建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年4月号〉

【寄稿】

着実に進む復興支援道路整備【前編】

―― 宮古盛岡横断道路と遠野道路が地域を救う

 国土交通省 東北地方整備局
 岩手河川国道事務所 所長
清水 晃



遠野IC付近(H29.10撮影)


 私たち岩手河川国道事務所が整備を進める東北横断自動車道釜石秋田線(釜石〜花巻)と宮古盛岡横断道路は、東日本大震災からの復興に向けてリーディングプロジェクトとなる復興支援道路です。
 東北・被災地域の速やかな復興、太平洋沿岸と内陸を結ぶ横断軸の強化によって、連携を促進することで被災地の早期復興の支援と平常時も含めた緊急輸送圏域の拡大による安全・安心の確保のため、高規格幹線道路ネットワークを形成し速達性の確保を目的とする道路です。
 当事務所では、遠野住田ICから東和IC間の約44kmの整備を担当し、このうち宮守IC〜東和IC間の約24kmについては、平成24年11月25日に、遠野IC〜宮守IC間の約9kmについては平成27年12月5日に開通しています。
 現在は、残る遠野住田ICから遠野IC間の約11kmについて整備を進めています。
 東北横断自動車道釜石秋田線遠野道路(遠野住田〜遠野)は、遠野市上郷町平倉(遠野住田IC)から遠野市綾織町新里(遠野IC)を結ぶ自動車専用道路です。この区間は平成23年度に事業化となりました。
 構造規格は第1種第3級、設計速度は80km/h、幅員は2車線13.5m、として計画されています。
 今年度は改良工事、橋梁工事、舗装工事、道路付属施設工事等を促進し、年度内の開通を目指します。

遠野住田IC付近(H29.10撮影)

期待される効果

◆釡石地域からの管外搬送のうち約7割が高次医療施設のある盛岡市へ搬送しています。
 この整備によって、宮守〜東和の開通以降、釡石地域からの救急搬送は高速道路利用にルート変更し、患者の負担軽減や安定した搬送に寄与しています。
◆管内の釡石港は、重要港湾として平成23年7月に国際フィーダーコンテナ定期航路が開設されました。
 この釡石秋田線と釡石港の連携により利用企業数、コンテナ取扱量が大きく増加しており、釜石道の全線開通により更なる増加が期待されます。
◆岩手県は全国一のホップ生産地であり、中でも遠野市は県内の約4割を生産しています。輸送時間の短縮によって、ホップの鮮度の保持や輸送効率化に寄与しています。
◆日本最古の洋式高炉跡が現存する橋野鉄鉱山(釡石市)が、平成27年7月に世界遺産に登録されました。登録後の来訪者は大幅に増加しており、岩手県内のほか、首都圏等遠方からの来訪者も更に増えていくものと期待しています。
◆平成31年には、ラグビーワールドカップが釜石で開催され、多くの選手や観客の皆さんが釜石にやってきます。選手や観客の安定した移動を確保し、円滑な大会運営を支援します。
 被災地の早期復興のため、関係機関並びに地域の皆様と一丸となって、復興支援道路の一日も早い開通を目指し事業を推進してまいります。引き続き皆様のご支援、ご協力を賜りますようお願いいたします。 (次号へつづく)


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