建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年10月号〉

復興道路・復興支援道路の整備状況

―― 地域とともに地域創生の絆となるみちづくり

国土交通省 東北地方整備局 三陸国道事務所



図 三陸国道事務所が進めている道路整備


 私たち三陸国道事務所では、東日本大震災からの復興を含め、三陸沿岸地域が抱える多くの課題を改善するため、効果的かつ効率的に様々な事業・施策に取り組んでいます。
 三陸沿岸道路は「復興道路」として、宮古盛岡横断道路は「復興支援道路」として、東日本大震災からの早期復興に向けたリーディングプロジェクトとして、平成23年11月に事業化されました。
 沿岸南北軸、内陸東西軸を高規格道路で結び、東日本大震災からの早期復興をはじめ、防災ネットワークの形成、地域活性化等に寄与する道路として、三陸沿岸地域の復興に貢献すベく、スピード感を持って整備を進めています。
 三陸沿岸道路は、宮城県仙台市から青森県八戸市までの359qの自動車専用道路であり、現在189qの区間が事業中です。この中で、三陸国道事務所では108qの区間で整備を進めています。
 このうち、三陸沿岸道路「山田宮古道路(山田〜宮古南)」約14kmは、現道の線形不良区間、津波浸水区間を回避し、走行性の向上が図られるとともに、所要時間の短縮により重要港湾(宮古港、釜石港)へのアクセス性向上、救急医療施設への速達性向上等の効果が期待されます。平成29年度は、改良工事、橋梁工事、舗装工事、道路付属物工事を促進し、本年度の開通を目指します。

写真 山田宮古道路の工事状況(今年度開通予定区間)


 「宮古田老道路(宮古中央〜田老)」約21kmは、現道の線形不良区間、津波浸水区間を回避し、走行性の向上が図られるとともに、所要時間の短縮により物資輸送の拠点となる久慈港と宮古市間のアクセス性向上、救急医療施設への速達性向上等の効果が期待されます。平成29年度は、改良工事、トンネル工事、橋梁工事、舗装工事、道路付属物工事を促進し、本年度に田老第2IC(仮)〜田老北IC(仮)約4km、平成32年度に宮古中央IC〜田老第2IC(仮)約17kmの開通を目指します。

写真 宮古田老道路 閉伊川橋(仮)の工事状況(今年度一部開通予定区間)


 「田老岩泉道路(田老〜岩泉)」約6kmは、現道の線形不良区間、津波浸水区間を回避し、走行性の向上が図られるとともに、所要時間の短縮により物資輸送の拠点となる久慈港と宮古市間のアクセス性向上、救急医療施設への速達性向上等の効果が期待されます。平成29年度は、改良工事、舗装工事、道路付属物工事を促進し、本年度の開通を目指します。
 「田野畑道路(田野畑南〜尾肝要)」約6kmは、現道の線形不良区間を回避し、走行性の向上が図られるとともに、所要時間の短縮により物資輸送の拠点となる久慈港と宮古市間のアクセス性向上、救急医療施設への速達性向上等の効果が期待されます。平成29年度は、改良工事、橋梁工事を促進します。
写真 田老岩泉道路 摂待大橋(仮)の工事状況(今年度開通予定区間)

 「尾肝要普代道路(尾肝要〜普代)」約8kmについて、平成29年度は、用地買収、改良工事、トンネル工事、橋梁工事を促進し、平成32年度の開通を目指します。
 「野田久慈道路(普代〜久慈)」約25kmについて、平成29年度は、用地買収、改良工事、トンネル工事、橋梁工事を促進します。
 「久慈北道路」約7.4kmは、急カーブや幅員狭小区間の連続する現道を回避し、所要時間の短縮・走行安全性向上、また久慈市〜青森県八戸市間のアクセス性向上による広域連携の強化が図れるものと期待されます。平成29年度は、用地買収、改良工事、橋梁工事を促進し、平成31年度の開通を目指します。
 「洋野階上道路(侍浜〜階上)」約23kmは、現道の線形不良区間を回避し、走行性の向上が図られるとともに、所要時間の短縮により物資輸送の拠点となる八戸市と久慈市のアクセス性向上、救急医療施設への速達性向上等の効果が期待されます。平成29年度は、用地買収、改良工事、橋梁工事を促進し、平成32年度の開通を目指します。
 三陸沿岸道路の整備により、仙台〜宮古間が約3時間で結ばれます。また、仙台〜八戸間は所要時間が約8時間かかっていましたが、三陸沿岸道路の整備により約5時間となり、約3時間の時間短縮となります。これにともない三陸地域の物流の効率化が期待され、搬送時間短縮によって輸送される水産物の品質向上も図られるなど、地域産業の振興に向けて多面的に寄与します。
 また、三次救急医療施設の60分圏域が拡大し、より多くの救急患者に対する早期の初期治療が可能となります。災害時にも寸断しない強靭な道路が確保され、災害時でも石油供給拠点である八戸港から、沿岸各地への安定的かつ確実な輸送を支援します。
 宮古盛岡横断道路は、宮古市と盛岡市を結ぶ地域高規格道路です。計画延長は66kmで、三陸国道事務所では「宮古箱石道路(宮古〜箱石)」33qについて、国による権限代行事業で整備を進めており、国道106号の線形不良区間を回避し、走行性の向上が図られるとともに、所要時間の短縮により県都盛岡市と宮古市間のアクセス性向上、救急医療施設への速達性向上等の効果が期待されます。平成29年度は、用地買収、改良工事、トンネル工事、橋梁工事を促進し、平成31年度に宮古市下川井地区、平成32年度に宮古市藤原〜松山IC(仮)、蟇目〜腹帯地区、川井〜箱石地区の開通を目指します。
 被災地では、復興道路・復興支援道路の整備にあわせた復興まちづくりが着実に進んでいるほか、道路の開通を見越した企業進出も進んでいます。また、平成30年6月の宮古港・室蘭港間のフェリー定期航路の開設、平成31年釜石ラグビーワールドカップの開催などが予定されています。このような地域の大きな期待に応えるためにも、一日も早い復興道路・復興支援道路の開通を目指して、今後とも取り組んで参ります。


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