建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年3月号〉

【寄稿】

中筋川に新たなダムサイトが出現横瀬川ダム(建設中)

―― 洪水被害の防止と正常な河川機能の維持等に向けて

 国土交通省 四国地方整備局
 中筋川総合開発工事事務所
 所長 高橋 淳二




外観完成イメージ


 中筋川総合開発工事事務所は、横瀬川ダムの建設を進めています。横瀬川は中筋川の左支川として、その源を高知県宿毛市仏森(標高682m)に発し、小さく蛇行を繰り返しながら南流し、四万十市有岡地点で中筋川と合流している一級河川です。
 流域は宿毛市・四万十市の2市にまたがり、流域面積20.3km2、流路延長15.4qを有しています。
 横瀬川ダムはコンクリートで作られる重力式コンクリートダムで、ダム堤体自体の重さによって、水圧などの外力に抵抗し、安定に保つ形式です。

中筋川流域図


 この整備によって、ダム地点の計画高水流量210m3/sのうち140m3/sの洪水調節を行い、中筋川ダムの洪水調節機能と相まって磯の川地点(中筋川基準地点)の基本高水流量1,200m3/sのうち350m3/sの洪水調節を行い、中筋川沿川地域の水害の低減を図ります。
 また、本来河川が持っている既得用水等の安定取水や流水の清潔の維持といった機能を正常に維持するため、10年に1 回程度起こりうる渇水時においても、中筋川ダムと横瀬川ダムで流量を確保するよう補給を行い、これらの機能の維持を図ります。
 また、四万十市の水道用水として、1日最大800m3(0.009m3/s)を供給します。
容量配分図

 横瀬川ダムの諸元は堤高72.1m、堤頂長は188.5m、堤体積は165,000m3、総貯水容量は7,300,000m3で洪水時最高水位はEL145.8mで、平常時の最高貯水位EL131.9m、最低水位はEL108.6m、洪水貯留容量は3,800,000m3となります。
 ダムの本体工事では、直下流の轟の滝を保全するため日本初の測水路減勢方式を採用し、ダム周辺の豊かな自然環境との調和を図るなどの取り組みを行いながら工事を進めております。
 工事の進捗状況は平成29年4月に基礎掘削を完了し、平成29年5月より本体のコンクリート打設工事を開始し、平成29年12月3日に定礎式行ったところです。
 今後の予定として、平成30年度末にはダム堤体及び関連施設の完成を図り、その後の試験湛水に向けて事業を進めて参ります。

定礎式の模様


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