建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年2月号〉

【寄稿】

現場代理人の目「建設現場の最前線から」
北海道建設部 室蘭建設管理部

道道洞爺公園洞爺線(仮称)東湖畔トンネル



 伊藤・橋本川島・山口特定建設工事共同企業体
 東湖畔トンネル工事作業所 所長  煤田 昌也




 伊藤・橋本川島・山口特定建設工事共同企業体は、北海道胆振総合振興局室蘭建設管理部より発注された道道洞爺公園洞爺線「(仮称)東湖畔トンネル」の施工を担当しています。
 この路線は、有珠郡壮瞥町と虻田郡洞爺湖町を洞爺湖東湖畔経由で結ぶ約17kmの主要道道であります。そのうち、有珠山噴火時の影響範囲外に迂回路を確保し、住民生活の安定、災害に強い地域づくりを支援するために約1.6km区間が新設され、東湖畔トンネルはその中間部に位置します。
工事箇所位置図


 平成12年の噴火では、周辺の国道や高速道路、本路線を含む道道などの主要道路が、高温で高速の砂嵐「火砕サージ」に襲われる危険性があったために全面通行止めとなりましたが、新設区間の完成により、有事においても洞爺湖の東岸ルートを経由する経路が確保されます。平常時においても通勤・通学や通院など日常生活で有珠山周辺市町村は伊達市への依存度が高いことから、新しい迂回路の整備により住民生活に安定をもたらします。
 東湖畔トンネルは、延長463m、うちトンネル部が451m、両坑口の坑門が12mで、車道の幅員が5.5m、両側に路肩0.5m、監査歩廊が0.75m確保されます。
 本トンネルの主体をなす地質は、前期更新世の壮瞥火砕流堆積物(溶結凝灰岩)です。軟質な地層であるため、全線において機械掘削にて進めました。下り勾配での施工であり、湧水による路盤の泥濘化に難渋したものの、切羽は安定し、支保構築後の大きな変位もなく、平成29年7月末に無事貫通いたしました。現在は覆工の施工を行っています。
 地震に強いとされてきたトンネルの耐震性向上が、近年はより一層求められているため、高品質のトンネルを構築するのは勿論のこと、無事故無災害での完成を目指し、作業所一丸となって工事に取り組んでおります。


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