建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年7月号〉

 副局長インタビュー 胆振総合振興局・日高振興局

地域生活の安心安全に向けた防災施設整備や道路整備を
優先に地域産業を支える交通ネットワークの確保に努める

 北海道 胆振総合振興局副局長(建設管理部担当)兼 日高振興局 副局長
坂野 雅人
 ばんの・まさと
 昭和37年6月28日生、愛知県出身 京都大学大学院修了
 平成5年4月 採用
 平成21年4月 函館土木現業所事業部道路建設課長
 平成22年5月 建設部まちづくり局都市環境課主幹
 平成25年4月 旭川建設管理部事業室地域調整課長
 平成26年4月 旭川建設管理部事業室長
 平成27年6月 建設部建設管理課技術管理担当課長
 平成29年4月 現職

── 本年度の事業推進にあたり抱負をお聞かせください
坂野 近年相次ぐ台風等の大雨被害によってあらためて水防災の重要性が再認識されました。道民の皆様の生命や財産を守り、安全・安心を確保していくことは、何にも増して重要であり、ダム整備、河川・海岸の改修などの防災減災対策や災害時の避難路整備を積極的に進めます。また、既存施設の長寿命化を行うとともに、多様な魅力を有した胆振日高の特色を活かし、暮らしと経済を支える地域交通ネットワークの確保に努めてまいります。
── 安全で安心な地域づくりと防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
厚幌ダム洪水時最高水位に到達(H30.5.7)
坂野 胆振及び日高管内は東西方向に長く、太平洋に面していることから、台風や高潮・津波などに影響を非常に受けやすい地形です。
 そのため、地域生活の安全安心の実現に向けて、河川、砂防、海岸保全などの防災施設をはじめ、災害に強い道路の整備を引き続き、優先して進めていきます。
 まず、災害復旧事業についてですが、平成28年発生災害の沙流川災害復旧助成事業を継続するほか、昨年9月の台風により被災した気門別川、敷生川などで復旧工事を進めるとともに、同じく昨年9月の台風に伴う波浪により人工リーフに大きな被害が生じた白老海岸、登別海岸で災害復旧助成事業に着手します。
 河川及びダム事業では、厚幌ダムで管理施設工事等を行うとともに、昨年度からの試験湛水を進め、今年度で事業を完成させます。また、ダム下流の厚真川で暫定改修を完成させるとともに、過去に大規模な浸水被害が発生した安平川等の整備を継続して進めます。
 砂防事業としては、トマチャナイ川等の事業を推進するほか、神社川、紋別川で新規着手するとともに、炭山川で完成を目指します。
 急傾斜事業では室蘭母恋南町4丁目や洞爺川東等の整備を推進するほか、室蘭西小路、浦河昌平町で完成を目指します。また、地すべり対策については上久保内地区と様似地区で整備を推進します。
 海岸事業では、黄金海岸や虎杖浜海岸の離岸堤整備を引き続き進めます。
 道路事業では、津波災害時の避難道路確保に資する上向別浦河停車場線(まきば通)や、有珠山噴火に備えた洞爺公園洞爺線・滝之町伊達線(有珠山外環状線)のバイパス整備を推進し、東湖畔トンネルを含む洞爺公園洞爺線の約1.6km区間については今年度末の供用を目指します。また、危険箇所対策として大岸礼文停車場線では海岸擁壁工等を行うとともに、今後のトンネル事業着手に向けた準備を進めるほか、通学路の安全対策として南黄金長和線では歩道の整備を行います。橋梁補修では長寿命化計画に基づき平取門別線の平取橋や静内浦河線の碧蘂橋のほか18橋で事業を進めます。
── 平成30年度予算執行にあたり北海道基幹産業の農業・水産業の向上や観光・環境振興など
  整備事業の取組をお伺いします
トマチャナイ川砂防工事(21号床固工)(H29完成)
坂野 胆振及び日高管内は、室蘭市や苫小牧市を中心とした工業、洞爺湖や登別温泉を中心とした観光業、地域ごとに特色ある農業や水産業、日高の軽種馬生産など、多種多様な産業が展開されているところです。
 これらの地域産業を支える基盤整備として、観光や物流に欠かせない交通ネットワークや水産物の供給基地としての漁港整備を引き続き進めていきます。
 道路事業としては、救急医療や物流交通の利便性向上を目的とした苫小牧中央インター線(仮称)の事業推進等により交通ネットワークの強化を図ります。街路事業では停車場通(伊達市)、東通(登別市)で事業を推進します。
 また、白老町において2020年の一般公開が予定される民族共生象徴空間に係るアクセス道路等の整備として、白老大滝線(公園通)や白老駅前広場の事業に着手します。
 漁港事業では礼文漁港等24漁港において、機能保全事業により漁港施設の長寿命化や浚渫による水域安全利用の確保を図るほか、静内漁港では漂砂対策として防砂堤整備を継続して進めるとともに、富浜漁港拡張整備及び春立漁港越波対策の本工事に着手します。
洞爺公園洞爺線(東湖畔トンネル洞爺湖側抗口) 苫小牧中央インター線(仮称)ICT土工

── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時における復旧に活躍している建設業界へのメッセージなどお聞かせください
坂野 建設産業は、社会資本の整備はもとより、地域の経済や雇用を支えるとともに、災害時の緊急を要する対応から日常的な維持管理の対応まで、広い範囲で地域の安全・安心を担っており、地域の守り手として重要な役割を果たしています。
 特に、胆振日高管内は、2000年の有珠山噴火災害や一昨年、昨年と続く台風等の豪雨災害をはじめ、幾度となく大きな災害に見舞われており、その度に、地域の地理や事業に精通した地元建設業者を中心に、地域の安全安心の確保のため、尽力して頂いていることに大変感謝しています。
 建設産業の経営環境は依然厳しい状況にあり、若年入職者の減少に伴う技術者の不足や就業者の高齢化等人材の確保・育成が喫緊の課題となっていますが、私達の欠かせないパートナーとして、これからも地域の中心となって、社会に貢献されることを期待しています。

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