建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年7月号〉

 副局長インタビュー オホーツク総合振興局

広域地域をつなぐ医療機関搬送路確保や物流効率化・観光振興の
道路ネット拡充整備や防災対策も強化

 北海道 オホーツク総合振興局 副局長(建設管理部担当)
宮下 忠昭
 みやした・ただあき
 昭和38年佐呂間町生まれ
 昭和60年3月 北海学園大学工学部卒業
 昭和60年4月 北海道庁入庁(旭川土木現業所)
 平成 4年4月 釧路土木現業所
 平成 6年4月 道庁土木部道路課
 平成 8年4月 道庁土木部道路計画課
 平成10年7月 稚内土木現業所事業部道路課道路第二係長
 平成13年4月 室蘭土木現業所事業部道路建設課舗装係長
 平成16年4月 道庁建設部道路計画課主査
 平成20年4月 斜里町派遣(斜里町市街地整備推進室長)
 平成22年4月 十勝総合振興局帯広建設管理部事業室道路課長
 平成23年6月 道庁建設部土木局道路課主幹
 平成25年4月 空知総合振興局札幌建設管理部事業室地域調整課長
 平成26年4月 空知総合振興局札幌建設管理部事業室長
 平成27年6月 道庁建設部土木局道路課高速道・市町村道担当課長
 平成28年4月 道庁建設部土木局道路課長
 平成30年4月 現職

── 副局長就任にあたりまして抱負をお聞かせ下さい
宮下 オホーツク管内は、かつては年間降水量も少なく災害の少ない地域でしたが、一昨年に管内でも大きな被害をもたらしました台風をはじめ、各地で交通が寸断される暴風雪など、自然災害が社会経済活動に大きな影響を及ぼしていることから、このような自然災害に対して、自らも気を引き締め、職員が一丸となって対応できるよう危機管理の徹底を図ってまいります。
 また、管内の大きな課題である人口減少問題や地方創生を考えていくうえでは、地域住民が安全・安心に暮らせ、地域の産業や観光を支える道路、河川、漁港などの基盤が整ってのことであり、地域の声をしっかり聞いて色々な分野の方々と連携しながら良質な社会資本の整備を推進してまいります。
 また、オホーツク管内の恵まれた自然環境と調和を図りながら、安全・安心で個性ある地域づくりを行うため、地域の意向や実情を踏まえながらも選択と集中の視点に立って、より効果的・効率的な事業執行に努めます。
── 安全で安心な地域づくりと防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
北見津別線(交534)交安工事(視距改良)
宮下 オホーツク管内は、岐阜県の面積に匹敵する広い地域に約30万人が暮らす道内でもひときわ広域分散型社会の色合いが強い地域であることから、管内の多くのまちが高次医療機関から離れた場所に位置しております。重篤重傷患者を短時間で安全に高次医療機関へ搬送できる体制づくりが課題となっている現状を踏まえ、「命をつなぐみちづくり」として救急搬送路である道道の整備を行ってまいります。
 近年、全国的に多発している集中豪雨や台風による水害、土砂災害等の自然災害に対応する安全性の高い保全施設の整備を進めてまいります。
 また、管内では吹雪などによる交通障害も発生しています。このため、除雪作業等を着実に行うことにより、地域の安全で安心なくらしの実現を行ってまいります。
── 平成30年度予算執行にあたり北海道基幹産業の農業・水産業の向上や観光・環境振興など
  整備事業の取組をお伺いします
佐呂間別川広域河川改修工事(芭露川工区)
宮下 道路事業では、管内や管外との交流促進や物流の効率化、観光振興などに資する道路ネットワークの拡充整備に努めるとともに、「橋梁などの老朽化対策」、「危険箇所の解消」、「地域医療を支援する道路整備」などの整備を引き続き進めてまいります。
 治水関係事業では、安心できる国土の形成(安全)、自然環境と調和した生きている川づくり(うるおい)、個性あふれる地域づくりと連携強化の支援(活力)、人と水のかかわりの再構築(ふれあい)の4本柱に基づき進めてまいります。
 漁港関係事業では、漁港漁場整備長期計画第4次(H29〜H33)に基づき物流効率化やHACCPなどの品質・衛生管理にも対応する漁港施設の整備を進めてまいります。
 また、海岸整備では、侵食を防止して国土保全に努めるとともに、人命・家屋・財産を高潮、波浪などから守るため事業を進めてまいります。

平成30年度の主な事業計画

〇道路事業
 工事が本格化している北見津別線(津別町等)では、登坂車線や万代橋の架け替えを含めた線形改良に引き続き取り組んでまいります。
 北見常呂線(北見市)の落石対策工事では、落石防護柵の整備を継続してまいります。
 摩周湖斜里線(清里町)では、観光・物流道路として道路拡幅及び防雪対策を進めてまいります。
 遠軽雄武線(西興部村)では布袋橋の架け替えのため、上部工に着手いたします。
 留辺蘂浜佐呂間線では、錦橋の架替工事及び取付道路の工事を進めてまいります。
 また、橋梁の長寿命化等を目的として、緑蔭中湧別停車場線(湧別町)外7路線の11橋梁で橋梁補修等の工事を進めてまいります。
〇街路事業
 3・5・51川東通(北見市)では、常呂川に架かる長大橋の整備をするため上部工工事を引き続き行い、前後道路の用地補償も進めてまいります。
 また、3・3・5とん田通(北見市)では本工事を継続して4車線化の整備を進めてまいります。
〇都市公園事業
 開園から23年が経過したオホーツク公園(網走市)において、長寿命化計画に基づき、時代のニーズに対応した公園としての長寿命化やバリアフリー化、再整備工事を継続して進めてまいります。
〇空港事業
 女満別空港(大空町)において、滑走路端安全区域の調査・設計を進めてまいります。
 また、紋別空港(紋別市)において、電源施設(監視制御装置)の更新のため、機器設置を行います。
〇治水事業
 河川事業では近年の大雨による多大な洪水被害に対処するため、平成28年度の大雨出水で被害の大きかった無加川(北見市)や斜里川(斜里町)の改修整備を進めています。
 また、佐呂間別川(佐呂間町)、芭露川(湧別町)、興部川(興部町)、オコツナイ川・ポンオコツナイ川(雄武町)、日吉川(北見市)などの河川について、水辺や周辺の環境に配慮しながら改修整備を進め、洪水被害の解消に努めます。
 砂防関係事業では土石流などの土砂災害を防止するために、右の沢川(網走市)、支湧別川(遠軽町)などで自然環境や景観に配慮しながら施設整備を進めるとともに、土砂災害警戒区域の指定を行い、「危険の周知、警戒避難体制整備への支援」などのソフト対策を進めてまいります。
〇漁港・海岸事業
 漁港事業では水産流通基盤整備事業として、常呂漁港(北見市)、沙留漁港(興部町)、沢木漁港(雄武町)について、衛生管理型への対応を行いながら静穏対策等の漁港施設整備を進めてまいります。
 さらに、海岸事業では、越波の著しい元稲府漁港海岸(雄武町)で整備を進めてまいります。
ポント神社の沢川砂防工事(補正・繰越)

── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時における復旧に活躍している建設業界へのメッセージなどお聞かせください
宮下 公共施設の整備や維持管理はもとより、災害時の対応などに関して、この地域に精通した建設業界の方々の高い技術力や施工能力は大変重要であり、建設業は我々の目的を達成するには、なくてはならない重要なパートナーであると認識しております。
 今後も、蓄積された技術・知識・人材等の持てる力を遺憾なく発揮していただき、このオホーツク地域をさらに魅力のある地域にしていただきたいと願っています。

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