建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年5月号〉

【寄稿】

越後平野を洪水から守る大河津分水路改修事業

 大河津分水路工事連絡協議会 会長
 株式会社 福田組 現場代理人
山田 十一

桜剪定ボランティア

1.はじめに


 大河津分水路は、新潟市街地等の信濃川流域を洪水氾濫の危険性から守るために整備された人工河川であり、1922年に通水されています。大河津分水路の通水後、信濃川下流域や中ノ口流域の本支川における水害の発生件数は大幅にに減少し、洪水被害の減少に伴って信濃川沿いの耕地は全国有数の美田に生まれ変わっています。
 しかし大河津分水路は、河口部において洪水を安全に流下させる断面が不足しており、戦後最大規模の洪水が発生した場合、大河津分水路上流の長岡市付近まで計画高水位を超過することが想定されており、この洪水による家屋の浸水被害を防止するために、大河津分水の改修事業に着手となりました。

2.工事の概要

 大河津分水路の改修事業は平成27年度より開始(調査・計画等)され、現在は14工区において現場での施工に着手しており、以下の工事を実施しています。 @工事用道路工事:今後実施される河口部の土砂掘削・運搬に伴い、準備工事として高水敷に運搬路を整備
A蒲原用水路補償工事:大河津分水路の右岸堤防整備に伴う用水路の付け替え工事
B山地部掘削工事:大河津分水路河口部付近の左岸山地部の掘削工事
C取付擁壁工事:大河津分水路河口部付近の右岸に設置する魚道のための土留壁を整備する工事
D新野積橋橋台工事:大河津分水路の断面拡幅に伴い付け替えとなる野積橋の右岸橋台工事

 その他、大河津管内の維持管理工事などがあり、今後十数年継続される本事業の取り掛かりとして、各工区が連携しながら工事を進めているところです。

3.工事連絡協議会

 大河津分水路改修工事に従事する受注者で組織する「大河津分水路工事連絡協議会」では、月1回の協議会を開催し、各工区が共用する土取場の運営や他工区への連絡事項等について調整・情報交換を図り、協力して工事を安全かつ円滑に進めることを目的に活動に取り組んでいます。
 また、協議会活動として、地元のボランティアへの参加などに取り組んでいます。大河津分水路の堤防には、その工事の偉業を称え約10kmにわたりソメイヨシノが植えられており、4月の開花時期には桜の名所として多くの方が散策に訪れるため、今年の3月に工事連絡協議会では桜の本格的な開花に先立ち桜の不要枝木の剪定ボランティアに参加し、地元地域への貢献を行っています。その他、大河津改修事業の広報活動の一環として、工事箇所周辺の地域や長岡市方面を運行する路線バスにPR広告を掲載し、地域住民の皆様などに改修事業の意義をご理解いただく活動なども行っており、協議会として周辺地域への皆様とのコミュニケーションを図るよう努めています。

4.おわりに

 大河津分水改修事業はこれからが本格的に稼動する一大事業です。工事に従事する私たち工事連絡協議会では工事施工に係る労働災害や交通災害を未然に防止し、現場で働く作業員の安全衛生及び職場環境の向上に努めるとともに、近隣住民の皆様とのコミュニケーションを図ることで本事業へのご理解ご協力をいただき、今後継続される大河津分水改修事業が円滑に進むように取り組んでいきたいと思います。各工区では、工事の内容、規模、施工場所も異なりますが、全ての工事が無事故・無災害で竣工を迎えることができるよう努めてまいります。

工事連絡協議会 バス広告


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