建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年3月号〉

【寄稿】

東京港臨港道路南北線整備事業について

国土交通省 関東地方整備局 東京港湾事務所



図-1 南北線位置図

1.事業の概要

 東京港は、19年連続で外貿コンテナ取扱量日本一を誇る海上輸送拠点として、重要な役割を果たしています。また、コンテナ貨物の増加やコンテナ船の大型化に対応するため、現在、中央防波堤地区において大水深の国際海上コンテナターミナル(Y2・Y3)を整備しています。
 臨港道路については、コンテナ貨物を中心とした港湾物流を支える重要な役割を担っていますが、現在、有明地区と中央防波堤地区を結ぶ臨港道路は第二航路海底トンネルのみであるため、コンテナ運搬車両等が集中し、慢性的に交通渋滞が発生しています。中央防波堤地区のY2・Y3が完成すると、ますます激しい交通渋滞が予想されます。
 こうした状況を踏まえ、東京港臨海部の円滑な港湾物流機能を確保するため、現在、東京港第二航路を横断する臨港道路南北線(以下、南北線という)の整備を進めています。(図-1に南北線の位置を示す)
 また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、東京港の臨海部に、14の競技場が整備されるとともに、選手村やメディアセンターが設置されます。特に、中央防波堤地区では、ボート・カヌーや馬術(クロスカントリー)の競技が開催されることから、大会期間中における港湾物流関係車両と大会関係車両の輻輳が懸念されます。
 東京港の物流機能の確保とともに、東京2020大会の輸送アクセスの確保も必要となるため、南北線は東京2020大会までの開通を目指しています。
 南北線整備事業は、2016年4月に現地工事に着手し、約4年間で開通させる予定です。これまでに整備された同規模の沈埋トンネルでは8〜10年程度の整備期間を要していることから、南北線整備事業では、着実に工事を進めることが求められています。

2.南北線の特徴

図-2 南北線平面・断面イメージ

図-3 南北線完成イメージ

 南北線は、7函の沈埋函を接続した海上部、開削トンネル工法で整備するアプローチ部、これらをつなぐ接続部で構成されています。
 トンネルの車線数は、片側2車線の4車線であり、中央部に避難通路を兼ねた自転車歩行者道が配置されています。沈埋函の1函あたりの長さは国内最長の134m、幅は27.8m、高さは8.35mであり、1函の重量は約3万トンになります。
 整備期間が限られているため、沈埋函は製作期間の短縮が可能なフルサンドイッチ構造を採用しています。造船ドックで鋼殻部分を製作し、完成した鋼殻をふ頭まで曳航し、岸壁に係留した状態でコンクリートを打設して沈埋函を完成させる工法です。これにより、造船ドックと岸壁において、沈埋函の製作を並行して進めることが可能となります。

3.南北線の工事状況

写真-1 中詰コン浮遊打設状況

 南北線は、トンネル部分約2.2kmを図-2に示すように6つの工区に分けて整備を進めています。
 沈埋函については、1〜3号函は完成し現在は仮置きを、4、5号函はコンクリートの打設を、6、7号函は造船ドック内で鋼殻の大組立を行っているところです。
 海上部では、トレンチ浚渫がほぼ完了し、今後、護岸部の撤去とともに護岸際の浚渫を行うこととしています。
 接続部については、ニューマチックケーソン工法で整備しており、沈下掘削が完了したところです。
 アプローチ部については、中央防波堤地区側では掘削を進めており、10号地側での接続部周辺を除き掘削が完了し躯体構築を進めているところです。

写真-2 トレンチ浚渫状況 写真-3 10号地側進捗状況

4.おわりに

 今後も引き続き、安全に留意し、着実に工事を進め、東京港の物流機能の確保を図って参ります。


HOME