建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年8月号〉

福島の復興を力強く後押しする 「相馬福島道路(復興支援道路)」

―― 東北の高速ネットワークを築く「東北中央自動車道(福島〜米沢北)」

 国土交通省 東北地方整備局
 福島河川国道事務所 所長
石井 宏明




相馬福島道路 全体計画図

 福島河川国道事務所では、道路改築事業の一環として、国道4号の改築事業、「相馬福島道路(復興支援道路)」及び「東北中央自動車道(福島〜米沢)」の早期完成を目指し、事業を鋭意推進しております。
 今回は、今年度(平成29年度)一部供用予定の「相馬福島道路」及び全線供用予定の「東北中央自動車道(福島〜米沢北)」について、事業概要等を紹介します。

1.相馬福島道路について

阿武隈東道路 開通後の様子
犬飼大橋より福島側を望む(霊山道路)

(1)事業概要について

 相馬福島道路は、復興支援道路として常磐自動車道と東北自動車道を結び、東日本大震災被災地と内陸との強力な連携を図り、被災地の早期復興を支援するための高規格幹線道路ネットワークを形成する延長約45km自動車専用道路であります。
 全体の内、相馬IC〜相馬玉野IC間16.7km区間は磐城国道事務所で担当しておりますが、平成29年3月26日に相馬山上IC〜相馬玉野IC間10.7kmで相馬福島道路では初となる開通をさせております。
 当事務所では、相馬玉野IC〜(仮)福島北JCT間29.2km区間を担当しておりますが、この内、相馬玉野IC〜(仮)霊山IC間17.0km区間については、今年度(平成29年度)の供用を目指し、トンネル7本及び橋梁10橋中9橋を完成させ、引き続き、橋梁、舗装や付属施設の設置工事を進めているところです。
 この区間が供用となれば、事業延長約45kmの内、27.7kmを供用すると伴に、事業全体の約6割が完成することなり、被災地復興支援に大きく貢献することとなります。

(2)期待される効果について

 現在の国道115号においては、過去17年間(H11〜H27)で18回の全面通行止めが発生しており、また、近年では、平成27年9月の関東東北豪雨により約1週間の通行止めとなり、大きな迂回を余儀なくされました。
 相馬福島道路が完成しますと、大雨などの災害により国道115号が通行止めとなった場合でも、緊急輸送道路として信頼性の高いネットワークが確保されます。
 また、救急医療施設への搬送時に、急カーブや急勾配を回避することで患者への負担が軽減されると伴に、沿岸地域(相馬市役所)から県立医大病院までの所要時間が整備前80分から整備後59分と21分短縮され、安心・安全な救急医療を支援することとなります。

2.東北中央自動車道(福島〜米沢北)について

東北中央道(福島〜米沢北)全体計画図

(1)事業概要について

 福島市と米沢市を結ぶ東北中央自動車道(福島〜米沢北 延長37km)の整備については、当事務所(福島県側施工)と山形河川国道事務所(山形県側施工)で進めております。
 この事業は、東北中央自動車道(福島県相馬市を起点とし、秋田県横手市で秋田自動車道に連結する総延長約268kmの高規格幹線道路)の一部を形成し、災害時における代替え路線の確保や交通障害の解消を図ると伴に、高規格幹線道路ネットワークを形成する自動車専用道路です。  この中で、福島山形両県境に設置する「栗子トンネル(延長8,972m)」は「雪に強くより信頼性の高い高速道路」とするために、国道13号の最高標高より約190m低い位置を通過する設計ですが、完成すると東北地方では最も長い道路トンネルとなり、全国でも5番目に長いトンネルとなります。
 また、長大トンネルとなることから、非常時用の避難抗を設けております。
 平成28年9月11日には福島JCT〜福島大笹生IC間1.4kmを供用しておりますが、残りの区間35.6kmについては、今年度(平成29年度)の供用を目指し、トンネル9本及び橋梁26橋は全て完成させ、現在は、舗装、付属施設や防災設備の設置工事を進めております。

(2)期待される効果について

福島JCTから福島大笹生ICを望む

 大雨などの災害により国道13号が通行止めとなった場合でも、緊急輸送路として信頼性の高いネットワークが確保されます。
 また、東北自動車道と米沢南陽道路が高規格幹線道路ネットワークで繋がると伴に、福島大笹生IC〜米沢八幡原IC間の所要時間が約40分から約20分と半分に短縮され、地域間の連携・交通ネットワークが広がることにより、置賜地域経済の活性化を支援します。

3.おわりに

 東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故による被災地の復興は、震災から6年を経過しても、道半ばです。
 福島河川国道事務所では、被災地の1日も早い復興に向け、引き続き、事業の促進に努めて参ります。

米沢八幡原ICから福島側を望む 米沢北ICから米沢市内を望む


HOME