建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年7月号〉

 副局長インタビュー 上川総合振興局

北海道の交通の要衝として観光振興・物流の効率化を図り
基幹産業を支える高規格道路整備で地域発展を推進

 北海道 上川総合振興局 副局長(建設管理部担当)
谷山 剛
 たにやま・つよし
 昭和35年12月19日生、厚沢部町出身
 室蘭工業大学大学院修了
 昭和61年採用
 建設部建設管理課建設業担当課長、同都市環境課長を経て、平成30年4月現職

── 副局長就任にあたりまして抱負をお聞かせ下さい
谷山 上川管内は、大雪山国立公園をはじめ、3つの道立自然公園を有し、山岳や湖沼、温泉などの自然や観光資源に恵まれ、道内外から多くの観光客が訪れています。
 また、管内は南北に200kmを超える細長い地形であり、その気候条件の差異を活かし、米や野菜など多種多様な作物を生産する道内有数の食料供給地域であります。
 一方で、北海道の中央に位置し、道央圏や道北圏、道東圏を接続する交通の要衝であることから、更なる観光振興や物流の効率化などを図るため、高規格幹線道路の空白地帯の整備が求められているほか、地域住民の人命や財産を守るため、火山や自然災害に対応する河川や砂防施設の整備などを早期に進めることも課題となっています。
 これら管内が抱える課題を解決するため、地域の実態を良く見て、地域の声を良く聞き、関係機関と連携しながら、管内の特性を活かした安全・安心で活力ある地域社会の形成に向け、しっかりと取り組んでまいります。また、職場においては組織が円滑に動けるよう、職員間で忌憚なく意見を言い合える環境づくりに努めてまいります。
── 安全で安心な地域づくりと防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
鷹栖東神楽線道路改築工事(下部工)
谷山 北海道では、一昨年史上初めて4つの台風が上陸・接近し、記録的な豪雨により各地で甚大な被害を受けました。上川管内も空知川(南富良野町)において大規模な洪水氾濫が発生したほか、観光名所である天人峡美瑛線(東川町)の道路決壊、辺別川(美瑛町)の堤防決壊など多くの施設が被災しました。さらに、十勝岳の火山噴火や気候変動に伴う水害の激甚化等が懸念されており、安全・安心な地域社会の形成が益々重要となっています。
 道路事業では、安全・安心な交通の確保のため、夕張新得線(占冠村)などにおいて吹雪対策を進めるほか、東川東神楽旭川線(東神楽町)や下川愛別線(下川町)などにおいて交通安全対策を推進します。
 河川事業では、洪水被害の防止・軽減のため、市街地を流れる豊栄川(名寄市)において遊水地などの整備を進めるほか、一昨年大規模な浸水のあったヌッカクシ富良野川(中富良野町)において分水路の建設などを推進します。
 砂防・急傾斜地事業では、十勝岳噴火に伴う泥流被害や土石流など土砂災害の防止・軽減のため、富良野川(上富良野町)や四線川(富良野市)において砂防堰堤等の整備を進めるほか、旭川旭神3条1丁目(旭川市)において急傾斜地崩壊対策を推進します。また、土砂災害のおそれのある区域において警戒避難体制の充実を図るため、土砂災害警戒区域等の指定を推進します。
 一昨年の台風により、甚大な被害を受けた空知川(南富良野町)をはじめとする河川や道路の施設復旧も順調に進んでおり、地域住民の安全・安心な暮らしが早期に確保できるよう、今年度ですべての復旧を完了させる予定です。
── 平成30年度予算執行にあたり北海道基幹産業の農業・水産業の向上や観光・環境振興など
  整備事業の取組をお伺いします
旭川幌加内線総合B(地方道)工事(1工区)(債務)
谷山 管内は道内有数の農業地帯であり、自然景観や観光施設などの豊富な観光資源に恵まれています。こうした食と観光に関連する基幹産業を支え、上川管内の特性を活かした地域発展のためには、高規格幹線道路などの道路交通網の機能強化が重要な課題となっています。
 このような課題に対し道路事業では、物流の効率化や観光客の利便性の向上のため、地域高規格道路「旭川十勝道路」の一部となる旭川東神楽道路(旭川市・東神楽町)において橋梁の新設などを進めるほか、国が整備する富良野北道路へのアクセスルートとなる上富良野中富良野線(中富良野町)の拡幅整備を推進します。
 また、都市と農山村の連携・相互補完の強化を図るため、旭川幌加内線(旭川市・幌加内町)において交通上の隘路となっている江丹別峠の区間などで道路改良を進めていきます。
 さらに、大雪山の観光拠点である旭岳温泉へのアクセスルートとなる旭川旭岳温泉線において上忠別橋(東川町)の架け替えなどを推進します。
 街路事業では、交通混雑の解消や安全・安心な歩行空間の確保のため、3・3・20永山東光線(旭川市)において用地補償等を推進します。
 このほか、河川環境整備事業では、魚類等の移動の連続性を確保するため、九線川(士別市)において落差工に魚道を設置します。
富良野川改修工事(ヌッカクシ富良野川分水路地区) 富良野川火山砂防事業(5号堰堤)

── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時における復旧に活躍している建設業界へのメッセージなどお聞かせください
谷山 建設産業は社会資本整備において重要な役割を担うとともに、普段から施設の維持管理や冬期の除雪にご尽力いただき、災害発生時には総合力で復旧作業等に大きな力を発揮されております。また、経済面でも道内の主要産業の一つとして、地域の経済や雇用を支えるなど、大きな役割を果たしているところです。
 一方で、これまでの建設投資額の減少などから、若年者の入職が大きく減少しており、将来にわたる公共工事の品質確保と担い手の中長期的な確保・育成が課題となっています。このため、当部としても、「北海道建設産業支援プラン2018」に基づき、情報化(ICT土工)施工による品質確保のほか、週休2日モデル工事などのよる労働環境の改善や担い手の確保・育成など、建設産業の持続的発展に向けた取組を進めてまいります。
 今後とも、地域の社会資本整備を通じ地域経済の発展に貢献されることを期待しています。

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