建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年7月号〉

【ZOOM UP】

教育環境に恵まれた山手地域に3校統合の“新小学校誕生”

―― 敷地形態の有効活用と多様な学習形態に対応した設計

小樽市 山手地区統合小学校新築工事

建設経緯

 山手地区統合小学校は、小樽市の中心部にある緑豊かな小樽公園に隣接し、学校周辺には、総合体育館などの体育施設、市民会館や公会堂といった文化教育施設が立ち並び、教育環境として恵まれた地域に位置している。
 少子化が著しい中で、児童数の減少や学校施設の老朽化に対応し、教育環境の向上を図るため、山手地区にある緑小学校、最上小学校及び入船小学校の3校を統合校とする新小学校新築事業を進めることとなった。
 現在、建設中の校舎、屋内運動場(渡り廊下を含む)の工事は平成30年3月に完成し同年4月より供用開始の予定。

整備主旨と施設の特色

 統合校の一つである緑小学校に隣接する建設敷地は、南北に長く、中央部がくびれた不整形な形態をしているが、整地形態に合わせたゾーニングや建物形状を採用することで、最大限に有効活用を図っている。また、高低差が最大7mの段状敷地であるが、グラウンドや校舎の計画地盤高さを概ね現況地盤高さに設定することで、造成規模を縮小し、コスト縮減に配慮している。
 また、敷地南部からグラウンド、校舎、渡り廊下、屋内運動場と配置しているが、敷地南部周辺には住宅や店舗があるため、圧迫感を与えないよう最も南側にグラウンドを配置した。さらに、高低差の関係で南西側が敷地入口になるため、グラウンドの次に校舎を配置し、校舎への円滑なアプローチを確保している。 校舎の平面計画として、回廊式を採用し、廊下が暗くならないようライトコートを2個所設けている。
 児童の習熟度に合わせた授業やグループ学習を行えるよう普通教室の隣にワークスペースを配置しているが、ワークスペースの廊下側に壁を設けず、多様な学習に対応できるよう配慮している。そのほか、効率的な学習が行われるようコンピューター室と図書室を一体的に整備し、共同作業やコミュニケーションの場として使用できる多目的スペースを各階中央に配置している。
 管理室部門は、職員間の連携がとりやすいよう1階に集約しているが、職員室は児童の登下校やグラウンドの様子を確認し、安全を確保できるよう南西部に配置している。
 屋内運動場は、地域開放を考慮し、昇降口、更衣室及びクラブハウスを配置している。
 校舎及び屋内運動場の床や壁には木質系の材料を使用し、全体的に明るく温もりのある内部空間としている。


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