建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年3月号〉

【TOPICS】

2018年度北海道開発予算(案)は前年比1.6%は総額5550億円で
6年連続増額に北海道開発事業費増の5446億円を計上

―― 基幹産業「食」「観光」を基軸に人流・物流ネットワーク強化や
  空港・港湾機能整備で戦略的産業振興を目指す

2018年度北海道開発予算

はじめに

 2018年度政府予算案は、一般会計総額は昨年比2581億円増の97兆7128億円で、6年連続で過去最大を更新した。政府予算案は1月22日召集の通常国会において年度内成立の見通しとなった。また、今国会で成立した2017年度補正予算は、@甚大化する自然災害リスクを踏まえた防災・減災対策、(河川等、道路、港湾、空港、水道施設)A「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づく施策や喫緊の課題に対応(農林水産物も輸出拠点となる港湾整備など)を基本に必要経費を計上している。
 一方で北海道開発予算は総額で5550億5000万円、その内の一般公共事業費あたる北海道開発事業費は5446億8700万円(前年比1.6%増)で6年連続の増額となった。

2018年度北海道開発予算案

 2018年度北海道開発事業費の主な内訳は、治山治水事業で940億円(前年比0.4%減)、道路整備事業で1964億円(同比0.5%増)、港湾空港鉄道等で329億円(同比18.7%増)、農林水産基盤整備1161億円(同比1.7%増)の計上となっている。さらに、2017年度補正予算では北海道開発事業費として治山治水で80億円、道路整備109億円、港湾空港鉄道等17億円、農林水産基盤整備479億円など合計832億円の予算措置がされている。

主な事業

 2016年4月にスタートした第8期北海道総合開発計画(2016年度〜概ね2025年度)は「人が輝く地域社会の形成」「世界に目を向けた産業振興」「強靭で持続可能な国土形成」を重点目標に据え、北海道の強みである「食」「観光」関係分野等における成長・活性化の流れを伸ばすとの計画で「世界の北海道」をキャッチフレーズとしている。3年目の今年も「食と観光」の戦略的産業振興を基軸とした事業計画を推進することになる。
 事業別では、道路関連(道路整備・道路環境整備)で高規格幹線道路整備として釧路外環状道路釧路東−釧路別保間の18年度開通に向けた整備事業を推進する。国道5号倶知安余市道路整備を推進。また、物流ネットワーク整備や観光地へのアクセス道路整備を進める。
 治水事業では、石狩川、十勝川、天塩川などで河川改修をはじめ、千歳川遊水地の工事などを推進し多様化する災害に備える。また、ダム事業ではサンルダム事業の18年度完成に向けた整備推進をはじめ、平取ダム、新桂沢ダムなどの継続や新規として雨竜川ダム再生事業を推進する。
 港湾空港事業では、世界水準の観光地の形成として観光客の受け入れ機能強化で新千歳空港の国際線エプロン工事や誘導路新設など機能強化や稚内空港施設整備などを推進する。また、大型クルーズ船受け入れ環境整備で函館港、小樽港で岸壁改良工事を推進する。釧路港では貨物輸入拠点とする国際物流ターミナル整備や苫小牧港や石狩湾新港の物流ターミナル事業を促進する。
 農業水産基盤整備として、ほ場の大区画化、暗渠、かんがい排水等の農地整備推進で、農業生産効率や付加価値の向上と災害に強い農業を目指す。
 水産基盤整備では、漁港の防災・減災対策で羅臼漁港整備や枝幸港、増毛港の整備も進め水産物輸出拡大を目指す。また、胆振海岸などの海岸保全施設整備事業も推進する。
 今年度も、「食」「観光」産業振興を基軸に人流・物流の交通ネットワーク整道路・農業・水産整備事業や国内外の観光者の受け入れ基盤整備事業を重視した予算編成となっている。一方で、頻繁化する自然災害に対処する道路・河川・農業整備事業等(補正を含め)の予算措置をしている。
 今予算が北海道経済・産業の活性化と地域振興・発展に直結することを望みたい。


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