建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年9月号〉

地域の産業と暮らしを支える港づくり

 国土交通省 北海道開発局 釧路開発建設部
 釧路港湾事務所 所長
飯田 誠
 昭和36年7月生(56歳)
 昭和55年(1980年)4月 北海道開発局入局
 平成25年4月 網走開発建設部 築港課長
 平成27年4月 北海道開発局 港湾空港部 港湾行政課 課長補佐
 平成29年4月より現職
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1.はじめに

国際物流ターミナル完成イメージ
 釧路港湾事務所では、重要港湾の釧路港をはじめ、第3種漁港の厚岸漁港、拠点空港の釧路空港において直轄での整備を実施しています。
 本稿においては、このうち釧路港について紹介します。

2.釧路港の概要

 釧路港は、北海道東部に位置し、太平洋に面した重要港湾で、海陸交通ネットワークの要衝に位置しており、酪農や製紙業をはじめとする東北海道の主要産業への原材料の輸入拠点であるほか、酪農、畑作、水産の一次産業を生産する我が国有数の食料供給基地として、日本国内における重要な役割を担っています。
 釧路港は、明治32年(1899年)8月4日普通貿易港に指定され開港、昭和26年(1951年)に重要港湾に指定され、平成21年(2009年)に開港110年を迎えました。
 その間、戦後復興の日本経済の拡大とともに取扱貨物量が増大し、従来の東港区に加え西港区へと発展してきました。昭和44年(1969年)に西港建設計画が策定され、順次、第1埠頭、第2埠頭、第3埠頭が供用し、平成14年(2002年)に第4埠頭の一部完成によって東北海道初の水深14m岸壁を含む3バースが供用開始され、同時に韓国・釜山港との外貿コンテナ定期航路が開設しました。
 平成23年(2011年)3月には東港区に耐震・旅客船ターミナル(岸壁水深9m)が供用開始となり、大規模災害時の緊急物資輸送の拠点機能の確保とともに、通常時においてはクルージング需要に対応した旅客船岸壁として利用され、地域の観光・交流活動の空間が形成されました。そして、平成23年5月に選定を受けた「国際バルク戦略港湾」への対応、内貿ユニットロードターミナル機能の強化等、東北海道の物流拠点港としての港湾機能強化を図るべく、平成23年12月に港湾計画が改訂されたところです。

3.国際物流ターミナル整備事業について

西港区第2埠頭岸壁(水深14m)
施工状況(平成29年2月)
連携による効率的な穀物輸送体系のイメージ
 全国の約4割の乳牛を飼養し、生乳・乳製品の一大生産地である東北海道を背後圏とする釧路港は、西港区第2埠頭地区に飼料工場等の関連企業が集積しており、トウモロコシ等の飼料原料は主に北米からパナマックス船で輸入しています。現在、穀物を取り扱う岸壁は水深が12mと浅く、積載量を減らさないと入港できないため、非効率な輸送形態となっています。このため、国際バルク戦略港湾として国際物流ターミナル整備事業により大水深の岸壁が整備されることで、パナマックス船が満載で入港できるようになり、効率的な輸送形態が実現します。平成26年度に開始した本事業は、平成30年度の供用を目指して、現在、岸壁(水深14m)、航路・泊地(水深14m)などの整備を急ピッチで進めています。
 本事業によって、釧路港を拠点とした穀物輸入ネットワークが構築され、効率的な輸送体系が実現することで、飼料原料の物流コストが低減され、我が国の酪農業などの産業競争力の強化が期待されます。

4.おわりに

 以上、釧路港における現在の主要事業を中心にご紹介しましたが、今後とも地域ニーズに応え、背後圏の経済と安全安心な暮らしを支えるべく港づくりを進めて参ります。


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