建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年7月号〉

 副局長インタビュー 上川総合振興局

豊かで安全・安心な地域づくりや交通ネットワーク整備を推進し物流効率化や観光地振興を支援

 上川総合振興局(建設管理部担当) 副局長
佐藤 彰紀
 さとう・あきのり
 昭和36年4月28日生、釧路市出身
 昭和59年3月 北海道大学工学部卒
 平成26年 建設部道路課高速道・市町村道担当課長
 平成27年 建設部道路課長
 平成28年 現職

── 本年度の事業推進にあたり抱負をお聞かせください
金山幾寅停車場線防災B(交安)工事(橋梁下部工)(債務)
佐藤上川管内は大雪山国立公園をはじめ、3つの道立自然公園を有し、山岳や湖沼、温泉などの自然や観光資源に恵まれ、これらの観光を目的に道内外から多くの皆様が訪れております。自然環境の恩恵を受けている一方、火山や自然災害の脅威への対応も必要であり、豊かで安心して暮らせる地域づくりに向けた河川や砂防施設などの整備も進める必要があります。
 また、管内は北海道の中央に位置し、道央圏、道北圏、道東圏を接続する交通の要衝でもあることから、上川中南部圏域の高規格道路空白地帯の道路整備により、更なる観光振興や物流の効率化、住民生活の利便性の向上が図られます。
 地域住民の安全・安心を守るため、防災・減災対策をはじめとする社会資本整備や危機管理について、しっかり対応していきたいと考えており、そのためには、地域で抱えている課題について、市町村や関係機関とも連携しながら対応していきます。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
麓郷山部停車場線防災A(地方道)工事(平和橋上部工外)
佐藤 近年、全国各地で異常気象による災害が増加しており、上川管内においても、昨年7月から8月にかけての連続する台風や豪雨により、観光名所である天人峡美瑛線などの道路決壊、美瑛町の辺別川の堤防決壊、南富良野町の空知川の氾濫など、中部、南部地区を中心に甚大な土木施設被害が発生し、改めて自然災害の恐ろしさや防災対策の重要性について再認識したところであり、さらに十勝岳の活火山も抱えていることから、安全・安心が確保された地域社会の形成がますます重要となっています。
 安全で安心な地域社会の形成に向け、道路事業では、耐震対策として雨竜旭川線(北一線橋)、防雪対策として夕張新得線(雪崩防止柵)、交通事故対策として東川東神楽旭川線(自歩道)、下川愛別線(歩道)などの整備を推進します。
 また、治水事業では、地域の浸水被害を軽減し安全性を高めるため、剣淵川や富良野川を始め牛朱別川(旭川市外)、ポン川(旭川市・東神楽町)、比布川(比布町)、豊栄川(名寄市)などで事業を推進します。
 火山砂防事業では、十勝岳噴火に伴う泥流からの減災を図るため、監視機器等の整備や富良野川の5号砂防堰堤工の整備を推進します。そのほか、砂防事業では辺別川(美瑛町)、北二線川(富良野市)、四線川(富良野市)など、急傾斜地崩壊対策事業では旭川旭神3条1丁目において事業を推進します。
 防災対応では、近年多発する異常気象などへの対策として、異常気象時等の非常配備体制の見直しなど防災対策の見直しを進めてきたところであり、今後も危機管理について職員一同が常に意識を高く持つよう、訓練や研修等により防災体制の強化に取り組んで参ります。
── 平成29年度の予算執行にあたり北海道の基幹産業、農業・水産業の向上や観光振興、環境整備事業などの取組をお伺います
富良野川改修工事デボツナイ川地区
佐藤 上川管内は道内有数の農業地帯であり、自然景観や観光施設などの豊富な観光資源に恵まれている地域です。こうした地域特性を活かすためには、物流の効率化や観光客の利便性の向上、都市と農村との安全・安心な交通の確保など交通ネットワークの整備が重要な課題となっています。
 このような課題に対し当部では、地域高規格道路「旭川十勝道路」の一部となる「旭川東神楽道路」、国が整備を進めている富良野北道路へのアクセスルートの上富良野中富良野線の拡張整備などの事業を推進します。さらに、都市と農山漁村との連携・相互補完の強化を図る観点から、旭川幌加内線において交通上の隘路となっている江丹別峠の区間などで道路改良を進めていきます。
 また、大雪山の観光拠点である旭岳温泉へのアクセスルートとなる旭川旭岳温泉線の上忠別橋(架替)の整備などを推進します。このほか、中核都市の再生を図るための基盤整備として、3・3・20永山東光線の街路事業を推進します。
── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時における復旧に活躍している建設業界へのメッセージなどをお聞かせください
牛朱別川改修工事ペーパン川地区2工区
佐藤 建設業は社会資本整備において重要な役割を担うとともに、普段から施設の維持管理や冬期の除雪にご尽力いただき、災害発生時には総合力で復旧作業等に大きな力を発揮されております。経済面でも道内の主要産業の一つとして、地域の経済や雇用を支える上で大きな役割を果たしているところです。
 今後とも、建設業における担い手の確保・育成や技術力の向上をはじめ、収益性の改善を図るなどして経営体質の強化に取り組み、質の高い社会資本整備と地域の発展や活性化に貢献されることを期待しています。
 道としても、公共工事の品質確保の担い手が中長期的に育成・確保されるための適正な利潤を確保できるよう、適正な予定価格の設定や迅速な設計変更、発注・施工時期の平準化に取り組むとともに、「建設業経営効率化推進協議会」を活用し、なお一層の情報の共有化を図るなど、建設業の経営体質強化支援に向けての取り組みを進めて参ります。

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