建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年8月号〉

組織で取り組む安全活動、 人と物との融和をめざして

 相馬福島道路安全協議会 会長
 東北中央自動車道 桑折高架橋界地区下部工工事
 青木あすなろ建設株式会社 現場代理人
岡 正人




 私たち相馬福島道路安全協議会(以下、協議会という)は、復興支援道路である延長45kmの自動車専用道路「相馬福島道路」のうち、福島河川国道事務所が担当する相馬玉野IC〜福島北JCT(仮称)の区間29.2qの工事を担当する施工者で構成されています。平成29年7月1日現在では、発注者である国土交通省福島河川国道事務所と、土木工事、機械・電気設備、建築工事を担当する53の施工者が一丸となって、道路の早期完成を目指して工事を進めています。
 協議会は工事を安全かつ円滑に進めることを目的として設立され、複数の工事が相互に関連する建設現場において、発注者と施工者および施工者間の安全施工に関する緊密な情報交換や、非常時における臨機の措置を定める等の連絡調整を行っています。また、工事に起因した周辺環境の変化が、地域住民の生活環境への負担とならぬよう、公衆災害、交通災害の撲滅に向けた安全活動に取り組んでいます。
 協議会の主な活動内容は以下の3点です。
 1点目は、毎月1回の協議会を通じて、さまざまな情報の共有化、コミュニケーションの円滑化を図ることです。具体的には、各施工者が翌月の工事工程を説明し、作業間の連絡調整を行っています。各社の工程表が全員に配布され各々の工程計画を見聞きすると、時には自社との管理方法の違いや、施工方法の違いに気付くことがあります。このような場合は、個別に質疑を行い、直接、意見を聞くことができます。デジタル情報が先行する時代にあって、協議会は会話による情報交換を行える場として非常に有効であると思います。
 2点目は、発注者と施工者合同の安全パトロールの実施です。安全パトロールは協議会の中から対象現場を2つ選定し、全員で安全点検を行います。パトロールを受ける側は、違った視点で現場を見られることにより、緊張感もありますが、安全に対する意識が高まる「観察効果」があります。パトロールする側は、他社の安全に対する取組や手法を直接見ることができるため、好事例などを迅速に水平展開することができます。これらは施工者の安全力を高め「思い込み(常識)」の排除にも繋がります。
 3点目は、外部講師による安全意識の向上にむけた勉強会の開催です。安全衛生関係の法令知識や事業場としてのメンタルヘルスに向けた取組み方などをテーマとし、これからの建設業界を担う若手社員への指導にも役立っています。
 大規模な建設事業計画の中で施工者の果たす役割は物を造ることだけにとどまらず、そこに暮らす地域のみなさまに建設工事を通じて貢献することと考えています。工事の融和的な遂行をめざすため、協議会という組織が一丸となって無災害に向けた安全活動・地域貢献活動をこれからも行っていきたいと思います。


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