建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年12月号〉

国際線と国内線の乗り継ぎの効率化を目指して
「世界と日本をつなぐ道」


東京国際空港際内トンネル他築造等工事
清水・五洋特定建設工事共同企業体
神保 誠二





工事全体鳥瞰図

1.工事概要

 羽田空港では今後の更なる国際線発着便の増加を目的に、多くの工事が実施されている。本工事は、国際線と国内線の両ターミナルを連絡する「際内トンネル」を築造することで、ターミナル間の移動時間を短縮し、乗り継ぎの利便性の向上を図る事を目的としている。供用中の滑走路や東京モノレール・首都高湾岸線などの重要構造物の地下に直径約12mのトンネルを築造し、片側1車線の道路トンネルを構築する。重要構造物への影響を最小限に抑え、公共交通の運行支障を防止する必要がある、非常に難易度の高い工事である。
 シールドトンネルの延長が約1,850m、開削工による函渠部及びU型擁壁部の延長が約250mの路線を整備し、平成32年5月末の完成を目指して工事を進めている。

2.i-constructionの推進

 工事は平成28年6月に着工し、現在シールド発進立坑の構築を実施中であり、平成30年初頭にはシールド工事を開始する計画である。
 トンネルの路線は、曲率半径220mという急なカーブが全長の約50%を占め、かつ縦断勾配変化もあるため、線形管理が特に重要となる。そのため、ICTを活用して施工前にセグメント配置のシミュレーションを行う計画である。施工時にはシールドマシンの3次元的な位置を連続して計測し、3Dデータを駆使したリアルタイムな姿勢制御により綿密な施工管理を行う方針である。
 施工の効率化に関しては、開削工の現場打ちコンクリートに機械式鉄筋定着工法※)や流動性を高めたコンクリートを使用して、鉄筋組立及びコンクリート打設の効率化を図る。また、トンネル内部では道路築造にプレキャストボックスカルバートを採用し、シールド掘進と道路築造を並行して進める事で効率化を図る。
※) 鉄筋の端部に定着板等の定着帯を取付けて機械的に定着する工法

3.女性活躍への取り組み

 本工事では、「もっと女性が活躍できる建設業」を目指した取り組みを行っている。ハード面では、女性専用の詰所棟を設け、トイレ、シャワー室、更衣室、休憩スペース、仮眠スペース、洗濯設備等を整備している。
 ソフト面では、女性専用の作業着やヘルメット、軽量安全帯の支給などを通じ、労働環境の改善を図っている。また、協議会等を通じて女性が働きやすい環境を整備している事をPRし、協力会社に積極的な現場への配置を促進している。
 現在、施工管理5名、事務担当4名、CADオペレータ3名の計12名が活躍している。今後は現所属のメンバーの意見を参考に労働環境の改善を図り、更なる女性活躍を目指したい。

施工状況全景 女性専用の詰所棟


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