建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年7月号〉

国道42号線田辺西バイパスの整備で通学が安全にトラックも安心して通行

 国土交通省 近畿地方整備局
 紀南河川国道事務所 所長
 水野 浩次


 紀南河川国道事務所では、河川事業は熊野川、道路事業は国道42号及び紀勢自動車道の整備を中心に、地域と一体となって和歌山県南部地域を快適にする川・道づくりを進めています。
 現在、道路事業では、一般国道42号の二次改築事業として、近畿自動車道紀勢線南紀田辺ICへのアクセス道路としての役割を担うとともに田辺市街の交通混雑の緩和を目的として田辺西バイパス[延長3.8km]をはじめ、新宮市から那智勝浦町間における交通混雑の緩和及び交通安全の確保等を目的として那智勝浦道路[延長15.2km]を、新宮市街および一般国道42号熊野大橋、新熊野大橋における交通混雑の緩和、災害時の代替機能の確保を目的として、新宮紀宝道路[延長2.4km]を、一般国道42号の異常気象時通行規制区間の解消、防災・災害時の代替路確保等を目的として、すさみ串本道路[延長19.2km]を推進しています。さらに、直轄権限代行により一般国道169号の一次改築事業として、異常気象時通行規制区間及び、幅員狭小、線形不良区間を解消し、災害に強いネットワークを形成、孤立集落の解消を目的として、奥瀞道路(V期)[延長3.4km]を推進しています。
 一般国道42号は紀伊半島を結ぶ主要幹線道路であり、紀勢自動車道と連携して観光、物流、救急医療面等で紀伊半島の交通ネットワークの中枢として、利用されています。


 しかし、交通量の増加にともない、田辺市内の芳養(はや)交差点や稲成町交差点では、通勤時間帯を中心に慢性的な渋滞が発生していました。これまで田辺バイパスの整備を行い、一部地域の渋滞は緩和されてきましたが、市街地では依然慢性的な交通渋滞に加え、観光シーズンには著しい交通渋滞が発生し、日常生活にも支障をきたしていたところです。
 そのため、田辺市街地を迂回し、近畿自動車道紀勢線と南紀田辺ICで接続する田辺西バイパスの整備により、今後の交通需要に対応し、交通混雑の緩和による交通円滑化、生活道路の交通安全の向上、近畿自動車道紀勢線との連携による沿道地域の活性化を促します。
 また、田辺市域内の所用時間が短縮されるため、田辺赤十字血液センターと救急病院とのアクセス性が向上し、救急医療体制の強化への支援も期待されます。観光面では田辺西バイパスと田辺バイパスが南紀田辺ICで阪和自動車道とつながるため、京阪神から扇ヶ浜や白浜などへ向かう観光客のアクセスがよくなり、観光産業の活性化が期待されます。
 交通安全面では、平成26年3月の田辺西バイパスの一部開通によって、国道42号の並行区間である田辺市稲成町交差点〜芳養交差点間で、交通量が3割減となり、特に大型車は5割減となったことで通学時の安全性が向上しており、明洋交差点では課題であった慢性的な交通渋滞が解消されています。
 田辺西バイパス以外のその他の事業として、三重県紀宝町神内〜和歌山県新宮市あけぼの間が「新宮紀宝道路」として平成25年和歌山県西牟婁郡すさみ町江住(えすみ)〜和歌山県東牟婁郡串本町サンゴ台間が「すさみ串本道路」として平成26年に事業化されました。
 これら、紀伊半島一周となる幹線道路として、高速ネットワークが確保されることで、高度な医療施設への時間短縮、所要時間の短縮による観光、地域産業の活性化に貢献するほか、南海トラフ地震発生時や台風等の豪雨による災害時には、迅速な救援活動や復旧活動を支援します。


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