建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年6月号〉

【ズームアップ】

ハイセンスな街・六本木と格式ある麻布住宅街で麻布警察署庁舎を改築

―― 六本木・麻布らしさを最大限に表現

麻布警察署改築工事

外観完成イメージ


 我が国の首都を守る警視庁は、麻布警察署の改築工事を進めている。同署の西側は六本木交差点方面となり、世界有数の歓楽街が広がる最先端の街の入口である。東側は、かつて武家の邸宅が点在した麻布三河台の面影を残し、現在でも高級住宅や教会などによって街並みが形成されている。

六本木・麻布にふさわしいデザイン

 ファサード計画においては、敷地西側のコアボリュームは、六本木の街並みに合わせ、シャープな形態によって、スマートな警察の存在を表す。東側の麻布の街並みに対しては、格式と風格を重んじ、街並みとの調和に考慮した、安心・安定感のある警察の存在を表す。
 六本木と麻布それぞれが相反する性格をもつ街の境界に存在する立地を考慮し、それに呼応した建物として、この場所が新しく街の結節点となるようなファサードデザインを考える。
 麻布の由来「あざぶ」は昔、多摩川にもほど遠くないこの地に麻を多く植え、布を織り出したところからきた地名と言われている。その言葉の響きからも想起される織布の柄をモチーフとし、縦と横のラインの構成を開口部とあわせてデザインする。
 具体的には、面に凹凸模様を配し、麻の布が織り込まれているようなイメージの外観とする。
 六本木・麻布のイメージを踏襲し、国際性に対応すべく、誰にでもわかりやすく明快なデザインとし、先進性に配慮し、超現代的なデザイン、ハイテックに裏打ちされたデザインとしたほか、文化性を高めるため、日本らしさを表現したデザインとする。

敷地周辺環境にあったデザイン

 幹線道路(六本木通り)から奥まった敷地特性を最大限生かすとともに、警察署として認知度の高い建物とし、圧迫感のないデザインとする。

警察署庁舎としてのデザイン

 警察署として相応しい秩序・風格を持たせ、多様な要素を的確に配置する。
 全体デザインは表情の異なる各ボリュームで構成された『ボリューム構成型』として、建物コンセプトを外観に表現する。
 建物は4つのボリュームによる構成とし、各ボリュームについて、建物コンセプトに従いながら計画する。
 東側の2・3階のビューポイント部分は、敷地周囲に対して建物の顔となり、麻布警察署を特徴付けるボリュームとする。開口部の形態、壁面の材質などを工夫することにより、“麻布らしさ”を表現する。(麻の布が織り込まれたイメージ)
 南面及び待機寮壁面のコア部分は、庁舎部分と待機寮との機能の違いによる開口部の変化にとらわれず、一体的なボリュームを構成する。
 具体的には妻壁を強調しつつ、四方にエッジを持たせることにより、庁舎部分と待機寮を一体的に見せる工夫をした。シャープな印象によるエッジを効かせたデザインは“六本木らしさ”を表現する。
 張出部分は、面的で大きなボリュームであるが、近隣建物との調和を計り、やさしい表現を心がける。
 クラック(溝)部分は、ガラスカーテンウォールなどの開放性のある開口部として、1Fのエントランス、各階の廊下部分の採光・換気機能を持たせ、各階のホール的空間としている。
 南面庁舎部分の開口部は奥行きを持たせ、500mm以上の水平庇を開口部上部に設置することで、夏季の日射による環境負荷軽減を目指す。
 北西面の庁舎部分の開口は、夏季の西日対策として、縦方向のフィン(大型ルーバー)を設置して、日射による環境負荷の低減を目指す。


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