行者空間の環境改善を図るため、中標津町の3・4・14号西町通や、弟子屈町の3・3・5鐺別通改良工事に必要な用地買収及び物件補償を行ってまいります。
河川事業 釧路川広域河川改修工事 建設海岸事業 岬町中央海岸 高潮対策工事

── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時における復旧に活躍している建設業界へのメッセージなどお聞かせください
別所 地域の建設分野に携わる方々には、公共施設に係る調査設計から、建設工事、維持管理、除排雪、更には災害時における緊急対応や災害復旧に至るまで、様々な役割を担っていただいております。一昨年の台風等による大雨災害時にも、緊急工事や被災状況の調査など、迅速な対応にご尽力いただき、改めて建設業界の役割の大きさを実感し、深く感謝しているところであります。釧路建設管理部といたしましては、北海道建設産業支援プランなど様々な取組みを通じ、今後とも建設産業の安定的な発展を強力に支援してまいりたいと考えております。

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