建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年6月号〉

【ズームアップ】

小中連携を見据え多様な教育環境と生徒に優しく・安心・安全な学校

―― 大雪山眺望や景観に親しみ、地域に馴染んだ学び舎の完成近づく

比布町 比布中学校校舎・武道場改築工事

外観完成イメージ

建設経緯

 現在建設中の比布中学校の校舎については、建設後36年が経過し、老朽化が進んでいたことにより、施設の安全・安心な機能保持などに困難な状況から「比布中学校校舎改築検討委員会」を設置した。
 検討の中で、「町の教育内容・教育方法に対応した環境整備の重要性」「施設の安全性」「情報通信技術への対応性」「地域の独自性」など抽出検討。また、教育ソフトと施設ハードの連携を考慮した中学校施設整備の方向性を定めた。
 一方で、近年の少子化に対して、国の教育政策も大きく変化し、北海道教育委員会でも「小中連携、一貫教育実践事業」を立ち上げていることから、今後の比布町の生徒数、児童数の推移を考慮すると、小中連携を行い柔軟な学習環境を提供することとし現在の小学校敷地に新たな中学校を建設することになった。

建設基本方針

■教育改革に対応した施設 ■まちづくり、地域づくりの中心となるような学校 ■管理しやすい施設 ■大雪山系の眺め

学校整備方針

(1)学校教育の方向性:小中連携学校として、児童および生徒が分け隔てなく、のびのびと学べる学び舎つくり。児童生徒が安心して生活できる場所と児童生徒目線に立った学習環境と快適に学習できる場所とする。
(2)小中連携を見据えた多様な教育環境ができる学校:授業乗り入れや小中の交流活動など教育活動が進めやすい学校つくりを行う。渡り廊下での行き来や共用スペースなどが配置され、グループ学習、少人数学習、個別指導などに対応した学校にする。
(3)「ふるさと」を感じ、豊かな人間性を育成する潤いのある学び舎:小学校から中学校まで9年間通う学校となるため、卒業後も誇りに思い、心に残る学び舎とすることで、大雪山の眺望や景観に配慮した校舎設計としている。
(4)地域の生涯学習機能を持った、比布のまちに馴染んだ学校:地域にも開かれれた町民みんなの建物で愛着を持ってもらえる建物する。また、社会教育、地域の文化活動の場としても活用、運営、管理しやすく配慮された学校とする。屋内運動場や音楽室の地域開放を行う。
(5)安心安全で、すべての人にやさしい学校:危機管理がしやすく、防犯機能の整った学校とする。生徒の登下校、来校者が見渡せる職員室の配置をした。また、校舎内の段差をなくし、体が不自由な人が利用できるエレベーター設置などバリアフリー対策やユニバーサルデザインに配慮した校舎設計とした。
(6)建物の形状について:新校舎は3階建とし、普通教室・特別支援教室を配置し大雪山系が眺望できる校舎とした。また、建物はコンパクト形状で生徒や職員の移動動線を短縮し、効率がよく機能的な設計となった。さらに、コンパクト化により外壁面を縮小させ、断熱性能が高く熱効率の良い校舎となる。
(7)外部ゾーニングについて:生徒の安全を優先し生徒動線と車両動線を明確に分離し、歩車分離を図る。また、敷地内には除雪を行いやすい堆雪スペースの確保や落雪事故防止対策をする。
(8)内部ゾーニングについて:@普通教室は3階に配置し、大雪山系の眺望と快適な学習環境の広さを確保する。A特別支援教室は生徒の増減に合わせた可動間仕切り設置を検討する。B職員室は、普通教室との連携を優先し2階に配置し校長室・保健室・会議室と連続した配置とする。C音の出る教室は生徒の集中力を途切れさせないように普通教室から離した位置とする配慮をする。D多目的ホールは展示や集会など多用途に対応でき、音響の整備充実などを図り、明るく開放的な空間とする。E図書室は生徒が気楽に利用できるよう普通教室の近くに配置する。また、タブレット授業に対応できる無線LANの設置を行う。Fコンピューター室・屋内運動場・給食調理室は既存の小学校のものを利用する。また、武道場は授業で使用しない場合は卓球や体操等の小体育室として利用する。
 以上の校舎施設・設備計画で平成29年3月から始まった、「比布中学校校舎・武道場改築工事」は、6月30日の完成を迎えようとしている。


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