建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年7月号〉

 副局長インタビュー 空知総合振興局・石狩振興局

多彩な観光・食資源を活かし地域の価値を高め個性ある地域づくり支える社会資本整備を推進

 空知総合振興局(建設管理部担当) 兼 石狩振興局 副局長
天沼 宇雄
 あまぬま・たかお
 北海道出身
 室蘭工業大学大学院(平成元年修了)
 平成26年6月 渡島総合振興局 函館建設管理部事業室長
 平成27年6月 総合政策部 政策局社会資本課長
 平成29年4月 建設部 建設政策局建設政策課長
 平成30年4月 現職

── 副局長就任にあたりまして抱負をお聞かせください
天沼 人口減少や高齢化といった課題への対応はもとより、食・観光といった道内の主要産業の振興や道民の安全・安心な暮らしの確保に向け、インフラの果たす役割は、ますます重要になってきていると感じます。
 地域の経済・産業を下支えする道路、下水道など様々なインフラの整備を、限られた予算の中で、地域特性や緊急性、波及効果などを検証しつつ、着実に推進すること、また、既存ストックの老朽化が進む中、適切な補修・修繕によって施設を健全に維持管理すること、さらに利用状況やニーズを踏まえたリニューアルや更新を進めることなどが重要だと考えています。
 また、近年は、自然災害が頻発化・激甚化しており、一昨年、昨年と本道では、台風や低気圧による大雨被害が発生したわけですが、危機管理体制の充実・強化に向けて、国や市町村はもとより、業界の皆様とも、引き続きよく連携をしながら、取り組んでまいりたいと考えています。
── 安全で安心な地域づくりと防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
3・3・304南大通(南大通大橋)
天沼 札幌建設管理部では、防災・減災など安全安心な地域づくりに向けて様々な事業を行っております。具体的には、道路事業の道道恵庭岳公園線は、恵庭市盤尻の国道453号から恵庭市街地へ続く路線ですが、今年度は、落石崩落などの危険箇所を解消し、支笏洞爺国立公園内の観光ルートの安全な通行の確保を目指して整備を進めます
 河川事業では、札幌市内を流れる望月寒川において、市街地の浸水被害を防止するため、平成16年度に河川改修事業に着手し、上流部の河川トンネルによる放水路の整備と、下流部の河道整備を併せて進めています。上流の放水路トンネルについては、平成29年度よりシールドマシンによるトンネルの掘削を行っており、平成31年度の完成を目指しています。
 また、岩見沢市内を流れる利根別川では、市街地の浸水被害防止のため支川を含めた河川改修事業を行っており、平成24年9月の大雨で大きな被害が発生した支川・南利根別川の早期完成を目指して工事を進めています。
 砂防事業としては、深川市内のオキリカップ支流川において、土石流等による被害から避難場所や国道12号などを保全するため、落差工など渓流保全工の整備を進めています。
 また、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等に係る基礎調査を進めており、平成27年度から概ね5年を目途に基礎調査完了を目標とする国の基本指針に沿って、平成31年度の完了を目指し、今年度は約360箇所で基礎調査を行い土砂災害警戒区域等の指定を推進します。
── 平成30年度予算執行にあたり北海道基幹産業の農業・水産業の向上や観光・環境振興など
  整備事業の取組をお伺いします
オキリカップ支流川
天沼 石狩・空知地域は、北海道の開拓・開発の歴史を見ても、早くから開けた地域であり、「食」や「観光」といった面で、高いポテンシャルを有しているのは言うまでもなく、お米、果樹などの農作物、さらにはワイン、日本酒などの加工品、そして石狩川を中心とする多様な自然など、豊富な資源に恵まれております。こうした資源を地域振興に役立てるため、その地域の特色・ブランド力を活かした地域づくりや物流・人流を支えるための事業の推進に努める考えです。
 例えば、道路事業では、道道美唄富良野線の整備を進めます。南空知地域と上川南部地域の短絡ルートを形成する路線であり、物流の効率化や観光アクセスを向上させるため、未開通区間の道路建設、現道の拡幅及び地すべり対策などを進めます。平成30年度は、渓谷橋の上部架設床板工事、東美唄トンネルの掘削工事等を実施する予定です。
 街路事業では、江別市の南大通大橋の架設を進めています。南大通は、江別市の中心と東部を連絡する幹線道路ですが、橋梁部が未整備のため、中心部と東部地区のアクセス路である国道12号や周辺道路に交通が集中し混雑している状況です。また、江別市の東部地域は水害を受けやすい地域でもあり、洪水時の大麻・野幌方面への避難ルートの確保が望まれています。市街地の分断を解消し、交通の混雑緩和や洪水時の避難ルートを確保するため早期の完成を目指し事業を進めています。
望月寒川放水路 美唄富良野線(東美唄トンネル・渓谷橋)

── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時における復旧に活躍している建設業界へのメッセージなどお聞かせください
天沼 日頃から道路や河川といった社会資本の整備や維持管理を通して、地域の安全安心を守っていただいている建設業の皆様には、大変感謝しており、継続的かつ安定的に経営が続けていけるように、担い手の確保、技術の継承、生産性の向上、さらに週休二日への対応など様々な課題はありますが、皆さんのご意見によく耳を傾けながら業界全体にとってプラスになる取組や仕組みづくりを進めていきたいと考えておりますので、引き続きの御指導をお願いします。

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