建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年7月号〉

 副局長インタビュー オホーツク総合振興局

広域地域をつなぐ医療機関搬送路確保や物流効率化・観光振興の道路ネット拡充整備や防災対策も強化

 オホーツク総合振興局(建設管理部担当) 副局長
野口 恭延
 のぐち・やすのぶ
 昭和34年1月12日生まれ 帯広市出身
 日本大学理工学部土木工学科 卒業
 昭和56年4月 北海道庁入庁(土木部砂防災害課)
 平成10年4月 小樽土木現業所余市出張所河川係長
 平成13年4月 帯広土木現業所事業部治水課河川技術係長
 平成16年4月 札幌土木現業所事業部治水課河川改修係長
 平成17年4月 道庁建設部河川課主査
 平成20年4月 網走土木現業所事業部治水課長
 平成23年6月 道庁建設部土木局河川課主幹
 平成25年4月 十勝総合振興局帯広建設管理部事業室地域調整課長
 平成26年4月 オホーツク総合振興局網走建設管理部事業室長
 平成27年6月 道庁建設部建設政策局維持管理防災課長
 平成28年4月 現職

── 本年度の事業推進にあたりまして抱負をお聞かせください
野口 オホーツク管内は知床世界遺産を代表とする多くの観光資源に恵まれた地域であり、また、農林水産業の第一次産業が盛んで多くの可能性を秘めた地域であります。一方で、管内は、岐阜県の面積に匹敵する広い地域に約30万人が暮らす道内でもひときわ広域分散型社会の色合いが強い地域でありながら、高規格幹線道路などの交通ネットワークの形成は他地域よりも遅れており、観光や産業など地域の活性化を考えるうえではハンデがあると感じます。交通ネットワークの整備は、救急医療搬送や災害時の物資輸送などの面からも非常に重要であり、道道の整備も含め国と連携して取り組んでまいります。
 また、管内の大きな課題である人口減少問題や地方創生を考えていくうえでは、地域の産業や観光を支える道路、河川、漁港などの基盤が整ってのことであり、地域の声をしっかり聞いて色々な分野の方々と連携しながら良質な社会資本の整備を推進してまいります。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組についてお聞かせください
土佐東浜線(交218)改築工事(道路工)(繰越)
野口 オホーツク管内は、かつては年間降水量も少なく災害の少ない地域でありましたが、近年、自然災害が頻発し、昨年も度重なる台風により観測記録を更新するような豪雨に見舞われ、堤防が決壊するなど甚大な被害が発生しました。このように頻発する自然災害に対して、住民の安全安心を確保するため、河川整備や土砂災害対策などのハード対策を推進するとともに水害から命を守る「水防災意識社会」の再構築に向け関係機関相互の情報共有や災害対応の連携などの取組を推進してまいります。
 また、道路利用者の安全確保のため、タイムラインによる通行規制など道路パトロールの強化にも取り組んでまいります。
── 平成29年度予算執行にあたり北海道の基幹産業、農業・水産業の向上や観光振興、環境整備事業などの取組をお伺いします
常呂地区(常呂漁港)水産流通基盤整備工事(特定)(補正)(繰越)
野口 道路事業では、昨年度、旭川紋別自動車道が瀬戸瀬ICまで開通したところであり、さらなる管内や管外との交流促進や物流の効率化、観光振興などに資する道路ネットワークの拡充整備に努めるとともに、「橋梁などの老朽化対策」「危険箇所の解消」、「地域医療を支援する道路整備」などを引き続き推進します。
 治水関係事業では、安心できる国土の形成(安全)、自然環境と調和した生きている川づくり(うるおい)、個性あふれる地域づくりと連携強化の支援(活力)、人と水のかかわりの再構築(ふれあい)の4本柱に基づき整備を進めます。
 漁港関係事業では新長期整備計画(H29〜H33)に基づき物流効率化やHACCPなどの品質・衛生管理にも対応する漁港施設の整備を進めます。
 また、海岸整備では、侵食を防止して国土保全に努めるとともに、人命・家屋・財産を高潮、波浪などから守ります。

■平成29年度の主な事業計画

道路事業
 工事が本格化している北見津別線(津別町等)では、登坂車線や万代橋の架け替えを含めた線形改良に引き続き取り組んでまいります。
 北見常呂線(北見市)の落石対策工事では、落石防護柵の整備を継続してまいります。
 摩周湖斜里線(清里町)では、観光・物流道路として道路拡幅及び防雪対策を進めてまいります。
 遠軽雄武線(西興部村)では布袋橋の架け替えのため、下部工に着手いたします。留辺蘂浜佐呂間線では、錦橋の架替工事の進捗を図り、上部工に着手いたします。
 また、橋梁の長寿命化等を目的として、緑蔭中湧別停車場線(湧別町)外8路線の8橋梁で橋梁補修等の工事を進めてまいります。
街路事業
 3・5・51川東通(北見市)では、常呂川に架かる長大橋の整備をするため上部工工事を引き続き行い、前後道路の用地補償も進めてまいります。
 また、3・3・5とん田通(北見市)では本工事を継続して4車線化の整備を進めてまいります。
都市公園事業
 開園から23年が経過したオホーツク公園(網走市)において、長寿命化計画に基づき、時代のニーズに対応した公園としての長寿命化やバリアフリー化、再整備工事を継続し遊具等の整備を進めてまいります。
空港事業
女満別空港整備事業エプロン改良工事(国債)
 女満別空港(大空町)において、エプロンの補修工事を継続して進めてまいります。
 また、オホーツク紋別空港(紋別市)において、電源施設(監視制御装置)の更新のため、機器製作を行います。
治水事業
 河川事業では近年の大雨による多大な洪水被害に対処するため、昨年度の大雨出水で被害の大きかった無加川(北見市)や市街地を流下している小石川(北見市)の改修整備を進めてまいります。
 また、佐呂間別川(佐呂間町)、芭露川(湧別町)、斜里川(斜里町)、興部川(興部町)、オコツナイ川・ポンオコツナイ川(雄武町)、日吉川(北見市)などの河川について、水辺や周辺の環境に配慮しながら改修整備を進め、洪水被害の解消に努めてまいります。
 砂防関係事業では土石流などの土砂災害を防止するために、右の沢川(網走市)、緑ヶ丘の沢川(北見市)などで自然環境や景観に配慮しながら施設整備を進めるとともに、土砂災害警戒区域の指定を行い、「危険の周知、警戒避難体制整備への支援」などのソフト対策を進めてまいります。
漁港・海岸事業
 漁港事業では水産流通基盤整備事業として斜里漁港(斜里町)、常呂漁港(北見市)、沙留漁港(興部町)について、衛生管理型への対応や静穏対策等の漁港施設整備を進めてまいります。
 さらに、海岸事業では、越波の著しい雄武漁港海岸(雄武町)で整備を進めてまいります。
── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時における復旧対策などを担う建設業界へ要望・期待などをお聞かせください
野口 昨年8月の災害対応に際しては、建設業界の皆様方には、高い技術力と機動力を活かし被災箇所の迅速な応急復旧作業や調査・設計など、大いに力を発揮していただきました。
 災害復旧対応や社会資本の整備、維持管理と地域の安全・安心を確保し豊かな生活を支えるためには、地域に精通した建設業が重要な存在であることを再認識したことろです。
 近年、気象が激化し自然災害が多発しており、住民の命や暮らしを守り、地域の経済や雇用を支える建設業の役割は益々、重要となってきております。
 今後も、蓄積された技術・知識・人材等の持てる力を発揮していただくと共に、オホーツク管内をさらに魅力のある地域にするため、一層の連携強化を図ってまいりますので、ご協力をお願いします。

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