建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2018年2月号〉

【寄稿】

大物流時代に備えて東予港を重点整備

―― 四国で最高の工業出荷高を誇る

 国土交通省 四国地方整備局 松山港湾・空港整備事務所
 所長
平野 智





 私たち松山港湾・空港整備事務所が現在、重点整備に当たっているのは、東予港のフェリー岸壁、松山港の大型岸壁、防波堤などです。最新の土木技術を活かしながら、大型岸壁や防波堤の拡張など、これからの大物流時代に対応すべく整備を図る一方、人々が憩いの場として利用できるよう、親しみのある港づくりを目指しています。
 この東予港は、瀬戸内海のほぼ中央、愛媛県の東部に位置し、古くから工業港として整備が進められてきました。昭和39年1月に、愛媛県東予地区の新産業都市指定を機に、それまでの地方港湾西条港と壬生川港が統合され、愛媛県を港湾管理者とする東予港が発足し、同年4月重要港湾に指定されました。
 昭和44年には、隣接する新居浜港の一部を併合し、新居浜市、西条市(旧西条市、旧東予市)の2市にわたる広い港湾地域を有することとなり、その後、港湾施設の整備が進められました。
 そして、さらに旧小松町、旧丹原町を含めて背後圏とした鉱産品、金属機械等の臨海部に立地する工場の原材料及び製品の輸移出入や、愛媛県と阪神地域を結ぶフェリーによる人・物の移出入を中心に、産業活動と地域の物流を支える港湾として、重要な役割を果たしてきました。

広域ネットワーク

ケーソン据付状況
グラブ浚渫船での浚渫作業


 近年では東予港を含めてこの管内では、造船業や電気機械製造業及び鉄鋼業等の企業立地もあり、工業出荷高は四国随一となるなど、今後ますますの発展が期待されています。
 このほか、本港を発着するフェリー航路は、西日本の産業・経済活動に必要不可欠なフェリー貨物の物流拠点として機能しており、一部のフェリー貨物は阪神港を経由して海外へ輸送され、国際コンテナ戦略港湾への集貨としても重要な役割を担っています。
 私たち松山港湾・空港整備事務所では、フェリー運航事業者が、フェリー貨物量の増大及び船舶の老朽化に対応するため、フェリー船舶の大型化・省エネ化を目的としたリプレイスを計画しており、また既存の岸壁は建設後40年以上が経過し、老朽化により物流機能に支障を来す恐れがあることから、水深7.5m岸壁を備えた複合一貫輸送ターミナルの整備を平成26年度から実施することになりました。
 岸壁(-7.5m)の施設延長は260mで、うち船首尾係船岸は40m。整備目的は1.6万トン級のフェリーが係船できることです。平成28年から工事に着手し、現在までに岸壁の外郭となるケーソン据付作業が完了し、今後は、上部工・舗装工に着手する予定です。
 また、幅員190mの航路及び面積12.7haの泊地も整備しており、整備目的は同じく1.6万トン級フェリーの通航及び停泊・回頭に必要な水深(7.5m)を確保します。平成27年から浚渫工事に着手し、平成29年までの工事で、泊地は全域、航路は幅員130mまでの浚渫が完了しました。
 今後は、平成30年度の施設の暫定供用を目指して、鋭意施工を進めていきます。


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