建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年3月号〉

【寄稿】

地域経済・産業を支える四日市港臨港道路と
安全・安心を確保する津松阪港海岸の整備

 国土交通省 中部地方整備局
 四日市港湾事務所 所長
佐藤 誠



臨港道路(霞4号幹線)全景(平成29年9月撮影)

1.はじめに

 四日市港湾事務所では、主な直轄事業として四日市港臨港道路(霞4号幹線)、および津松阪港海岸保全施設の整備を進めています。これらの事業について紹介します。

2.四日市港

最後の橋桁の架設(平成29年12月23日)

(1)概要
 四日市港は、古くから国際貿易港として発展してきました。背後には、国内随一の石油化学コンビナートを中心とした基礎素材型産業や加工組立型産業等が集積しており、中部のものづくり産業を支える国際物流拠点として、また石油等エネルギー供給基地として産業や暮らしを豊かにする重要な役割を担っています。取扱貨物としては、輸入では原油およびLNG等のエネルギー関連、輸出では石油製品および化学薬品等が主体となっています。コンテナ貨物については、自動車部品や化学薬品等の工業製品の輸出が多いことが特徴です。
(2)臨港道路(霞4号幹線)
 臨港道路(霞4号幹線)は、霞ヶ浦地区南ふ頭から伊勢湾岸自動車道みえ川越IC付近までを結ぶ延長約4.1kmの臨港道路です。路線の大半が高架となっています。平成16年度から整備を開始しており、昨年12月に最後の橋桁の架設を終え、全長4.1kmがようやく繋がりました。現在は舗装工事や照明等の設置などを急ピッチで進めており、平成30年4月の開通に向けていよいよ大詰めを迎えています。
 一方、四日市港背後においては、平成30年度に新名神高速道路や東海環状自動車道の一部区間も開通する予定となっており、霞4号幹線の開通と相まって四日市港の更なる利便性向上が期待されます。また、近年はクルーズ船の寄港が増加傾向となっており、物流面だけでなく観光面での効果も期待されています。

3.津松阪港海岸

津松阪港海岸の事業箇所と背後状況

栗真町屋工区の整備状況(平成29年7月撮影)
阿漕浦・御殿場工区の整備状況(平成29年12月撮影)

(1)概要
 津松阪港海岸は、昭和28年に来襲した台風13号と、未曾有の災害をもたらした昭和34年の伊勢湾台風により壊滅的な被害を受け、昭和28年から38年にかけて災害復旧事業として現在の海岸堤防が整備されました。その後、約半世紀が経過し、老朽化や沈下が見られ、さらには液状化の可能性が確認されたことから、高潮対策事業として抜本的かつ緊急的な改良が必要となりました。現在は、津地区(栗真町屋工区、阿漕浦・御殿場工区)約5.5kmにおいて、平成23年度から整備を進めています。
 整備に当たっては、完成後の海岸利活用を重視し、住民参加によるワークショップを開催するなど、地元の意見・要望を反映した上で施工しております。
(2)栗真町屋工区
 栗真町屋工区全体の約8割(全延長2,062m)の整備が進んだことで、背後地域への浸水リスクが低減し、防災・減災効果が発現してきた結果、宅地開発や企業・県内唯一の特定機能病院の設備投資が進むなど、地域の活性化に寄与しています。
(3)阿漕浦・御殿場工区
 阿漕浦・御殿場工区北側に位置する津ヨットハーバーは、平成33年開催予定の第76回国民体育大会(三重とこわか国体)のセーリング会場に決定しているため、地元自治体から国体開催までに会場周辺の整備完了を要請されています。このため、より良い環境で競技に臨んでいただけるよう、重点的に整備を進めています。

4.おわりに

 今後も、地域経済・産業を支える港湾、安全・安心を確保する海岸整備を推進するため、事務所一丸となって取り組んでいく所存です。引き続き関係者の皆様方のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。


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