建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年7月号〉

 副局長インタビュー 宗谷総合振興局

主要産業の水産・酪農・観光資源を活かした経済振興支援や利尻・礼文島の防災・道路整備の推進

 宗谷総合振興局 副局長(建設管理部担当)
田中 洋海
 たなか・ひろみ
 昭和35年5月8日生、芦別市出身
 室蘭工業大学土木工学科 卒業
 平成21年 建設部 河川課 主幹(計画)
 平成23年 帯広建設管理部 地域調整課長
 平成25年 留萌建設管理部 事業室長
 平成27年 建設部 砂防災害担当課長
 平成29年 現職

── 副局長就任にあたりまして抱負をお聞かせ下さい
オチウシナイ川砂防工事
田中 先般、年度初めの知事の職員に対する訓示の中で、「問題解決の鍵は地域にある。」と仰っておりました。  私もその通りだと思っておりまして、やはり、地域を元気にするためには、建設管理部を含め振興局の職員一人ひとりが、「地域をよく知り、地域の声をよく聴き、地域とともに行動する。」といった基本姿勢のもとで、地域の皆さんと、ともに考え、そして、ともに汗を流し、さまざまな課題解決に取り組んでいくことが何よりも重要であると思っております。
 また、近年、地球温暖化に伴う異常気象が頻発化・常態化しており、昨年の夏には、北海道に上陸・接近した一連の台風に伴う豪雨により、宗谷管内を含め、十勝地方などで未曾有の災害が発生しました。
 当地域は、道内の中で、比較的雨の少ない地域ではありますが、自然災害はいつ、どこで、どの程度起こるか誰も正確には予測できません。
 建設管理部ではインフラの整備のほか、道路や河川、漁港などの施設を維持管理しており、こうした異常気象時には、適時・適切に防災対応を行う重大な役割を担っていることから、こうした危機管理対策にも万全を期してまいりたいと考えております。
 今更ながら、言うまでもないことですが、「役人は人の役に立ってこその役人」であります。
 私自身も現場の職員のひとりとして、こうした考え方に立って、「地域に期待され、地域に喜ばれ、地域に感謝される。」よう、職員の皆さんとのコミュニケーションを大切にし、稚内建設管理部の総合力で、日本の“てっぺん”、この宗谷地域の更なる利便性の向上や安全・安心な暮らしの確保に向けて、全力を挙げて、取り組んでまいりたいと考えております。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
クサンル川総合流域防災工事
田中 道路事業では、離島の安全確実な交通を確保するため、礼文島線の越波対策に取り組むほか、歩行者や一般車両の安全確保のため、沓形仙法志鴛泊線における現道拡幅等の事業を推進します。
 また、管内特有の地吹雪や積雪、落石への対応として、稚内天塩線や、豊富中頓別線などにおける防雪柵の設置、船泊港利礼公園線における落石防護網による落石対策等を行います。
 このほか、北海道橋梁長寿命化修繕計画に基づき、橋梁を合理的かつ効率的に維持管理することで、安全で円滑な交通を確保します。
 公園事業では、宗谷ふれあい公園において、公園利用者の安全確保と施設の老朽化等の課題に対応するため、施設の長寿命化計画に基づいた宿泊ロッジの屋根等の補修工事を行います。
 河川及び砂防関係事業では、自然災害から住民の生命や財産を守り、安全・安心に暮らせる住みよい地域づくりを目指して、河川整備や土砂災害対策などを進めていきます。
 河川整備では、洪水被害の防止・軽減のため、稚内市街地を流れるクサンル川で河道拡幅に伴う市道橋の架替工事を行うほか、北見幌別川の調査設計等を進めます。
 土砂災害対策では、ハード対策として、近年、流域の荒廃が著しい利尻島のオチウシナイ川や、タネトンナイ川における土石流による土砂災害を防止・軽減するため、砂防えん堤を整備するほか、リヤウシナイ川やポロニショ川において工事着手に向けての調査設計を推進します。また、利尻町政泊地区において、がけ地の崩壊を防止するため、急傾斜地崩壊対策を推進します。
 ソフト対策としては、関係自治体と連携し、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域の指定を推進するため、必要な基礎調査を重点的に実施し、住民の安全・安心の確保に努めます。
── 平成29年度予算執行あたり北海道の基幹産業、農業・水産業の向上や観光振興、環境整備事業などの取り組みをお伺いします
頓別漁港水産物供給基盤機能保全工事
田中 農水産業や観光業が盛んな管内は、交通手段の多くを道路に依存していることから、道路交通のネットワーク強化と安全性の向上が必要です。
 このため、道路交通ネットワークの強化に向け、稚内市から猿払村までの国道238号宗谷岬ルートを短絡する稚内猿払線や、利尻富士町の鴛泊市街地街なみ環境整備事業と連携する利尻富士利尻線の現道拡幅等の整備を推進します。
 そのほか、河川事業では、魚類等の移動の連続性確保など、自然環境に配慮した川づくりを推進するため、魚類等の生息環境に配慮して天塩川水系の河川において魚道を整備します。
 漁港事業では、安定的な水産物の供給体制の確保や、漁港利用者の就労環境の改善を図るため、頓別漁港、山臼漁港等において防波堤や船揚場等の整備を推進するとともに、富磯漁港や新湊漁港等において施設等の長寿命化を推進し、漁港施設の維持・保全を計画的に行うための機能保全事業を実施します。
── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時おける復旧対策などを担う建設業界への要望・期待をお聞かせ下さい
田中 地域に精通している地元建設業は、社会資本の整備はもとより地域経済の発展や雇用を支え、災害時の安全・安心を担うなど、地域において大変重要な役割を担っております。
 一方で、人材の確保や育成などが大きな課題となっております。このため、稚内建設管理部としても、経営の安定に向けた経営効率化の取組などを推進してまいりますので、建設業の皆様には、今後も地域を支える中心となって、社会に貢献されることを期待します。

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