建設グラフインターネットダイジェスト
〈建設グラフ2018年1月号〉
2018年は北海道命名150年 将来に思いを馳せる1年に
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冬の摩周湖 |
- ── 全国的に外国人観光客数が、順調に伸びていますが、北海道への訪問者も着実な伸びを見せており、本道の魅力を広め、消費経済を高める絶好のチャンスといえるでしょう。この好機を、どのように生かしていますか
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高橋 平成23年からの5年で道産食品の輸出額が倍増し、アジア諸国などにおいて北海道ブランドに対する注目や評価が高まっています。
こうした中、平成30年までに道産食品の輸出額を1,000億円にすることを目指し、香港、シンガポールなどにおいて商談会を開催するなど、海外における販路開拓を支援しています。
また、国内に8店舗設置している「どさんこプラザ」については、海外1号店であるシンガポール店に続き、平成30年10月にはタイ・バンコクにも設置予定であり、道内中小企業のマーケティングを支援していきます。
さらに、道独自の食品機能性表示制度「ヘルシーDo(ドゥ)」を活用した食品の高付加価値化の促進や、地域の食品製造業やワイン醸造に携わる専門人材の育成など、北海道の強みである「食」の魅力と可能性を最大限に発揮しながら様々な取組を進めていきます。
観光分野においては、北海道の観光入込客数(実人数)は、平成23年度は東日本大震災の影響などにより落ち込みましたが、平成24年度以降は回復基調に転じ、平成27年度には5,477万人と、平成23年度から800万人以上増加して過去最高を更新しました。
来道する外国人観光客数は、北海道が世界に誇る安全・安心な食、四季ごとに特徴のある姿を見せる自然環境のPRに努めてきたことや、海外への積極的なプロモーションを行ってきたことなどにより、平成28年度は前年度から約11%増加して約230万人と、過去最高を更新し、日本全体の訪日外国人旅行者2,136万人の約1割を占めています。
北海道は、四季折々の多彩な表情を見せる雄大な自然をはじめ、国際的にも希少なシマフクロウやオオワシなどの多様な生き物たち、豊かな海や肥沃な大地が育む安全・安心でおいしい食、そして、豊富な温泉や大自然の中での様々なアウトドアスポーツ、世界トップレベルの雪質のスキー場など、魅力にあふれています。
北海道が世界に発信できる国際観光地として発展していけるよう、道東と道北の2つの広域観光周遊ルートにおいて、関係者の皆様や国と連携して、地域の観光資源の磨き上げや新たな観光商品の開発を行い、広くその魅力をPRするとともに、様々な魅力のある北海道の自然環境をPRし、自然との触れ合いやアウトドアスポーツなどを楽しんでいただくよう取り組んでいきます。
外国人観光客の旅行形態は、ニーズの多様化とともに、これまでの団体旅行から個人や家族など小グループへと旅行形態が変化している中で、北海道観光を更に振興していくため、今後とも地域資源の発掘や磨き上げを継続的に行い、国際的に競争力のある、質の高い観光地づくりに努めていきます。
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北海道命名の地(音威子府村) |
- ── 2018年は北海道命名150年となりますが、北海道の沿革、明治2年からこれまでの流れを踏まえて、どのような事業を行いますか
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高橋 1869(明治2)年、松浦武四郎が明治政府に提出した意見書をもとに、「北海道」と命名されてから、2018年でちょうど150年目の節目を迎えます。
北海道には、縄文文化やアイヌ文化をはじめとする独自の歴史や文化がありますが、「北海道」と命名された明治期以降は、各地から移住された方々の大変なご努力と、外国の先進的な技術の導入などにより、短期間で近代化が成し遂げられ、個性豊かな大地として発展してきました。
本道の歴史や文化、豊かな自然環境は、道民にとってかけがえのない精神的豊かさの源であると思っています。私たち道民一人ひとりが、北海道の様々な価値に誇りを持ち、次の世代に向けてしっかりと守り、育てていくため、2018年は、北海道150年事業で北海道全体を盛り上げていきたいと考えています。
特に、8月5日に札幌で開催する記念式典は「先人に学び未来につなぐ」をテーマに、子どもから大人までが一体となって北海道の歴史や文化を体感し、将来に思いを馳せることができるような内容にしたいと考えています。
道民の皆さんにも関連事業の実施や協賛などの形で、ぜひ北海道150年事業に積極的に参加いただきたいと思います。
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芽室川災害復旧現場(帯広建設管理部) |
- ── 北海道の国土強靭化への取り組みは進んでいますか
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高橋 本道では、平成28年8月から9月にかけて、4つの台風が次々と上陸・接近するという観測史上例のない事態が発生し、全道各地で記録的な豪雨となり、4名の方々の尊い命が失われたほか、河川や道路などの社会資本をはじめ、農林水産業などの生産活動にかつてない甚大な被害が生じ、近年、他に類を見ない大災害となりました。
大規模自然災害はいつどこで発生するか予測が難しく、予断を許さないものであり、いざという時に備え、平時からの防災対策が非常に重要であると改めて認識したところです。
本道は去る9月にも大雨災害があったことに加え、過去には南西沖地震や有珠山の噴火、暴風雪による被害など、様々な自然災害を経験しております。
また、積雪・寒冷の地であり四方を海で囲まれ、9つの常時観測火山があるなど、北海道特有の様々な自然災害リスクもあります。
こうした自然災害リスクから道民皆さんの生命、財産を守るとともに、本道の持つ強みを活かし、国全体の強靱化にも貢献するため、道では全国に先駆けて「北海道強靱化計画」を平成27年3月に策定し、北海道の強靱化に向けたハード・ソフト一体となった取組を進めているところです。
今後とも、これまでの災害を教訓にして“まさか“への備えと強靱なまちづくりを進め、皆さんが安心して暮らせる北海道づくりに取り組んでまいります。
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国土強靱化地域計画に関する説明会 (11/13〜上川総合振興局_旭川市) |
- ── 北海道の社会資本整備の重点化方針について伺います。以前から不断の課題として問題提起されてきたインフラの長寿命化・老朽化対策等を、今後どのように進めていきますか
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高橋 社会資本は北海道の産業活動や暮らしを支え、地域の発展に寄与してきました。今後も力強い経済構造や安全で快適な暮らしの実現に向け、防災・減災対策や交通ネットワークの整備、食料の安定供給に資する農業や水産業の生産基盤の整備など必要な社会資本整備を進めていく必要があります。
道では限られた財源を、中長期的な視点に立って、必要性・優先性の高い施策・事業に振り向けるという「選択と集中」の観点を、より一層明確にし、北海道にとって必要な社会資本整備を着実に推進するため、平成29年3月に「新・ほっかいどう社会資本整備の重点化方針」を策定しました。
今後ともこの方針に沿って、戦略的・効果的に社会資本整備を進めてまいります。
また、社会資本の多くが高度経済成長期に集中して整備されており、今後一斉に更新時期を迎えることから、更新費用の平準化やライフサイクルコストの縮減を図り、道民の暮らしに必要な社会資本の保全がこれまで以上に重要になっています。
施設の現状と課題を踏まえ、施設の長寿命化や必要な機能の適正化など、総合的かつ計画的な維持管理・更新を着実に推進することにより、道財政への負担軽減を図るとともに、道民が安全に安心して利用できる社会資本の保全を図ってまいります。
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沼の平と雪渓(上川町) |
- ── 建設産業の担い手確保・育成には、今後どのように進めていきますか
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高橋 道では、建設産業の進むべき方向性と、道としての取組を総合的に取りまとめた平成25年度から29年度を推進期間とする「北海道建設産業支援プラン2013」に基づき、担い手の確保・育成などへの支援に取り組んでいますが、引き続き建設産業の持続的発展のため、人材の確保・育成をはじめ、経営力や生産性の向上などを図る必要があり、平成30年度以降の新たなプラン(仮称)「北海道建設産業支援プラン2018」を年度内に策定することとしています。
新たなプランにおいては、「地域の安全・安心に欠かせない建設産業の持続的発展」を基本方針として掲げ、「技術をつなぐ担い手確保・育成の強化」や「将来に続く経営力の強化」などの4つの目標を設定しています。
今後、こうした目標の達成に向け、「担い手確保・育成の強化」として、週休2日の導入などによる就業環境の改善や「建設産業ふれあい展」の開催などによる建設産業のイメージアップに努めるとともに、「経営力の強化」として、早期発注やICTの活用などによる生産性の向上や技術講習会開催による技術力の向上などにも取り組むこととしています。
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菜の花畑(上川町) |
北海道知事 高橋 はるみ たかはし・はるみ |
昭和 29年 1月6日生まれ 富山県出身 |
昭和 51年 3月 一橋大学経済学部 卒業 |
昭和 51年 4月 通商産業省入省 |
昭和 60年 大西洋国際問題研究所(在パリ)研究員 |
平成 元年 6月 通商産業研究所総括主任研究官 |
平成 2 年 7月 中小企業庁長官官房調査課長 |
平成 3 年 6月 工業技術院総務部次世代産業技術企画官 |
平成 4 年 6月 通商産業省関東通商産業局商工部長 |
平成 6 年 7月 通商産業省大臣官房調査統計部統計解析課長 |
平成 9 年 1月 通商産業省貿易局輸入課長 |
平成 10年 6月 中小企業庁指導部指導課長 |
平成 12年 5月 中小企業庁経営支援部経営支援課長 |
平成 13年 1月 経済産業省北海道経済産業局長 |
平成 14年12月 経済産業省経済産業研修所長 |
平成 15年 2月 経済産業省退官 |
平成 15年 4月 北海道知事 |
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